「独りの場所」も大事

yanagiさん、遅くなりましたが有難うございます。

もう1つ別のブログを始められたそうで早速「お気に入り」に入れました。
http://d.hatena.ne.jp/yanagi803/

1.「居場所」は大事だと思うのですが、残念ながら「人徳」とは関係なさそうです。


但し、「居場所」と言う時に、「人が集まる場所」がもちろん大事ですが、もう1つ
必要なのは「独りになる居場所」ですね。

最近の学生を見ていると、「いつも友達とつながっていないと疎外される」という
プレッシャーを強く感じているようで気の毒になります。

常々「独りであることを恐れるな」「独りの時間を大切にしろ」「独りの場所を
つくれ」と語っているのですが・・・・


前にエッセイにも引用したことがあるのですが、石川啄木の歌を思い出して、
不来方(こずかた)のお城の草に寝ころびて、空に吸われし十五の心」

いまの若者も時に、草に寝て、何時間もぼうっと空を見ていてほしいものです。


2.以上は、以下の「言い訳」みたいなものですが、自由時間が増えたので、
信州の田舎の家に独りで往復し、3日ほど滞在してきました。

この年で、車を往復ひとりで運転(片道180キロ強)するのは初めてでしたが、
意外と順調でひと安心。食事の方はほとんどが、妻が用意してくれたのを持参。


あとは、散歩をし、山を眺め、大いに酒を飲み、下らぬ本を読み
アガサ・クリスティーのミステリー再読)、CD(格好つけると、
ワグナーをじっくり)を聴き、300円の温泉に入り・・・。

テレビも新聞も見ず、ほとんど人と喋らない3日間でした。


3.但し、有難いことにインターネットは扱えるので、メールが入ってきます。


我善坊さんから「GDPと税収」というレポートが送られてきました。無断で勝手に
引用してしまい恐縮ですがお許しください。(今回のブログの著作権
氏と共有です)


「ひとつ簡単な数字の比較をしてみました。

1990年と直近の2009年度(または2008年)との税収とGDPの比較です。


1) 名目GDP(暦年)は、 ・1990年  440.1兆円 
               ・2008年  494.2兆円 (+54.2兆円)
 (注;ただしこの間、実質GDPでは約23%増加している)

2) 一般会計税収総額(以下はすべて年度) ・1990年度  60.1兆円
   ・2009年度  36.9兆円 (−23.2兆円)

3) ((2)のうち)所得税収入
   ・1990年度  26.0兆円 ・2009年度  12.8兆円 (−13.2兆円)

4) ((2)のうち)法人税収入   ・1990年度  18.4兆円
    ・2009年度   5.2兆円 (−13.2兆円)
5) ((2)のうち)消費税収入
   ・1990年度   4.6兆円
   ・2009年度   5.2兆円 (+0.6兆円)

名目GDP(その年の日本の稼ぎ総額。税は当然名目所得に課税される)は20年弱の間
に12%増えているのに、税収のほうは40%(−23.2兆円)も減収になっています。


1990年度と2009年度の税制を比較すると、

   ・ 所得税最高税率 1990年度(50%)、2009年度(40%)
   ・ 法人税率      1990年度(40%)、2009年度(30%)
   ・  消費税率      1990年度(3%)、 2009年度(5%)


つまり所得税最高税率法人税率を引き下げた結果が、GDPの増加にもかかわら
ず、大幅な税収減をもたらしたと言うことが出来ます」

4.以上の比較はたいへん面白い、というか、衝撃的ですね。
(我善坊さん、分析まことに有難うございます)
もちろん、1990年はバブルの最盛期ですから、この点を割引する必要はあるが、
それでもちょっと背筋が寒くなる。


まさに、我善坊さん言われるように、
「名目実質のGDPはいずれも20年前より増えている、つまり企業、個人の所得は
増えているのに、税収が大幅に減少したのは何故か?」「どうしたらよいか?」

というのは大問題です。


5.以下は私の雑駁な感想で、異論のある方も多いと思いますが、

(1) 税率の変化だけでなく、「税の捕捉率」と「地下経済」がどうなったか?
も調査する必要がある。また、法人税については、メガバンクを筆頭に
赤字の大企業が
長年、税を払っていないという問題がある。


(2) 所得税について言えば、納税者の「構造変化」が大きいのではないか。
即ち

源泉徴収される勤労者の減少

・勤労者のなかでも正規労働者の減少(非正規やNPOに働く人間の増加)

所得税をあまり払わない高齢者(年金のみの所得者など)の急増


6.つまり最大の問題は「高齢化」、税金をあまり払っていない高齢者の急増にあるのでは
ないか。

特に、団塊の世代の退職は大大問題で、年金受給の増加と(捕捉率のきわめて高い)
源泉徴収される納税者が減るという、負の効果がバイマンで効いてくる。


7.これに対応するには、一定の所得と資産以上の高齢者への税負担を増やして、
タックス・ペイヤーを増やすしかないのではないか。


もちろん、そのためには高齢者にも働いてもらって所得税を納めてもらうのが一番だが、
それが困難な場合、「消費税のアップ(一定の条件・歯止めのもとで)」はやはり
止むを得ないのではないか。


8.もちろん、異論のある方も多いだろうと思います。


何れにせよ、明日は参議院選挙。皆さん、ぜひ、投票しましょう!

9.最後に、税の問題にまた戻ると、いちばん大事なのは「捕捉率を上げること」
「タックス・ペイヤー」を増やすことと同時に、

「納税意識を高める」ことだと思います。


それには、「アメと鞭」、とくに「アメ」が不足しているように思う。


これは皆さん、ジョークだと思うでしょうが、私は結構真面目に考えているのは、

・戦前のように「爵位制度」を復活して、高額納税者をどんどん「(一代限りの)
男爵(バロン)」にしたらどうか。


・そこまで行かなくとも、今の勲章に「何とか褒章」という色の付いたのがあるが、
これを1つ「ピンク綬褒章」でも作って(「国家功労賞」でもいいが)、高額納税者
毎年表彰する。受章者は、皇居で天皇・皇后と食事をともにして、
メディアで「納税義務を忠実に果たし、日本国に多大の貢献をした功労者」
として大々的に誉めたたえる・・・


そのくらいの「マーケティング」努力をすべき危機的な時期に、
いま日本は置かれていると考えます。


ところで、八ヶ岳山麓の散歩道を歩いていたら、鹿がいました。