ksen2006-12-20


Tomokuriさん、mytopgunさん有り難うございます。


シドニーから文藝春秋12月号の情報感謝です。早速立ち読みしてみます。
15年間の作業がおわった瞬間があっけなく過ぎた・・・そんなものでしょうね。人生と同じく、過ぎてみればあっけないものです。それにしてもシドニー懐かしいです。一時帰国のときはご連絡ください。


Mytopgunさん、私もいつ読み始めるか、いつ読み終わるか分からないですが、そのうち日本酒を肴に語りましょう。塩野さん、インテリや学者さんには必ずしも評判よくないかもしれませんが、あの塩野節、私には魅力あります。


今回は、長くなりますが、ジムさん(コロンビア大学大学院助教授)と4日に訪問したオムロン京都太陽(株)「車いすのある工場」のことを書いておきたいと思います。


オムロン(株)は社会福祉法人太陽の家と合弁で、日本初のビジネスモデルとして障害者が動かす工場を34年前に別府で21年前に京都で第2号を発足させました。


このオムロン京都太陽(株)を、私は2度訪問しており今回が3回目です。
1度はNY市のチーフ・エコノミストを、2度目は学生を連れてです。最初の訪問については、05年10月31日11月2日のブログに記録しました。

今回は、同行したのが「社会的企業」の研究者ということで、工場見学の前の社長との面談も1時間以上におよび、なかなか活発で私も新しい発見がありました。


以下、さわりを記録しておきます。


1. 現在、全国の障害者数は6百万人強、うち常用雇用者(8時間労働)は52〜53万人(約8%)。同社は京都でも20年前からはじめており、現在、太陽の家と提携する会社はソニー・ホンダ・デンソーなど8社に増えている。


2. しかし中国等への生産のシフトで、たんなる組み立て(アセンブリー)工場では付加価値をうみだせず経営が難しくなっている。


3. そこで同社は4年前から、オムロン内で一般の工場と同じく「商品主管工場」に転換した。すなわち製造しているソケットに関しては、海外をふくむ営業部門からの注文、部品の発注、苦情処理等すべて直接みずからの責任においておこなっている。


4. この点は新たなチャレンジであるが、製品がソケットだから出来るということもある ―イノベーションのいらない成熟した製品である、部品の数が少ない・・・等。


5. 「これからの展望・発展は?」というジムさんの質問にたいしては、「いまは、商品主管工場へのチャレンジに注力しており、展望までは・・・」と率直なお答えだった。


6. 「オムロンはなぜこのような工場を?」との質問には、予想されたように「それは創立者・立石一真氏の哲学・理念による」と明快でした。


7. 私にとって(ジムにとっても)たいへん興味があったのは、アメリカでも障害者の雇用を促進する法律はあるが、こういうやり方には批判的で、おそらく認められない、違法とみなされるかもしれないというコメントでした。すなわちアメリカでは「ノーマライゼーション」とは、健常者と同一工場内・同一敷地内での雇用が原則であり、同等に扱うこと・同じ職場で働くことという思想が徹底している。


8. そこでしばらく、このようないわば「囲い込む」方式をめぐって意見交換がありました。社長から「そういう批判は日本でもないことはない。しかし、障害者にとって健常者と一緒ではなく、同じ障害者と一緒に助け合って働きたいと考えているひとたちも多い」というコメントがあり、ジムさんも全く同感していました。


9. 多様性、つまりいろんな選択があるのがベストだろうなという彼の感想で「多様性の国なのに、こういう点では、アメリカは妙に観念的・理想的になりすぎるところがある」と述べていたのがおもしろかったです。


10.あと、まだまだ書いておきたいことがあるのですが、長すぎますのでこの辺で・・・・


1つだけ、「障害者自立支援法」に関してですが、現在、工場の敷地内に太陽の家が運営・管理する寮があって工場勤務者は原則入寮しているのですが、新法によって、寮の設置はみとめられなくなるそうです。
それが「自立」とどうつながるのか私にはさっぱりわかりませんが、5年間の経過措置の間に対応を考えないといけない、何れにせよ寮は廃止される、ということでした。
法律というのは、私達の知らないところで、私達の日々の暮らしを大きく変えていく・変えさせられていくものですね。