東京と京都に50年

さわやか福祉財団の中島さん、土論汝さん、有益なコメント有難うございます。

更新が遅くなって、まことに恐縮です。


1.中島さんのコメントに関連しますが、1月4日の日経「経済教室」に
今井賢一スタンフォード大学名誉シニアフェローが「日本の活路―市場いかし
再生の道拓け」と題して寄稿しておられました。


そのなかで氏の提言は、
・ 世界の中心都市としての東京の機能の再評価。・・・・それは、
「多様な技術・文化変換装置」としての東京のもつ優位性である。・・つまり、
世界のあらゆるハード・ソフトの技術と文化を吸収し、修正し、複製を超えて再創造し、
何か違うものに変換して再び世界に戻す能力にかけては、東京にかなう都市は世界に
存在しないのではないだろうか。


・ そうした「技術・文化変換装置」を日本の真の底力とするには、東京の奥に
存在する京都・奈良に「歴史に培われた本物」があるという自信を取り戻すべきであろう。
・・・「歴史に培われた本物」とは、よく知られた枯山水の例でいえば、
みずみずしさを感じさせるため、あえて水を抜いてしまうといった情報凝縮力である。
そこには、デジタル情報の蓄積ではなしえない「礎石」のような力がある。
重要なことは、そうした「引き算」の文化は日本独特ではなく、
世界に通じる普遍性をもっていることだ。


・ 東京中心の「技術・文化変換装置」は現代性をもつ過剰な詰め込み、
つまり足し算の性質をもつ。そこに歴史に培われた引き算の文化を加え、
その両者の
相互作用を基礎として、我々の未来をしなやかに創っていきたい。


・ ・・・(そして)東京と地方をつなぎ、彼ら(注:大都会で格差社会のもとで
落ちこぼれている人たち)のために仕事をつくっている「草の根」的な社会起業家たち
が増加していることにも注目したい・・・



いささか引用が長くなりましたが、今井氏の提言についてはあとで再度補足したいと
思います。


2.土論汝さんのコメント、「なんか世界中が下品になったような印象・・」まったく
同感です。

お金に振り回されないようにするにはどうしたらよいのでしょうね。

ご指摘のように、学習能力、共感力、それに前回も触れたように「お金は天下の回りもの」で、
自分の手元にあるお金も(自分が汗水たらして稼いで得たものと思っていても)
実は「預かり物」に過ぎないという自覚が大事ではないでしょうか。

本日の朝刊を眺めても、方や大物政治家の子分の代議士逮捕にしらけ
(他人のお金を自分のお金のように使う傲慢さ)、
方やハイチの悲惨な地震情報(背景にある貧困)に
心が痛み、本来「回りもの」であるべきお金が正当に回っていないという矛盾を
痛感しますね。


3.上述した今井氏の提言に戻りますが、私が面白いと思ったのは、日本が
グローバルに発展するには東京と京都のそれぞれの強みを生かして
「両者の相互作用」、いわばシナジー効果を発揮すべきだという発想です。


どうも日本人の島国根性というのか、お互いに相手の足を引っ張るという性向がある
のではないか。あるいは、ただ相手を「自分と違う」と捉えて、相手とともに働こうと
いう意識が弱いのではないか。



そうではなくて、相互の良い点・強い点を認め合って、(これもはやりの言葉ですが)
コラボレーションを図っていくことが重要ではないか。

 実は、たまたま13日〔水〕に勤務する大学で「最終講義」を行いました。
公開の授業で、駆り出された学生たちのほか、有難いことに、学長・学部長をはじめ、
教職員も何人か出席してくれました。

 その際の講義の題目が、たまたま「東京と京都に50年――ここから、
社会起業家の波を!」であり、この2つに人生の大半(残りは、海外が長い)を過ごしたことを踏まえて、
いろいろとお話しました。

何を話したかについて、またご報告する機会があるかもしれませんが、
今井氏の提言を読んで、大いに共感したのには、そんな偶然もあったのです。