ksen2007-09-01


9月が始まり、昨日から東京に居ります(本日夜京都に戻ります)。


渋谷に出かけ、ブックファーストで雑誌(9月号)を2冊買いました。

本屋というと今でも、大学生時代から馴染みのある「紀伊国屋」「丸善」「大盛堂」にまず足が向いてしまうのですが、「ブックファースト渋谷店」(写真)は在庫70万冊、6階まである大型店でレイアウトや本の選択が気に入っています(この本屋、阪急電鉄の系列だそうです。


もっとも10月には閉店して旗艦を新宿に移すというので残念。


何せ、大きいので、探している本が他の書店になくて、ここで見つかることが多い。この日もそうでした。


渋谷というのは駅からこのあたりまでは実に猥雑・怪しげな街ですが、そこを過ぎると一転して雰囲気が変わります。東急百貨店裏の「東急文化村」はコンサートホール、劇場、美術館等があり、ロビーでコーヒーを飲みながら、買ってきたばかりの本を拡げてくつろぐのはなかなかいい気分です。

2冊の1冊は、前々回のブログでご紹介して、第50回短歌研究新人賞を受賞した、京都文教大学の2年生吉岡太朗君に敬意を表して、「短歌研究」、もう1冊は、「経済セミナー」でこちらは特集「いま社会起業家に注目しよう!」です。


吉岡君の30首は「六千万個の風鈴」と題して、例えば以下のような歌が並んでいます。

「ゴミ箱に天使が丸ごと捨ててありはねとからだを分別しにいく
 気がつけば飛行機雲は消えていて戦争なんかほんとは知らない
 プログラムは更新されて君は消える 風鈴の向こうに広がった夏
 新しい世界にいない君のためつくる六千万個の風鈴」


6人の選評を興味深く読みました。


「独特の暗さをもつ一連。この暗さが断然新しいと読んだ」(佐々木幸綱)
「時代と青春の危うさが近未来的SF的な異化の手法によって描かれている」(穂村弘
「非常に才気のある人・・・」(岡井隆
「かなりの異色作・・・トリッキーな作で賞を獲ったわけで、今後どうなるか、期待と不安が両方あるというのが、正直なところ」(佐々木)
「近未来の世界がファンタジックに詠まれている」(高野公彦)
「不安定だけど、受賞したということは、それだけ魅力があったということ・・・(これからが)楽しみかつ不安」(穂村)
といった具合です。

表題の意味について、選者の1人が「何だかわからない」と言い、佐々木がこう説明しています(6人の中で彼がいちばん強力に推したようです)。

「「六千万個」という数字は僕の推測では、2100年に日本の人口が六千万になるという、一億二千万が半減するという、そういう推定がなされているわけですね。半分に減っちゃった人たちに対する挨拶、そういう意味でしょう・・・・」


なるほど、そうですか。
そのうち、吉岡君にこの辺を聞いてみたいものです。
それにしても本人もいま「期待と不安」でいっぱいでしょう。健闘を祈ります。


「経済セミナー」の、社会起業家の特集記事はまだ読んでいません。
記事のことは8月始めに服部さんに会ったときに聞いていました。


町田洋次さん、服部篤子さん、横浜寿町の谷津倉智子さんなど、知っている人たちが執筆しているので、楽しみに読むつもりです。