「保守主義」について

ksen2010-05-20

5月4日付りょうじさん&中島さん、コメント有難うございます。

中島さん、「新しい公共」という発想は、ご指摘のように
社会起業家」の存在に光を当てるように思います。

デビッド・ボーンスタイン著の”How to change the world ,”(邦訳『世界を変える人たち
社会起業家たちの勇気とアイデアの力 』)は20カ国以上で訳されてロングセラーになっていますが、
彼の新作『社会起業家精神―誰もが知りたいこと』が最近出版されて、いま読んでいるところです。
前著は事例紹介が中心ですが、今回はそもそも論に立ちかえって、


社会起業家精神とは?その始まりは?先駆者は?何をするのか?
・成果をどう評価するか?ビジネスに与える影響と効果は?教育の役割は?

といった諸点を要約して説明する入門書です。

邦訳も出ると思うので、「新しい公共」とのつながりは一層、論議されることでしょう。


カスタネットの社会貢献室顧問というのは、植木さんのアイディアですが、もとは言えば、
さわやか福祉財団の「名刺両面大作戦」に触発されたものです。


このたび、植木さんの「当たって砕けろ」精神で、堀田さんも引きうけて頂いたそうで、
まことに光栄です。

私の場合、何が貢献できるか、まだわかりませんが・・・


りょうじさん、


死刑制度について私も不勉強ですが、廃止している国のほうが多いと思いますよ。

フランスもドイツもオーストラリアもそうです。

イギリスはいつからか知りませんが、「冬のフロスト」のなかで数十年前の殺人事件
(時効はない)でつかまった犯人が「死刑がこわくて逃げ回っていた」と言うのに対して、
「いまは死刑は廃止された。知らなかったのか?」とフロストが問いただす場面があります。


中国で外国人が死刑執行されたのは英国人もいましたっけ?

英国の国民感情について思いをはせた、りょうじさんのコメントを興味深く読みました。

死刑とは別ですが、最近日本でも「取り調べの可視化」が議論になっていますが、
この点も前に書いたように、必ずテープ(あるいは録画)にとって公開する
、弁護士が立ちあう、という当たり前のように思われることが、まだ日本では普通になって
いないようですね。


ところで、英国がいつ死刑制度を廃止したか、調べていないのですが、比較的最近ではないか、
と勝手に考えています。


というのも、英国という国をいろどるのは「保守主義」だろうと私は思うのですが、
この「保守主義」というのを私なりに理解すると、

・制度や仕組みや伝統をなかなか変えない。古いしきたりやものを大事にする。

・もちろん、変えざるを得ないときには変える。しかし早急にはやらず、比較的よそより遅れる。

・その代わり、いったん変えると決めたら、断固としてそれを守る。

以上に尽きるように思います。


死刑にしても、ご承知の通り、18世紀になってもロンドンでは公開の絞首刑が実施されて、
観衆が多数あつまって残酷な見世物を大喜びで見物したといいます。

「19世紀初頭まで、イギリスの警察制度というのは、いまの常識からすればないに等しい
ものだったから、
犯罪を抑制する方法は先手を打って防止することではなく、また犯罪者を必ず捕えて罰を
加えることでもなく、たまに捕えられた犯人にとてつもない厳罰を加えることによって
見せしめをすることだった。だから押し入り強盗の場合、12ペンス以上奪えば死刑、
空き巣の場合なら5シリング以上盗むと死刑だった・・・・」(小池滋『ロンドン』80ページ


ここから、死刑廃止にいたるまでの歴史を考えると、これが「本物の保守主義
ではないかという気がします。


保守主義」とは、基本的に古いものを大事にする、しかし、
それが間違っていると、時代とともに改めるべきだと認識したら徹底的に変えて、
それを断固として守る・・・

この「古いものを大事にする」という姿勢・生き方ですが、京都の仲間である加藤さんが、
自身のブログで、非常にいい発言をしています。
http://sandgasa.exblog.jp/14382200/

実にたくさんの読者のコメントが寄せられているのは、共感する人がいかに多いかということ
の証左だろうと思います。