思い出話

イシグロの小説を読む「愉しさ」、ノーベル平和賞と「記憶」

1. 我善坊さんコメント有難うございます。ご指摘の点は、まったく異存はありません。「記憶」がテーマとしていちばん大きく取り上げられるのが最新作『忘れられた巨人』ですね。そこでは主人公は、「失われた記憶(例えば、ブリトン人とサクソン人との憎しみ…

茅野市豊平の畑で、丸山眞男も思い出す

1. 当地も長雨と日照時間の不足が続いています。 18日付信濃毎日には「長野市や飯田市では今月、平年の3倍ほどの降水量を記録し、日照時間は3割少なく、ブドウやリンゴなどの着色が鈍ったり、野菜の生育が遅れたりしている」とあります。 AI や核やネットの…

電車で人と喋り、電車で本を読む。

1. いつも書いていますが、東京新聞というのは面白い新聞で、リベラルを標榜しつつ、芸能・文化・スポーツが大好きです。5月最後の31日夕刊は、「正々堂々、大関高安誕生、平成生まれ日本出身初」が1面トップの大きな写真入り記事でした。 大相撲と言えば、5…

「信濃のコロンボ」と信濃追分「分去れの碑」

1. 花と緑の美しい季節になりました。神代植物公園の薔薇が咲き誇っています。 それぞれの花のイメージに合わせてどういう名前を付けるか、栽培者の楽しみでしょう。「イングリッド・バーグマン」「マリア・カラス」「ジナ・ロロブリジタ」など美女の名前が…

福沢諭吉と日原昌造のこと

1. 今年も残り少なくなりました。 相変わらず、東大駒場のキャンパスを歩いていますが、銀杏の紅葉もだいぶ散りました。落ち葉の掃除がたいへんでしょう。 他方で、隣の先端技術研究所内のメタセコイアの並木は少し遅れてまだ紅葉しています。 今回は、昔の…

「茶とう」「一足立ち」など、ご存知ですか?

1. 前回は英国から来たパワーフルで素敵な女性とアフタヌーン・ティーをともにした報告をしました。 情報提供やコメントをいろいろ有り難うございました。 フェイスブックでは「メイド喫茶のコスチュームはヴィクトリア朝の英国を基本にしたらしい」など丁寧…

「昭和20年終戦前後の想い出」という文集を受け取る。

1. 藤野さん遅くなりましたが、スポーツ用語を教えていただき有難うございます。ラグビーファンと理解していましたが、他のスポーツもお詳しいですね。 藤野さんのようなスポーツファンが、例の新国立競技場をどう思っておられるか知りたいものです。 こちら…

天皇皇后慰霊の旅とペリリュー島の中川州男大佐

1. 柳居子さんarz2beeさん我善坊さん貴重なコメントまことに有り難うございます。 昭和天皇についての評価は難しいですね。 この問題に深入りするつもりは今回ありませんが、10年前に学会誌に発表した論文に、村井良太駒澤大学教授は、 「研究の進展は著しい…

『<辞書屋>列伝、言葉に憑かれた人びと』(田澤耕、中公新書)とOさん

1.我が家の小さい桜も散ってしまいましたが、隣家のなしの花は桜とほぼ同時に咲き始め、まだ咲いています。お隣に感謝しつつ書斎の窓から眺めては楽しんでいます。 花を愛でるだけでなく、友人のOさんが送ってくれた掲題の書を少し遅れましたが読み終えまし…

「ちいさなおうち」と古いものを大事にする

1. 前回は、30年着ている古い紺のフラノの上着を仕立て直ししてくれる職人さんが居て感激したという話をしました。十字峡さん長文のコメント有難うございます。 環境保護で 4R(Redece減らす ,Reuse再使用する ,Recycleリサイクルする ,Refuseレジ袋を断る)…

5年で買い換えるPCと古い上着の話

1. このブログは、なるべく1週間に1度、日曜日の更新を心がけています。 日曜日には、過去の1週間を思い出し、今回は先週のPC騒動の続きと、「古い上着よ、さようならではなく、今日は・・」の話かなと感じており、以下は、そんな詰まらぬ話です。 2. PCに…

まだ中津旅行と福澤諭吉の1万円札&日田の町並み

1. このところ福澤諭吉ゼミ生による大分中津・日田旅行を記録しています。 旅が終わって1カ月になり、三田キャンパスで12月のゼミがあり、「旅行の報告をせよ」と若い女性軍に言われました。旅行に参加できなかった人も4名居るので パワー・ポイントに素人写…

戦後69年目の夏休みとフィレンツェ「仮想旅行」

1. お盆休みがそろそろ終わり、今日(17日)の日曜日が渋滞のピークでしょう。こいいう時期しか休めない現役諸兄はまことにご苦労様と思います。 いろんな夏休みの過ごし方があるでしょう。身内に10日間のクルーズに出掛けた退職者のご夫婦が居ます。 11万60…

豪州の友人夫妻も首相も、ヘーゲル米国国防長官も訪日訪中

1 海太郎さん、スティーブン・キング『11/22/63』に興味を持って頂き、有難うございます。 この小説なかなか面白いと思います。ただ、当時の人気TV番組だの歌だの俳優だの固有名詞がたくさん出てきます。 例えば日本の小説で「“あまちゃん”の主演女優のよ…

