ksen2006-10-17



世界をみると北朝鮮の核実験、国内ではいじめによる中学生の自殺・・・等々、深刻かつ暗いニュースが多いですが、明るい話題といえば、少し取り上げるのが遅れましたが、グラミン銀行とドクター・ユヌスのノーベル平和賞受賞ですね。


machidaさんもブログですぐに取り上げていますが、ソーシャル・アントレプレナー社会起業家)の先駆けと言われている人です。


「エリート経済学者から一転して、貧困層を対象とした世界初のマイクロクレジット(少額無担保融資)事業を編みだした」人物。

10月14日の日経やNY・Timesの報道によれば、グラミン銀行の累計貸出額は53億ドルをこえ、577万人の借り手の96%が経済的、社会的に弱い立場にある女性。平均の貸出額は130ドル、返済率は98%に達しているとのこと。
マイクロクレジットはいまでは世界全体で130カ国、3,100の組織体が取り上げており、1億人以上が利用しているそうです。


これこそ前にも書いたことがあるのですが、社会起業家の活動を考える際のキーワードとなる「カタリスト(触媒)」効果ですね。


ソーシャル・アントレプレナーを世界的に支援する非営利の組織「アショカASHOKA」は、まさに創始者のビル・ドレイトンがグラミン銀行に触発されて、ユヌス氏のような人物を支援したいという志で始めたものです(David Bornstein“How to change the world ,Social Entrepreneurs and the Power of New Ideas”2004による。ちなみにボーンスタインはこの本の前に、グラミン銀行を取り上げた“The Price of a Dream”を出版している)。
これもカタリスト効果です。


現代社会入門」の授業で、このユヌス氏と、日本では小倉昌男氏とを社会起業家の事例として取り上げることが多いのですが、その際、私が強調するのが「ロール・モデル」を自分の中にもつことの大切さです。


もちろん私は、こういう人物からすれば「月とすっっぽん」以上の差がある訳ですが、それでも自分の心の中にこういう人間が存在するということを見据えておくこと、せめて爪の垢でも煎じて飲みたいと願うこと・・・そのぐらいなら出来るではないか、と若者に語りかけています。