再び外国人献金問題(前原外相)と「がんばれ」

昨日、東京は時ならぬ雪でした。


1.皆様コメント有り難うございます。
ジョージさんはご意見いまいち把握しておらずお礼だけでお許しください。


新聞によると「法律が禁じている外国人から政治献金
もらっていた問題で前原外相が辞任した」。

これを「日本のために悲しむ」と思っている人がいるだろうか?

まず、十字峡さんのコメントについて、人情論として100%同感します。
ここでは生意気ながら、法の解釈について独断的にしゃべります。


2.大昔、憲法の宮沢教授や民法法社会学の川島教授に教えられたのは
以下のようなことでした。


(1)法律の条文は所詮人間が作ったものだから不備も欠陥もある。
それを補うのが法解釈の任務である。


立法の趣旨、立法者の意図、その後の価値感や社会情勢や国民感情や国際
状況の変化などを真剣に考えて解釈する。

(2)だから、判例が大事であり、法とは実定法と判例のつみ重ねとを
合わせたものである。
だから法律学は大事だし、ダイナミックだし、面白いのだよ・・・・と。


3.もちろん、これに反対する学者の方が多いかも。とくに大陸法系の人。
2をAとし3をBとすると、Aでは恣意的になるという批判で、
一語一句、条文の言葉にそって、文理解釈をすべきであるという意見。


4.私は断固、Aを教えられたと思います。


ここからすれが、本問題は
「Bからすれば違法だが、Aからすれば必ずしも違法とはいえない」
法とはそういうものだと思います。
どちらかを判断するのは法律家であり、最終的には国民です。


「法律とは、解釈→判例・事例を通してダイナミックに国民
みんなが作っていくものである」


これが、真の「法治国家」であり「法の支配」と考えます。


5.ちなみにご承知のとおり、アメリカの政治家には法律家出身が多い。

日本にはそういう法律知識のある人がいないのではないか。


古い話にはなるが、
かのリンカーン大統領は、敏腕の弁護士だった。
大統領になってからも、演説で憲法解釈について精緻な議論を展開している。
そしてその多くが(英米法だから当然ともいえるが)Aの立場に沿っている
(詭弁といわれようと、断乎ひるまない)

こういう政治家が日本にも居ないものでしょうか。


実は、いま一番A理論が必要とされるのは憲法9条の解釈です。


6.因みに、本日の日経朝刊にこういう記事が載っていました。

・・・小沢代表も、衆院の新人議員に・・・「外相なんて誰がなったって
一緒だ。君でもできる」と軽口をたたく余裕を見せた。・・・


これが本当なら、こんなひどい・悲しい「軽口」は前代未聞
と思う。
こんなくだらぬ記事、外紙が報道しないことを祈りますが、
ヒラリー・クリントンが知ったら
「私の相手をその程度に考えているのか!」
と罵詈雑言を発することでしょう。


言うまでもなく国務長官アメリカでは大統領に次ぐ重職です。



6.次に「がんばれは地獄の言葉」という発言について。

我善坊さんの「努力する」とは違う、我を張る、(無駄に)努力する・・というニュアンス
ではないかというご意見もあると思います。


しかし「努力する」に近いことばではある。
「類語大辞典」(講談社)には「努める」の項に
「がんばる」も入れてある


それと私個人としては、2つの違いをタイムスパンの違い
で使っています。



つまり、一生、がんばり続けることは難しいが、努力し続けることは
不可能ではない・・・



7.前々回のブログで東京マラソン2011
「がんばれ、がんばれ、ファイト、ファイト!」と声を枯らして
応援している女性がいて、気持ちよかった、と書きました。


これを、さわやかNさんのように「あいさつと考えたらいいのでは」
も実に面白い指摘で、理解できます。


しかし同時に、私であれば、弱い自分に対する叱咤激励と
受け止めたい。


本来、怠け者の私は「がんばれ」とでも言われないと動かないのです。
(「努力しろ」と言われると「ああ、明日、努力しよう」と思ってしまう)


8.それと、超右翼といわれるのを覚悟して言えば、
「がんばれ」で真っ先に私が思うのは以下のことばです。


「皇国の興廃この一戦にあり
各員いっそう奮励努力せよ」


日本海海戦で、旗艦「三笠」に掲げられたZ旗
秋山真之参謀の起草と言われます。


これ英語では

“The destiny of our empire depends upon this action.
You are all expected to do your utmost.”


この、さらに昔、1805年、トラファルガー沖海戦でナポレオン支配を
打破すべく、ロード・ネルソンは旗艦「ヴィクトリー」に以下を掲げました


「英国は各人がその義務を尽くすことを期待する」
(England expects that every man will do his duty)


そして、彼は大勝利の報を聞きながら、敵弾に倒れて艦内で
死去します。最後の言葉は
「私は義務を果たした」
(I have done my duty.)


9.どんなに古い・好戦主義者と非難されようと、
これらの言葉を感動とともに思い出すことしか、私にはできません。



いずれにせよ、本当は、「がんばれ」の是非を
論じたいのではなく、某「宗教評論家」の粗雑なロジックを
指摘したかったのですが、紙数が尽きました。