空気・福沢諭吉・トリノとソチの荒川・羽生両選手

1. 我善坊さん有難うございます。全くご指摘の通りですね。 「空気」を吹き飛ばすにはどういう方策が要るでしょうか? かって福沢諭吉は、私たちが目指すべきは「文明」であり、文明を支えるのは「品性」、それを妨げるものとして以下の3つを痛烈に批判し…

第九からメサイアへと『小澤征爾さんと音楽について話をする』

1. いつものように遅くなりましたが海太郎さん有り難うございます。まことに興味深く拝読しました。 まず「第九が季語とは初耳」というコメントについて、俳人の指摘ですから、筆者の誤解かもしれませんね。 引用したのは、演奏会の当日貰ったプログラムの…

JFK 暗殺から50年と夫々の青春

皆様コメント有難うございます。少し補足したくなりましたので、JFK暗殺に関連して・その2です。 1.まずarz2beeさんの「貴重な経験を何か形に〜」というのはまことに光栄なお言葉です。 ただ、残念ながら私自身にそんな能力はとても無いということが1つ…

「物語」の力と「海ゆかば」「We shall overcome」など

1. 前回は「第2の国歌ともいえる歌」について9人の方のコメントを紹介しましたが、もう1人10人目の南十字星さん、遅くなりましたが有り難うございました。 ・・・シドニーで、「東日本大震災直後に、近所で大震災支援合唱コンサートがあり、ゲストのソプラノ…

残暑の京都:追悼樋口和彦先生

1. さわさきさん、コメント有難うございます。たしかに「人間宣言は最大の転向」とは面白い言葉ですね。 ジョン・ダワーは『敗北を抱きしめて』でこれを「魔法のような変身」と書きます。 有名な福沢諭吉の言葉「一身にして二生を経る」は維新の前後を生き…

「涙それは尽きぬものなり原爆忌」

1. 鈴木さん、十字峡さん、コメント有難うございます。 鈴木さんの「坊ちゃんと清の墓」について貴重な情報を頂き、まことに感謝です。 たたこの話は飲みながらの会話で他の方には背景が分からないでしょうから、何れブログで別途触れたいと思います。 十…

シドニーの日本人学校と国際学級の思い出

1. シドニー滞在に間連して、前回はオーストラリアの教育にも触れました。 今回はシドニー日本人学校(Sydney Japanese International School, 以下、SJIS)について少し報告したいと思います。 ここは1969年、生徒数33名で開校、もっとも歴史の古い全日制…

懐かしのシドニーと20年前の失敗談

1. 海太郎さんコメント有難うございます。 同じオフィスビルに勤務していたのですね。 20年前私が勤めた銀行はいまも同じビルに居を構え、合併もあり当国経済の好調もあって、順調に発展しているようです。 オフィスを訪れ、写真のようなオフィスでこうい…

母校の中学の入試問題や制服の思い出など。

1. 暖かくなったり寒くなったりですね。本日は東京も雪(先日ほどの大雪ではなさそうですが)。 仕事のある人たちと違って申し訳ないことに家の中に引きこもって、せいぜい書物とPCを相手にしております。 海太郎さん、オージー・ジョークの紹介有り難う…

わが家の猫と「独立自尊」と「修身要領」

1. お礼が遅くなりましたが十字峡さん、5月26日付けのコメントで老猫の死を悔やんで頂き、有難うございます。 たまたま中学・高校時代の友人から、4年前の同様の出来事を思い出したと、メールが来ました。 彼の「死んだ猫のことを書くと切りがないのですが…

変化の時代・大学・企業文化と危機意識など

1. 皆さま、まことに有難うございます。 今回は、コメントに触発された思い出話しなど。まずは我善坊さん、国際文化会館(IHJ)のお雛様は、5年前のブログにも載せましたが、お人形そのものは京都丸平大木商店のものだそうです。 http://d.hatena.ne.jp/ks…

 カミュの『異邦人』と追悼・窪田啓作

1. さわやかNさん有難うございます。 「女性の生き方の多様性が、これからの時代では非常に参考になる」という指摘は説得力がありますね。 もちろん「モデル」あるいは「ロールモデル」とは何を意味するか? 人によって違うでしょうから、定義が大事です…

昔も今もユニークな学校「麻布」

今年の夏は、暑さと節電とを日々の暮らし中でどう折り合いを付けていくかが1人1人のテーマとなりそうですね。節電が、社会の良い方向に向けての一歩になるとよいのですが、あまり向きにならない、真面目すぎない生き方というのもエネルギーの節約になるので…

フェイスブックの効用とイタリア人の友人

長澤さん4月27日コメント有難うございます。無事に拝見しました。 古い古い友人からのメッセージ嬉しく拝読しました。古い友人といえば、今回のブログは100%私事ですが、ローマに住むイタリア人の話です。 1966年、まだ20代に東京銀行という職場から研修生…

江原素六と麻布中学

1.さわやかNさん、コメント有難うございます。 「和をもって貴しとなす」の聖徳太子ですか。なるほど。 これが日本人の「倫理」であるということには異存がありませんが、 感じるところも2点あって、 1つは前回も触れたように国家規模が小さくなる日本…

まだ60年安保と樺美智子さん

中島さん、我善坊さん、有難うございます。中島さん、失礼しました。私のような高齢者にとっては、「祖父」という存在は はるか彼方にあり、誤解してしまいました。話は変わりますが、「名刺両面大作戦」の辻立ちは、新橋駅前から浜松町、田町駅 と続いてい…