『ANPO』 &国産ワイン

またまた遅れましたが、さわやかNさん、Northさん、コメントまことに感謝です。

過去の「安保闘争」への若い人の関心が持続しているとすれば、有難いことです。

映画『ANPO』の情報、有難うございます。この夏から一般公開と聞いて
いますので、その折に見ようと思っています。6月15日に東大・安田講堂
で上映とシンポジウムがあったそうですが、年寄り&同世代が顔を出すのは
気が引けて敬遠しました。監督がそういう経歴の持ち主とは知りませんでした。


60年と70年と異なるとはいえ、70年でも、まだ学生に対して中島さんの
お父上のような寛容があったのですね。いいエピソードと思いました。
60年当時であれば、大学への進学率は6〜7%だったでしょうから、良くも悪くも、
まだエリートと言ってよいのでしょう。もっとも学生が、こういう寛容に、自らどの
ように謙虚に自制したかはまた別の話ですが。


60年と70年安保闘争との違いについては、難しいことはわかりません。
私個人でいえばその間に社会人になり、アメリカ暮らしを経験しており、ますます
ノンポリになっていました。
社会全体も「もはや戦後ではない」「所得倍増」路線が主流に
変わっていったのではないでしょうか。


60年安保闘争について、私個人で言えば、安保条約の改定や批准に抵抗する
「草の根の民主主義」や「労働者や市民や学生の連帯」といった難しい
理屈や高尚な動機とは関係なく、岸首相に対する反対運動という気持ちが
強かったと思います。かつ、そういう参加者は、樺さんのような本格派とは異なるが、
かなり多かったのではないか。


何と言っても、敗戦からまだ15年しか経っておらず、戦争中の東条内閣で
商工大臣をつとめ、A級戦犯だった人間が、また復活してきた、そのことへの、
大げさにいえば「怯え」というか「嫌悪」というか・・・身内を戦争で亡くし、
戦後の困窮の中に日々を送る者の、ごく個人的な「恨み」が、すくなくとも
私であれば大きかったように思う。
(私の場合、さらに個人的な理由があって、戦争中でも岸大臣の思想信条・生活態度
に反発する若手課長連中もいたようで、敗戦直前に死んだ父親もその1人だったと
間接的に聞いたことがある)。


私怨みたいなものだから、自分自身の行動をとくに正当化する気も弁護する気もないし、
逆に同世代であっても、戦争で、身内を亡くしたとか家を焼かれたといった悲惨な
経験をしていない人(例えば、おそらくは京都人の多く)にはたぶん理解して
もらえないだろうという
諦めのような気分も感じていました。



安保は通ったけれど、岸首相は退陣した。


それなりの決着があって、3年生だった私個人であれば、何となく、卒業して
このまま体制の中に入って行くのがいやだった、日本を脱出したいと思った・・・
そのあげくのノンポリ人生になってしまいました。


詰まらぬ懐旧談で長くなりました。

退屈しのぎになるかどうか知りませんが、話を全く変えて、17日(木)京都の
「ゴスペル」でワインを飲んだことを書いておきます。


1週間弱、京都に居て昨日帰京したばかりです。

3月まで現役だった大学に行き「現代社会と社会起業家」と題して1コマ喋ったり、
法事に出たりしましたが、「ゴスペル」について書いておこうと思ったのは、
京都での仲間の藤野さんがブログで、この場所を紹介して下さったのを
読んだからでもあります。
http://d.hatena.ne.jp/mfujino706/20100619
藤野さん有難うございます。

「ゴスペル」の若奥さんがソムリエだそうで、そのご縁から、「日本ワインの
最高峰SOLARISを愉しむ会」という企画が立てられ、30人が会費5000円で
参加しました。楽しかったです。


マンズワインソラリス醸造責任者の島崎 大さんが来られて、話をきき、
お料理とともにワインを試飲しました。


島崎さんは、マンズワイン入社後、フランス・ボルドー大学で学び、フランス
国家資格であるワイン醸造士国家資格を取得、同大学を首席で卒業した由。2001年に
国産プレミアムワイン「ソラリス」シリーズの醸造責任者となり、2007年には、
雑誌ニューズウィーク日本版にて「世界が尊敬する日本人100人」に選ばれた。


ワイナリーは山梨県勝沼と長野県小諸にあるそうですが、「ソラリス」は小諸で
つくっている。洞爺湖で開催されたG7のサミットでも出されたとのこと。
海外でも数々の受賞を得、高い評価を得ているとのこと。


ソムリエの若奥さんのスピーチもありましたが、

「自慢するわけではないが、シャルドネ(白ワインの品種)の産地や銘柄を
当てる品評会で外れたことがなかった。それが1度だけ、どうしても当てられない
ワインがあり、それが国産の“ソラリス”だと教えられ、それ以来、追っかけている」


という話が面白かったです。


有難いことに、島崎さんのお隣りに座る幸運に恵まれたので、いろいろ
素朴な質問も出来ました。

「なぜ、そこまで到達したのか?」という質問には、

「好きだから」と

「歴史や地理や文化や、幅広く勉強したと思う。それが役立ったのかも
しれない」という回答でした。

ちなみに、「ヴィンテージ・ワイン(銘醸)ワイン」とは、

・そこでしか出来ないもの(風土)
・作り主の主張があるもの(個性)
・王道を行くもの(流行を追わない)

の3つが大事だそうで、ワインのことだけではないなと思いながら聞きました。

ソラリス(「太陽の」)の小売価格は1本5000円だそうで、もちろん
我々庶民には手が届きませんが、他方でもっと手ごろな「醸造家のハウスワイン
という銘柄もあるようで、島崎さんも「普段、家ではこれを飲んでいます」
と言っていました。
当日お土産に頂いたので、いつ開けようか、いまからわくわくしています。