ksen2006-01-17

我善坊さん、過ちを指摘して頂き、かつご忠告にも感謝です。こんなささやかなブログを攻撃しても仕方ないでしょうし、当方は生来臆病な上、節操もありませんからすぐに退却しますのでどうか攻撃は勘弁してほしいものです。
少し硬くなりますが、ゲイツ夫妻とボノに話を戻します。前々回、leverage(てこ)と catalyst(触媒)に触れました。これ、金融界のかたには言うまでもないことですが、きわめて重要なコンセプトです。アメリカ人と話していると、ビジネスの世界だけでなく、アリス・テッパー・マーリンのようなNPOの人たちからも2つの言葉が頻繁にでてきます。日本語がいまいちコンセプトを伝えにくい面もあって、それぞれ、レバレッジ、カタリスト、とカタカナで言う場合も多いのでややこしいのですが。
タイム誌52頁がゲイツ夫妻とレバレッジの機能について触れていますので以下に意訳します
・ ・・「ゲイツ夫妻は自分たちの拠出した巨額な資金でさえ、バケツの中の一滴にすぎない(a drop in the bucket)ことに気付き、マイクロソフト時代からもっとも好きな言葉であるレバレッジを活用する手法にふみきった。財団そのものが取るに足らない存在にみえるぐらいに、他の組織や政府を巻きこむ努力を始めたのである。WHOによれば、年間で8百万人の命(マラリアその他の疫病から)を救うには250億ドルの資金が必要である。ゲイツ財団は05年度このために10億ドルを支出する予定である。即ち、ビル・ゲイツにとって1対25のレバレッジが必要である」・・・・
そのためゲイツ夫妻はワシントンDCに事務所を設け、英国首相・フランス大統領等々の要人に積極的に会い、政府援助の増大を訴えます。メディアも動かします。
同様に、ボノの場合も、自らの資金を拠出するだけでなく、あるいはそれよりも、自らをレバレッジにして、精力的に動きます。知名度だけではなく彼を超スターにした偉大なる才能――魅力(charm)明快な話し方(clarity of voice)人々の心の奥に訴える力(an ability to touch people in their secret heart)――をフルに活用するのです。
もちろん、ビル・ゲイツだから、ボノだから出来ることではあるでしょう。
しかし、レバレッジという考え方は、私たちのような無名な庶民・市民であっても、意味があるとは言えないでしょうか?あなたは無名な・たった1人かもしれない。しかし、もしあなたが同じように無名な25人の心を動かすことが出来たら・・・・と考えてみることは許されるのではないでしょうか?
カタリストについては補足する必要がないかもしれません。自らが「解決策」ではなく「触媒」になること、この方がはるかに重要だというアプローチです。
例えば、以前、「オムロン京都太陽株式会社 」を紹介しました。たった120人強の障害者雇用では「バケツの中の一滴」ではないか?そうではなくて、現在同じようなビジネス・モデルが12社に拡がっていることにはるかに意味があるのだと思います。ただし日本の企業・NPOの場合、どこまで、レバレッジ・カタリストの重要性を意識して行動しているかについてはよく分からないところもあります。私見ではもっと、このコンセプトの重要性をふまえて動くべきではないかと思います。
今日も長くなりまして申し訳ありません。