NPO法人「道普請人」

柳居子さん、海太郎さん、中島さん、有難うございます。
退職などという私的な出来事を書き連ねて、コメントを強要したような
気もして、恐縮しております。

4月3日のホームカミングは桜満開だったでしょうね。
京都もほぼ満開、たいへんな人手です。ちょっと寒いですが。

京都の4月3日(土)はKSEN(京都ソーシャル・アントレプレナー・ネット
ワーク)のイベントがありました。今回はその報告です。


1. まず、田中美貴子さん、ブログに書いていただき
有難うございました。ご多忙の中(京都府知事選もあり)駆けつけていただき
感謝です。いつもながら、こういう行動力(まず動く、人に会う、出かける・・・)に感服しております。

2. 今回は土曜日の午後開催というのが、いつものKSENイベントは平日の
午後7時からというのが定例なので、ユニークでした。それでも出席者は20名を
越えて、盛会でした。週末でもテーマに魅力があれば集まるものですね。

3. そのテーマは、「住民の手による途上国の道づくり」を指導する
活動で、スピーカーは、
京都にあるNPO法人道普請人」の理事・事務局長・福林良典さんです。


4. 京都NPOセンターの広報誌から、活動を紹介すると、こんな風です。


開発途上国の農村に通じる道は、多くが未舗装。特に雨季には
頻繁に道が崩れる。その結果、農作物が運べず、収入も得られない。
妊婦を病院に運べない・・・」と人々の暮らしに大きく影響する。


崩れた個所さえ直せば、道は通じる。福林さんはここに注目し、
部分的な補修に日本から「土のう(DONOU)」を持ち込み、日本でもかって
常識だった「住民のボランティアによる道普請(みちぶしん)」という発想を
定着させようとしている。
すでに、ケニアパプアニューギニア、フィリピンなど7カ国で、11キロメーター
の農道を整備したという。

5. 福林さんは、もとゼネコンに勤めていた退職、母校京大の大学院
博士課程で土木を学び、その研究の一環としてはじめ、指導教授(現理事長)
の後押しもあって「勢い」で2007年にNPOを設立した。現在、会員が個人150人、団体14社。職員は6名でうち有給は彼を含めて4名、2名はケニア常駐の日本人
とのこと。彼自身も1年のうち10ヶ月は現地に滞在して、活動している。

6.2009年の事業費は1,140万円。収入の3割が、JICA,アジア開発銀行などの
受託業務、助成金が2割強、残りを会費と寄付金で賄っている。

6. 発展途上国で、いわば徒手空拳で、こんな活動をしている日本人が
いるのだという事実には、参加者一同大きな感銘を受けたのではないでしょうか。
海外援助といっても、いわゆる公的なODAなどと違って、現地の住民と直に
結びついた「泥臭い」「地味な」活動。アフガンなどで頑張っている
ペシャワール会もそうですが、「こんな日本人が居るんだ」という思いを
強くしました。


7. もっとも、本人は、大学院での研究活動の延長といった捉え方で、
ここで経験を積んで、それを将来に生かしたい。「10年後は何をしていると
思うか」との私の質問には「将来は大学に戻って研究者になりたい」という
答えでした。
「一生をこれに賭ける」という、気負いのないところが、これはこれでいいなと
思いました。

8.「自分は社会起業家だろうか?」という問いには、参加者一同が「イエス
と応じました。新しいビジネスモデルを作り、自らの「生き方」を選び、リスク
を取り、もちろん資金は助成や受託や
寄付に仰いでいるとはいえ、現地とつながり、彼らの自立と地域発展をうながし、
公的なアプローチではなしえない草の根の活動を広げている・・・
これこそ「社会起業家」でなくて何でしょう。



9.福林さんが、「こういう活動を”京都発”でやる、ということにも意義
を感じているんでです」というコメントも記憶に残りました。


10.いまの1千万ちょっとの事業規模を、まずは3千万円規模にしたいという
目標も披露してくれました。
福林さんは前述のように、ほとんど日々、現地に張り付いている。ということは、
広報や会計や事務にはなかなか手が回らない。
従って、この活動、まだまだ知る人が少ない。

何とか、多くの人に知ってもらって、応援する人を増やしたい。



KSENにできることはそんなことでしょうか。
それと田中さんがブログに書いてくれたように、住民による「道普請」という
考え方は、これから日本でも、もう一度、考えてみたい「つながり」ですね。
もう高速道路は要らないかもしれない。

しかし、住民が、住民同士、お互いに行き来する「道」を自分たちで整備し、
「道」を通してつながっていく・・・そんなコミュニティが必要ではないでしょうか。