CSRからSRへ(ISO26000の動き)

今までも、ケーセン(京都ソーシャル・アントレプレナー・ネットワーク)の活動をブログでフォロー
しておりますので、前回ちょっと触れた16日の講演会・交流会の
「社会貢献について考える〜損保ジャパンのCSR(企業の社会責任)〜」の
報告をしておきたいと思います。


1.講師は損害保険ジャパンの理事、CSR環境推進室長の関 正雄さん。CSRの分野の第一人者です。

2.場所は「カスタ君の町家」。今回は、ケーセンの他、京都のビジネス協議会や京都大の
ビジネススクール同志社CSR研究会の共同企画にて、約30名と「町家」の収容定員を超える、大勢の参加となった。

催しが実現した背景には、ケーセンの若いメンバーである、川原さん(損保ジャパン)の熱いい想いと果敢な行動力がある。


2.中身は、(1)社会的責任の国際規格(ISO26000)について
(2)損保ジャパンのCSR
の2点。


3.紙数の関係で1について以下要約すると

(1)目下、社会的責任の国際規格(ISO26000)を策定する動きがある。関さんは日本からの有力メンバー。
(2)2010年10月に発行予定で、特徴としては、以下の通り。
・すべての組織に適用可能であること
・第3者認証を目的としないガイダンス文書であること
・ISO初の、マルチステークホルダー(政府・産業・労働・消費者・NGOなどの多数の利害当事者)
参加による、企画づくりであること


4.つまり、
(1)従来のCSR(企業の社会的責任)から、すべての組織に求められるSR(社会的責任)というコンセプト
として発展的にとらえること。


(2)しかし、まだ発展途上のコンセプトであるという認識に立って、ISO26000は、(第3者認証の可能な)
かっちりした規範や規格という形式をとらず、関係者との対話を通じて、組織自らが学びとるための「アドバイス」であり「ヒント」であるという認識。

ということになります。


今後、きわめて注目すべき動きと言っていいでしょう。


5.損保ジャパンについて触れる余裕がなくなりましたが、CSRへの取り組みで高く
評価されている日本企業の1つです。

今年のダボス会議で「世界で最も持続可能な100社(グローバル100)」が選ばれましたが、
日本企業はうち15社、同社は、イオン、ホンダ、クラレトヨタ等とともに、金融から唯一選ばれました。


その点は十分評価に値しますが、いまの経済状況で厳しい逆風が吹いていることも事実でしょう。
同社もこの3月期、経常赤字を計上。


CSRはいまが正念場」と関さんも言います。

しかし他方で「お金を掛けなくても、まだまだやれることがあると思う。CSR
ではなく、ESR(従業員の社会責任)=「行動する人を育て、日常業務の中で実践することが大事である」という
頼もしい発言も。


我らが若い仲間、川原さんも、頑張ってください!