生来怠け者なので、コメントがないとつい安心して、更新をさぼってしまいます。


やっと秋らしくなり、先週末は気持ちよい日より。日曜の朝、大原まで出かけて少し歩いてきました。

もっとも三千院寂光院の話など珍しくもないでしょうから、そこは拙い写真だけ披露させて頂いて、今回は京都にある小さな会社の紹介をします。


京都ソーシャル・アントレプレナー・ネットワークの藤野さんが声をかけて下さり、ちょっと前ですが、ごく少人数のサロンに参加し、京都府城陽市にある(有)オフィスリエゾン代表取締役・牧野まゆみさんという方の話を聞きました。

社長といっても本職(?)は主婦で、主婦6人が集まって1993年に作った、
点訳サービスとしては日本初の民間企業とのこと。


因みに、いま視覚障害者は全国に30万人、そのうち点字の読める人は2万数千人と1割に満たないそうです。

したがって小さなマーケットで、「ニッチの、そのまたニッチ」事業と言っておられましたが、年間売り上げは約2千万円。「ちゃんと食べるだけのものは頂いています」とのこと。


点字サービスや点字図書の出版が仕事ですが、主なお客は、大学と地方自治体。前者は、点字の入試問題作成など、後者は地方自治体の広報を点字に直すことなど。「こういうお客さんからはきちんと頂いて、個人の視覚障害者からの依頼なんかは良心的にやっている]由。


 点字図書の出版は、童話、編み物の本などあるが、100部売れたら上々。実は、いちばん売れるのがポルノ本だという、ちょっとつらいような気持ちになる話も・・・


なぜ会社で始めたか?について書くと長くなるので省略しますが、最初はボランティアで始めたが、その限界に気づいて(意識の違い、甘え、納期が守れない・・等)事業化した。

例えば同社では、納期はいままで1度も遅れないとか、ミスも殆どないとか・・
ビジネスでやることの気構えについて、良く理解しているなと思いました。


もう1つ面白いと思ったのが、牧野さん自身の経営者としての自覚です。

60代の主婦がみんなで仲良く始めた。その中で牧野さんが社長になり、その経験を通して学び・成長していく。
自分を高めることになるし、役職が人を作る ―「目標の明確化」など。
リーダーが会社を作る・リーダーが大事だと痛感する ―「素直に教えを請う姿勢と、知ったフリをする場合」。
さまざまなメンバーがおり、彼女らをどう使うか ――「平等感と差別感」「社員の能力の限界を知って活かす」「各人の満足度」
そういった経験を積むうちに、「ボス」と「社員」の関係ができあがり、もちろん今でも仲がいいが、「友達は失った」、しかし自分としてはたいへん充実しており、毎日が楽しい・・・


何だか、経営学の基本を聞いているようで実に面白く聞きました。
ただの主婦が、ひょんなことから事業を始め、リーダーとなることによって、苦労し・学び・そして成長していく。

60過ぎて、こういう経験を積み、経営の話ができる普通の主婦が(高学歴のキャリアウーマンでも何でもない)日本にも出てきたんだと、たいへん嬉しく思いました
(但し数字はまるで駄目なので、経理・会計は定年退職した夫が手伝っているそうです)。


あと欲を言えば、1割もいないという点字のできる人を少しでも増やす努力をすること。そのことで視覚障害者にとっても人生が豊かになり、マーケットも広がるように思うのですが・・・・まあ小さな会社でそこまでやるのは難しいでしょうが。