ksen2006-03-08


我善坊さん・canary-londonさんのコメント、僭越ながらどちらも、我が意を得たりと拝読しました。しかも、こんな風にコメンテーター同士の意見交換を可能にさせるのがブログの魅力ですね。有り難うございます。

この点について、梅田氏『ウエブ進化論』は、いろいろ面白いことを書いていて考えさせられます。彼も、玉石混交が最大の問題であることを認めた上で、以下2点指摘しています。


1.「量が質に転化した」ということ(P.137)。つまり、母体が増えれば増えるほど、質の高いブログも出てきたということ。・・・・私もそう思います。例えば,私の全く知らない・名前も知りませんが、我善坊さんに教えて頂いた匿名のブログ、どなたか知りませんがなかなか良質ですね。


2.「ネット上のコンテンツの本質とも言うべきこの玉石混交問題を解決する糸口が、ITの成熟によってもたらされつつあるという予感」(P.139)


ここを少し長いですが引用すると以下の通りです。
「この本質的問題が解決されるのなら、潜在的書き手の意識も「書いてもどうせ誰の目にも触れないだろう」から「書けばきっと誰かにメッセージが届くはず」に変わる。そんな意識の変化がさらにブログの増殖をもたらす好循環を生み出している。
ではその原因となるITの成熟とは何か。一つはグーグルによって達成された検索エンジンの圧倒的進歩。もう一つはブログ周辺で生まれた自動編集技術である。」


たしかに、私の周りで、恩師加藤さんを始め、昨年は「ケーセン・ブログ元年」ともいうべき状況でしたが、その背後に上記のような現象を考えてみると納得がいきます。

これもつまりは、情報量が増えれば、質の悪いものは淘汰されるという「オプティミズム」の思想にもとづくものだろうと思います。もちろんFTのような伝統的な権威あるメディアがこういう未来に懐疑的なことは,canarylondonさん紹介の通りです。



以上でいったん終わりますが、本日の最後に、本書の要約を再度、書いておきます。繰り返しになるかもしれませんので無視して頂いて結構ですが、私自身、前回の要約を敷衍する必要を感じましたので・・・


1. まず、三大潮流の1つであるインターネットの本質を、著者は次のように整理します・・・・① インターネットの真の意味は、「不特定多数無限大の人々とのつながりを持つためのコストがほぼゼロになったということである」。


2. ここから「チープ革命(ITに関する「必要十分」な機能のすべてを、誰もがほとんどコストを意識することなく手に入れる時代)が始まり、→② 「今とは比較にならないほど厖大な量のコンテンツの新規参入という現象がおきる」。もちろんコンテンツが増えるだけでは玉石混交の問題が生じる。


3.→③ そこにグーグル(写真)の検索エンジンが登場し、新しいビジネスチャンスが生まれると同時に、「知の世界の秩序」が再編成される。
すなわち、玉石混交の厖大なコンテンツから「玉」を瞬時に選び出す技術が進んでいく。
その結果、「「何かを表現したって誰にも届かない」という諦観は、「何かを表現すればそれを必要とする誰かにきっと届くはず」という希望に変わろうとしている」。


4.さらに、グーグルのみならず、様々な主体が参加する「オープンソース」現象によって、「知の世界の秩序の再編」はさらに広がりを見せる。その好例が、ウィキペディアである。
→④ その結果、ブログを「知的生産の道具」とする「総表現社会」が示現するだろうが、この言葉を技術的に定義すると以下の通りである。

総表現社会チープ革命検索エンジンX自動秩序形成システム」


以上です。
たいへん長くなりましたが、まだまだ、ブログと総表現社会ウィキペディアそしてグーグル社については、書きたいことがたくさんあります。うんざりしないでお付き合いくださいますようお願い致します。