田中美貴子さん、人材育成についてご自身の

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たまたま『「日本の経営」を創る』(日本経済新聞社)という本を読んでいます。
三枝匡という企業再生のプロと伊丹敬之という経営学者との対談ですが、その中の
以下のような三枝さんの発言に同感したところです。

「若手の育成が非常に難しくなってしまったのは、結局、組織上層に上がっていった人たちが、
仕事の権限を自分で抱えたまま上がっていったからなんですよ。そのために若手層には、
普通のルーチン的仕事しかやらないサラリーマン人間が増えてしまった・・・」(76頁)


これは企業の話なので、地方のボランティア組織とは少し違うとは思いますが、年寄りが
「任せない」傾向を憂慮している点で私の問題意識と重なります。


伊丹さんは年齢構成を主因に80年代後半からこういう傾向が強まり、かっての日本企業の強さが
弱まってきていると指摘します。

その「強さ」とは、伊丹氏に言わせれば以下のようになります。(72頁)

「職場社会の安定を考えれば、年功序列のような形を維持し続けることが大切だという思いが一方にある。
しかし、実質的に効率の高い、適切な意思決定をするメカニズムをどうやって作ったらいいかというと、
年功序列で地位のある人に実質的な権限を与えたらダメです。これは誰でもわかる。


じゃ、どうすればいいか。形は年功序列で、実質は若い社員に任せるという折衷型が、たぶん一番
機能するなと思った偉い経営者が、ちゃんとした企業には何人かいたんだろうというのが私の観測です」。


このテーマ、少し掘り下げたいところですが、硬い話ばかりになってしまうのでこの辺で切り上げましょう。

うちの大学では、毎年4月の第1土曜に、「フレッシュマン・オリエンテーション」と称して新入生の
歓迎会兼学科の紹介が、学科ごとに行われます。


これ、毎年、学生(つまり先輩)の有志
が企画して、実施されます。
当日も彼らが全て進行その他を仕切って、
教員はそれに乗っかって「はい、先生方、挨拶をして下さい。短くお願いします」なんていう
彼らの指示に沿って動きます。
数十人の「有志」が参加して壇上で取り仕切るメンバーのほかに、各テーブルに張り付いて
新入生の面倒をみます。


この伝統が毎年、次の「有志」の学生に引き継がれていくという伝統も大事だし、
なんと言っても、彼らも任せればやるものです。