- 先週は、コロナ禍でも屋外に出て人に会う機会がありました。
(1) 1つは「茅野(ちの)市平和祈念式」です。例年、広島に原爆が投下された8月6日に実施され、今年が26回目でした。
昨年と同じくコロナ対策で、席の間隔を空け、式次第も短縮されました。市の中学生10人が広島・長崎両市長からのメッセージを読み上げ、原爆投下時間の朝8時15分に黙とうをし、そのあと千羽鶴の「献鶴」と献花をして終わりました。
参加者は茅野市長他60人ほど、若い人たちの姿も見え、継続していくことに意味があると思っています。
この時期、2014年までは京都の仕事(集中講義など)がありましたが、15年からは茅野に滞在し、ここ7年続けて妻と出席して黙とうと献花をしています。
(2) 原爆忌や茅野の式典については、ブログでも毎年取り上げています。2019年のブログは、地元の中学でジョン・レノンの「イマジン」を生徒と歌う、式典で出会った若い先生の話。24回茅野市平和祈念式典とジョン・レノンの「イマジン」 - 川本卓史京都活動日記 (hatenablog.com)
(3) 今年は核禁止条約が発効された年です。現在、条約の批准国は55か国、署名は86か国。条約への署名・批准を求める意見書は、茅野市を含めて現在589自治体から出ており、全1718自治体の34%強に上りますが、日本政府は無視しています。
2. もうひとつ、8月3日(火)に、ワクチン接種を終えた高齢者が集まり、庭で簡単なお茶会を開きました。
(1) お茶を点てて振る舞う亭主役は近くに住む年下の友人宮本さん、裏千家の宗匠です。彼が居たから可能になりました。
(2) 宮本家には茶室もありますが、今回は「密」を避けて野点をやろうという趣向
でした。
格式ばったことはやめて、作法もほぼ無視して、緑陰のなかでしばし浮世の憂さと騒ぎを忘れ、お茶を楽しむ趣向です。
(3) 但し、宮本宗匠は準備も入念、「矢筈のすすき」を大きな花入れにいれて飾ったり、水指し(釣瓶)にいれた近くの名水(当地は八ヶ岳を源流とするおいしい水がある)を振る舞ったり、濃茶の茶碗は、大樋焼、赤楽、萩、唐津、志野と客によって使い分けるなど、心遣いいっぱいでした。
(4)宮本夫人も尽力してくれました。主(おも)菓子もお干菓子も彼女の手作り、地元の食材を使い、干菓子は数日前に知人の竹林で切ってきた青竹を細工して器にしたという苦心の代物です。
手作りのお菓子を含めて素朴な、まさに、沢庵和尚のいう「天地自然の和気あいあいをもてあそぶ」茶の精神を体現していると感じました。
- 今回の催しの趣旨は、京都の従妹夫婦を信州の山奥に招くことでした。(1)二人は遠路はるばる、電車を2回乗り換えて2泊し、お茶や食事会や温泉やお喋り
を楽しんでくれました。昨年の1月末以来京都に出かけていないので、久しぶりに彼らに会いました。
(2)従妹夫婦もコロナ発生以来どこにも行っていない、親しい友人に会う機会も少な
い、そんな状況なので、気分転換になったと思います。
猛暑の京都に帰ってから、「ヤッパリ、楽しいことしなくてはねえ。これからもよろしくお願いいたします」というメールが届きました。
(3) お茶を頂いたあとは、同じ場所で妻の手料理のサンドイッチを皆でつまみました。
お喋りに花が咲きました。
従妹の家は京都御所の北、今出川通をはさんだ反対側にありますが、御所の庭には
野良猫が住んでいる、そのうちの雄雌二匹が人も車も往来の多いこの通りを、横断歩道の青信号の時に渡ってでも来たのか、家まで辿り着き、縁の下に居ついてしまった。
追い出すわけにも行かず、仕方なく「光・ド・ニャン」「ニャン・紫」と名付けた、そうしたら子供まで生んでしまい貰い手に困った、というような埒もない話を笑いながら楽しく聞きました。
御所生まれの野良猫に、光源氏と紫上という雅な名前を付けたものです。
4.こういうひとときが、山崎正和のいう「社交の精神」ではないかと再認識した次第です。
不要不急の外出自粛と批判されるかもしれません。しかし、人の少ない山奥に、ワクチン接種を終えた高齢者がごく稀に集まるぐらいは、許してほしい。残された時間の少ない老人にとって、こういう「社交」の時間はとても大事なのです。
ワクチン接種が早く若い人にも行き渡ることを願います。