氷雨の東京マラソン2010

中島さん、拙著『折々の人間学』をお読み頂き、まことに感謝しております。


ご承知のとおり、短い文章を集めた雑文集であり、ユーモア、大学勤務、京都、
読書・映画等々さまざまなテーマを取り上げております。

読んだ方から感想を頂くのはたいへん嬉しいものですが、人によって「この文章が面白かった」
というテーマがこれまたさまざまで(もちろん全てつまらなかったという人も多いでしょうが)、
この人はここに興味を持ってくれたのだと理解するのが著者にとっては実に興味あり、
たいへん参考にもなります。

「たったひとりの大学」(P.68〜)というのは、アメリカの小説家スコット・キー・フィッジェラルド
(以下、SKFと略)が愛人のシーラ・グラハムに対して「ひとりの大学」と称して教養教育の個人授業を
したというエピソードを紹介したものですが、実は、私もこのテーマがとても好きなのです。
という前に、SKFの小説が好きなのですが。



実は、この個所、誤植が1つあり、「プリンストニアン」と書くべきところ、「プリンストニン」
を直すのを見落としました。

余談ですが、本を作るときは著者と編集者とで、3回ぐらい校正を必死にやるのですが、
それでも見落としがあります。

なじみの編集者に言わせると「誤植の無い本とは、まだ誰も読んだことのない本のこと」という名文句があるそうです。

SKFはご承知の通り、プリンストニアン(プリンストン大学の卒業生,
彼の場合は中退)で彼はそのことを一生大事にしていました。



ちなみにプリンストンは、米国アイビー・リーグの1つで、研究型大学(大学院のレベルが高い)
のみならず、リベラルアーツカレッジ(学部)のレベルが全米でも1,2を争う大学としても知られています。

この大学に100年以上昔から「オナー・システム(Honor System)という制度があることを教えてくれた
のは同大学で教えたこともある、岡部光明さん(もと慶応いま明治学院教授)です。・・・・
学生は自己責任で試験を受けるという「宣誓書」にサインをする。定期試験は、教職員の監督なしに実施される。
教員は試験問題を配ると教室を出てしまう。仮にカンニングなど不正行為があった場合には、学生が
自分たちで作った組織で対応を決める・・・・


「麻布には校則がない」というシステムも好きですが、プリンストンはさらに徹底していますね。
うちの大学は(日本はどこもそうでしょうが)毎年、新しい規則が出来て規定集は厚くなる
ばかりではないでしょうか。


リベラルにばかり拘っているので(中島さんのコメントにはまだまだ触れたいこともありますが)、
話題を変えましょう。


今回は「東京マラソン2010」で、2月28日(日)、身内が走るので応援に行ってきましたので、
その報告を。

このマラソン、今年で4回目。約3万5千人が走り、なんと、抽選で倍率は、8.9倍だったとのこと。

当人は自己ベスト(4時間半弱)で完走だそうで、よかったですね。

当日は午前中は雨の降る寒い日でしたが、みんな元気に走っていました。
スタートを見届けてから銀座に移動した連れ合いが「風月堂」の
2階窓際を確保してくれて、ここでかみさんと3人でしばらく観戦

近づいたというので道路に降りて、走る本人を確認しました。雷門を折り返して
また銀座通りを帰ってくるというので、行きは風月堂の前で帰りは
向かいの伊東屋の前で待っていました。


このように走る本人を確認できたのは連れ合いの支援体制のおかげですが、その前提として
、選手は足にチップをつけて走るので、どのぐらいの時間で銀座通りに来るか、だいたい分かるのだそうです。
便利なものですね。


それにしてもたいした人気で、平和な日本の健康なお祭りで、結構なことだと思います。


最後に、3月1日の東京新聞に某記者が自分で走って、その記事を載せていますのでその一部をご紹介します。



「スタート時点でシューズもウェアもぐっしょり。すでに手足の指はかじかんで感覚がない。
5キロ時点の給水所で水のペットボトルを取ろうとしたら、指が動かず、失敗。・・・同じように
悪戦苦闘するランナーを各地でみた。


悪天候にかかわらず、沿道はにぎわった。切れ間ない声援。後半の疲れがピークとなる給水所の
ボランティアは明るく、ハイタッチでランナーを勇気づけていた・・・・・」


どんなイベントでも活動でも、ボランティアの存在は大きいですね。