ksen2008-02-17


いま日本は、餃子の問題で大騒ぎですが、今回は食の話題を2つ、ご報告します。

1つは、1月23日のNYタイムズが、NYの寿司屋および食料店で提供される寿司のマグロから大量の水銀が検出されたというニュースです。


「食事とワイン」欄に掲載されたので私は見落としましたが、NY在住の友人からのメールで知りました。


市内のすし屋4軒の名前が挙げられていますが、うち、ソーホーにある「ブルー・リボン・スシ」は05年に出張したときに行ったことがあります。


これだけスシが定着しているNYですから大騒ぎだと思います。3週間に1回以上食べてはいけない、とか妊婦や子供はやめた方がよいという医者もいるそうで、NYのすし屋のカウンターからマグロが姿を消しつつあるとのこと。


もちろんすし屋に責任があるわけではなく、海に垂れ流された公害物質がマグロの体内に摂取されるためで、Bluefin(クロマグロ)に残留する量が多く、他のマグロはそれほど多く体内に残っていない。問題は、仕入れるプロにとっても、見ただけではマグロの種類の見分けがつかないのだそうです。


別にNYだけの問題ではなさそうですが、日本ではあまり指摘されたことはありませんね。どうしてでしょう?


もう1つは、前回ちょっと触れた、ミシュランの食ガイドに関するNewsweekの記事ですが、これは1週間遅れて最新の日本語版にも掲載されましたので、詳細は省略します。

面白いと思ったところは、以下のようなものです。

1. ミシュランが初めてアジアのレストランを格付け。東京の星の数は、パリを抜いて世界一になった。

2. 日本人は、食べることに熱中する(crazy)国民である。多くの日本人にとって「食べ歩き」が最大の趣味である。テレビ番組の実に3分の1が料理・美味探訪など食に関連する番組であり、神戸の全てのパン屋でパンを買って比較しているという主婦のブログが人気という国である。食べ物屋の数も、パリの1万3千軒に比べて東京は16万もある(パリの人口は東京の3分の1)。

3. 要は日本人の、素材と旬への「こだわり」にある。これはもう、「こだわりへのこだわり(obsession with obsession)と呼んでもいいかもしれない。

4. ミシェランが見出す前に外国人旅行者がよく知っており、彼らの70%以上が、日本に来る理由に「食を楽しむ」を挙げている。


というようなものです。


さほど皮肉っぽい内容ではなく、むしろ日本人の「食べることへのこだわり」「細部へのこだわり」に驚嘆しているといったところでしょうか。

確かに、アメリカや英国の場合、どこで何を食べるという問題と同じかそれ以上に、誰とどれだけ楽しく食べるかに重きを置いているような気がします。

日本食が、いまの日本にとって数少ない、強いソフトパワーになりそうな状況の中で、NYのマグロ・スシ騒動は少し気になります。