「エコノミスト」の記事「年を取るのは楽しみ(The joy of growing old)」


柳居子さん、さわさきさん、有難うございます。
さすが博識のお2人、ブログを通して教えてもらえるのは幸甚です。

万葉集の「くにみ」は舒明天皇の御製ですか。なるほど。そういえば鶴見さん、
読み返したら「だいたい『万葉集』からいえば、小高い丘の上から見える
範囲全体が「くに」なんですからね」と発言しています。
「やまとのくに」、いい響きですね。

司馬遼太郎については書きたいこともありますが、今回は省略します。


さわさきさん、お勧めの『翻訳語成立事情』(柳父 章)
さっそく買ってきて読みはじめました。


最近本を買うのは、渋谷の「丸善ジュンク堂」に行くことが多くなりました。

我が家から渋谷までも格好の散歩道です。


本屋は、東急百貨店本店に9月にオープンしました。
7階の全フロアをしめて、なかなか楽しい本屋です。
丸善は経営不振でジュンク堂と業務提携したのだったか。これが
共同での1号店かもしれません。丸善の落ち着いた雰囲気とジュンク堂
マーケティング志向とがうまく混じり合っています。
コミックの棚が大きく占めているのは、いまの風潮でしょうね。


出版不況で、本を読まなくなった、と言われているいま、こういう大きな
店舗は冒険かもしれませんが、まずまず人も入っています。


本を手に取って座るコーナーもあり、隅には喫茶店もあって
だいたい空いているのでゆっくり本を読むのは快適です。


この日は、上記の本を買ったあと、「ジ・エコノミスト」12月18日― 31日号の
特集記事
「年をとるのは楽しみ(人生はなぜ46から始まるのか )」を読みました。

お堅いイギリスの経済雑誌にしては面白い読み物です。

ということで,一部を紹介したいと思います。
以下、私の感想は抜きにして内容のみです。


1.年を取ることを嘆く声は多い。
しかし、最近の経済学者の調査研究によると、年齢と「幸福度」との
関係は平均値でみると、U字型となることが明らかになった。

2.以下、属性に応じて概括すると、
(1)男女――女性の方が多少、「満足度」は高い。
ただし、「落ち込む(depressed)人」も女性の方が多い。


(2)性格:神経質な人は低い。外向的な人は高い。

(3)年齢:30歳と70歳で比較すると後者の方が高い。
   この相関関係がU字になることは、1990年代までは誰も気づかなかった。
   最新の調査では、40代から50歳前半が底であり、
世界平均の最低値は46歳である。

3.人間の感情と年齢との相関関係を調べると以下の通り。
(1)幸福感:中年で落ち込み、その後は上昇する。
(2)ストレス:20代後半に上がり、その後、急下降する。
(3)心配・不安感:中年でピークに達し、その後、急低下。
(4)怒り:年齢に応じて一貫して、下がる。
(5)悲しみ:中年で多少上がり、その後下がる。


4.国民性との関係もある。
例えば、イギリス人は平均して、中国人や日本人よりも外向的で幸せを感じる
人も多い。


5.お金があることは「幸福度」と関係するか?
ある程度のお金は大事だろうが、1人当たりGDPと幸福度の関係を調べると、
国によって異なることが分かる。例えば、
イギリス、アメリカ、デンマークなどでは
幸福度の方が高い(つまり、相対的に、経済的に裕福である以上に
満足している)。日本はやや低い(豊かな割には幸せに思っていない人が
いる)。ホンコンはさらに低い。


5.なぜ、加齢によって幸福度が増すのか?
いろいろ理由があるだろうが、1つの説明として以下が言えるのではないか。
・死に近づいていることを知り、いまをより一層楽しく生きようとする。
・同様に、自分にとって大切な事柄に時間を集中しようとする。
・「例えば、若い人は、カクテル・パーティなんかに本当は
行きたくないのだが、
将来自分にとって役に立つ人に会えるかもしれないという期待があって出席する。
年寄りは、そんなことに興味を持たない)」

6.まあ、こんなところでしょうか。
記事の最後ではこんなことも書いています。

(1) 幸せに感じる人ほど、健康である場合が多く、より創造的にもなる。

(2) 一般に「高齢化」というのは社会や経済にとって大きな問題だとマイナス面で
語られることが多いが、U字理論は、「高齢化」をもっと肯定的に捉える必要を
示唆しているのではないか。



7.そして記事は英国人らしいジョークで締めくくっています。

「いまの世の中、いいこと無いよねとますます
憂鬱になっているあなたに、
これからは楽しくなりますよと言ってあげたい。
とくに「ジ・エコノミスト」の読者には元気を与えることになるだろう、
本誌読者の平均年齢が47歳なのだから・・・・・」

ちなみに、この記事、インタネットのサイトにもあります。
http://www.economist.com/node/17722567