ksen2006-04-30


asofiaさん激励ありがとうございます。更新がんばります。


本日は、京都シネマを経営する神谷雅子さんを囲む4月15日(土)のイベントについて、遅まきながら以下、記録に残します。


1.なぜ立ち上げたか?
(1)京都シネマは04年12月に開館。まだ1年半しか経っていない。神谷さんは、それまで、京都・河原町三条にあったミニシアター「京都朝日シネマ」の支配人をしていたが、米国スタイルの複合映画館(シネマコンプレックス)が主流となる流れのなかで、オーナーが撤退を決定、神谷さんはいわば「解雇」された・
(2)しかし、京都朝日シネマの継続をもとめる署名は7000人を超え、神谷さんも「質のよい映画を提供する映画館を京都に残したい」という思いから、アート系シアターの立ち上げを決意した。
(3)幸いに趣旨に賛同した支援者も現れ、また、京都での受け皿を残したいという配給会社3社が出資してくれ、会社をスタートすることができた。


2.開業と現状
(1)場所には苦労したが、京都でも一等地中の一等地、四条烏丸に再生されたビル「COCON烏丸」に、かなり良心的な家賃で入居することができた。その代わり、ビルの品質を維持するため、看板やネオンを設置することはできず、「看板のない映画館は日本でも唯一ではないか」と笑っていました。
(2)スクリーンは3つ。60席〜90席程度で、スクリーンが小さいのが難点。しかし設備にはお金をかけており、音響等も質は高いとのこと。
(3)2月決算で初年度は実質3ヶ月、2年度の06年2月期も赤字だったが、今年度はたぶん単年度で黒字になると思う。ちなみに、映画館の場合、配給会社に一定の権利料を払い、通常は、配給会社:60%、劇場:40%とのこと(売上げが少ない場合、60→40を限度に、交渉して下げてもらうことはある)。採算ラインは、年間16〜17万人、月1万4千人、週に4千人とのこと。売店収入をいかに上げられるかも重要で、現在は月に200〜250万円とのこと。


3.ビジネス・事業の採算と良心的な映画の公開とをいかに両立していくか?
(1)参加者(14名)の関心は、当然ながらこの点に集中した。神谷さんは、土地柄、京都に映画的な貧しさが生まれてはいけない、生まれる筈がないから「必ず経営的に成り立たせる自信は当初からあった」と語ってくれました。
(2)そんな中で、映画への思いを多くの人に伝えるべく母校立命館大学の講師もかねています。中学生のインターンを受け入れて就業体験の機会もあたえています。
(3)シネコンと競合するハリウッド系の上映は避けて、京都シネマならではの作品、世界のあらゆる国の作品を上映したいと考えており、学生映画、実験映画、クルド人監督やエルサルバドル内戦下の作品の紹介などにも積極的にとりくんでいる。
(4)また、「誰でも楽しめるバリアフリーの映画館づくり」を目指しています。日本映画に日本語の字幕をつけたり、最近の「かもめ食堂」で7作品目だそうですが、バリアフリー映画会も上映しているそうです。
例えば京都を舞台にした、「「二人日和」の映画では、京都にいる人でもなじみが薄い神祇装束司の職業を理解してもらおうと、視覚障害者のためには音声で、聴覚障害者には字幕で装束の種類、用いる道具、役割や形や色使い方などが説明されます。「どの映画にもこのような対応はできませんが、できる限りバリアフリー映画館を目指し続けていきたい」と話しています」(国民生活金融公庫発行の『笑顔の女性経営者』163ページ)。



だいぶ長くなってしまいましたのでこの辺にしますが、いろいろと有意義な話しを伺いました。出席者一同、たいへん感銘をうけ、神谷さんの今後ますますのご健闘を祈って散会しました。