海太郎さん有難うございます。


『アクロイドを殺したのはだれか』では、「アクロイド」を始めとしてポワロ登場の幾つかの作品の種明かしがされており、これらの作品を読んでいない場合は犯人が分かってしまうというリスクがあります。この点ご注意ください。


ミステリーについて奥様と語り合う機会を持ちたいものです。


私の場合、趣味がかなり偏っていて、読む作家も限られます。

・ まず日本のはあまり読まない(よその国ならいいですが、身近な日本人の殺害というのは根が臆病なのでなるべく避けたい)
・ 謎解きやサスペンスが専門で、ハードボイルドや社会派は読まない(上と同じ理由で、特に悲惨・残酷なシーンがあるのはパス)
・ 過度な性描写があるのもパス


ということで要は、純粋に、遊び・ゲームとして楽しみたいという気持ちです。


悪人として知られるリチャード3世は本当はそうではなかったと推理する『時の娘』(ジョセフィン・テイ)、日本でも名探偵神津恭介が義経ジンギスカン同一人物だと推理する『成吉思汗の秘密』(高木 彬光 )ー何れもいわゆる「ベッド探偵」物ーなど大好きです。


アガサ・クリスティはこの分類にぴったりなので好み。実はロンドン勤務時代に彼女のペーバック70数冊を全部揃え、すべて読みました(写真)。


クリスティのあと凝ったのは、コリン・デクスター(Colin Dexter)、いま凝っているのは、ロバート・ゴダート(Robert Goddard)、トマス・H・クック(Thomas H. Cook)あたりでしょうか。


ミステリーはやはり英国が本場ですね。


英国といえば、「Newsweek」の8月6日号「Brave New Country(英国の小説家オルダス・ハクスリーの小説“ Brave New World(すばらしき新世界) ”をもじったものでしょう)」という記事を面白く読みました。


[Britain’s latest identity crisis (英国、最近の自己認識の危機]という副題がついていて、要は、英国が移民とテロのせいで大きく変容していること、もういちど、「寛容とフェア・プレー」といった伝統的な英国の価値観を中心に「英国らしさ」(Britishness)を再構築しようという動きがある一方、「価値観は多様化している」という現状を肯定する動きとがあるそうです。


前者はブラウン首相が熱心で、テロ騒ぎのおかげで海外の注目を浴びなかったが、成文の憲法がないことで有名なのを成文化を考えてはどうか、アメリカの7月4日(独立記念日)のような日を設けてはどうか・・といった「歴史的な提案」をしたとのこと。


 記事は、「昔、もっともイギリス的なスポーツはクリケット。どちらが勝ったか負けたかも定かでない・・・。いまやサッカー、騒がしい観客とマネーが飛び交う世界・・・」と
いうコメントから始まります。


 私はもうここ10年以上イギリスを訪れておりません。
吉田健一が限りない愛着とともに(だからといって決して昨今の日本人の英国本のようなべたほめではなく、冷静に・優しく・時に皮肉をこめて・まさに英国人風に)語る『英国に就いて』(1974年筑摩書房)の、あの英国と英国人は、もうあまり見られないのでしょうか。