ksen2006-06-07


canary-londonさん、コメント有り難うございます。
「本を読む楽しみ」を肌で感じてほしい、という思いに同感して頂き、感謝です。

いまの若者は、ビジュアルなものによりいっそうの感性が働くようで、そのこと自体は悪いことではないでしょうが、活字を読むことの喜びも感じてほしいものです。


ゼミの他に「現代社会外国書講読」という少人数のクラスも持っていますが、ここでは「英文を読む楽しさ」を経験して欲しいと願っています。
しかし、中高の英語教育にも問題があるのか、英文を読むことへの訓練がまったく出来ていない若者が少なくありません。
「1つ1つの単語が分からなくてもいいから、それなりの長さの文章を読んで、大意をつかむこと」。これが私の基本的なメッセージなのですが、正直いって、この訓練にはかなり苦労しています。


ところでビジュアルと言えば、週末、京都の繁華街にあるシネマコンプレクスで評判の映画「ダ・ヴィンチ・コード」を観ました。日曜のせいもあり、たいへんな混雑でした。


映画は「ビューティフル・マインド」のロンハワード監督、トム・ハンクス主演などの豪華キャストに加えて初めてルーブル美術館の内部で撮影が許されたことも大きな話題です。その内容に、カトリック教会や教徒の一部が反発しているという報道も、好奇心をそそっているのでしょう。



原作を読んだのは邦訳が出る前。上の娘や同僚の野口さんに勧めて、2人ともただちに・面白く読み終えたと言っていました
 ――キリスト教の世界では一時娼婦としてさげすまれていたマグダラのマリアが、実はキリストと結婚していた。子供までおり、その子孫はいまでも南フランスに生き延びており、それこそ長年人々が追い求めている「聖杯」である。その謎はダビンチ描く「最後の晩餐」に隠されている。その秘密を守ろうとするシオン修道会と抹殺しようとする秘密結社・オプス・デイ・・・・とまあ、世界中で6千万部も売れたというだけあって、実にスリリングなテーマです。


もちろんトム・ハンクスもインタビューで言っているように「これはそもそもフィクションなんだ。この本に反感を持つ人がいることも知っている。でも、そういう人はこの映画を見に来なきゃいいんだ」ということでしょう。


これを契機にさまざまな補足や批判の文章が出ており、関心の広がりが伺えます。
“TIME”誌4月24日号は「The Opus Dei Code」という特集で、現実のオプス・デイ(会員は全世界で8万5千人強とのこと)について解説しています。


また、著者ダン・ブラウンの設定はフィクションにせよ、マグダラのマリアという女性が長らく謎の存在であったことは事実のようです。
Newsweek”5月29日号の特集は「マグダラのマリアの謎―「ダ・ヴィンチ・コード」を超えて」。なかなか面白く読みました。


キリストの磔による死を最後まで看取り、その復活に、12人の使徒に先駆けて最初に立ち会った彼女が、なぜその後のキリスト教からいわば意図的に無視されたのか?
Newsweek”特集の筆者は、この事実に、ダン・ブラウンとは違った角度で迫り、「ダ・ヴィンチ・コード」に対する興味深い批判にもなっています。
長くなったので、中途半端ですが、今日はここまでに致します。