介護ベンチャー「旅のお手伝い楽楽」

ブログを書いていると1週間の経つのが早く、原稿の締め切りに追われている感じです。
もちろん原稿と違って頼まれているわけでなく「そちらの勝手でしょ」と言われそうですが。

ということで今回は、「社会起業論」の外部講師の話。



「社会起業論」の講義、今年度が最後です。
格好よく言えば、事例と理論とを相互に検証していく授業を心がけています。


理論の方は、「これからの資本主義は、競争、市場、格差は・・・要は、自由と平等という
“永遠の二律背反”をどう考えるか」という問題意識に関わります。

といっても私の能力を超える話なので、事例紹介の方が気楽です。

10月27日の授業には、株式会社・旅のお手伝い楽楽を2年半前に立ち上げた、まだ25歳の若者、
佐野恵一さんを招きました。

同社は、7月5日の日経に「“すき間”埋める社会起業家」として紹介され、
テレビでも取り上げられました。


「介護を必要とする人が行きたいところに行くのを手伝う」
「2015年までに誰もが気軽に外出できる社会をつくる」というミッションで、
現在は、オーダーメイドの旅行を手掛けています。



当日も、岡山から車いすで初めて京都を訪れた87歳の母親と娘の2人旅を助けて、
佐野さんが二条城や清水寺や「がんこ二条苑」の食事に連れていく様子がビデオに映りました。
「やっと人間らしくなれた」という感想も聞きました。


いま 介護を必要する人は全国に430万人だそうです。
大きなマーケットだと思います。

同志社大の学生のときに、大学内のビジネスプランコンテストで大賞を獲得。その賞金も使って
資本金7百万円で起業しました。


以下、佐野さんの話から。

・学生時代に「ビジネスプラン作成講座(合宿)」に参加し、刺激を受けたのが大きい。

・やはり学生時代、家族で温泉旅行をして、旅館で祖母の入浴補助を断られたのが契機となった。

・もちろん、厳しい。今年の売り上げは38百万円程度。常勤のスタッフ4人に世間並みの給料を払うと
、自分の給料は昨年で月8万円、今年はその倍は行けそう。ただし、ベンチャー企業の社長が
応援してくれてオフィスを利用させてもらっている。


・利益は、続けるために絶対に必要。いくらいいことでも、潰れてしまえば意味がない。
自己満足に終わらないようにする。


・自分は社会起業家なんて、難しいことは考えていない。


・大事なのは、
(1)とにかく動くこと。
(2)学生、若者の特権を生かすこと
(3)考えてから動くのではなく、動きながら考えること
(4)出会いを大事にし、身近な人を巻き込む
(5)ただし、「ひとそれぞれ」であり、皆が起業を考える必要はない。
会社に勤めても、自分の「ちょっとした工夫」をしたりして、周りをハッピーにすることは
可能と思う。

・・・等々。



・テレビの影響は大きく、全国から、連日、照会があり、ニーズの大きさを感じる
・企業や行政からの照会もあり、コラボレーションを考えていきたい。
・夢は、介護保険が適用されて低所得者も利用できるようになること
(現在は、旅行などの余暇は保険の適用外)


決して、肩に力を入れない、自分を誇大に見せない、気持ちの良い若者でした。
周りの人が応援しようという気持ちになる・・・そういう人がこういう仕事をするんでしょうね。