「胸中の公平な観察者」(アダム・スミス)とアメリカ憲法


1. 十字峡さん、13日付のコメント有難うございます。
京都はたしかに進んでいますね。
21日(土)に東京恵比寿で小さなセッションがあり、品川区でNPOの代表をしている若者(本業はソフト開発の会社勤務で震災当日、岩手にいて帰京できなくなり、160時間ボランティア活動に加わったとのこと)に会いましたが「京都は全国でいちばん進んでいるのではないか」と言っていました。
ご健闘を祈ります。


2. 我善坊さん、ご指摘の通りですね。
アダム・スミスの、人間には「私」の中にもう1つ「胸中の公平な観察者」がいるという仮説はまことに面白いですね。

そして、まさに指摘の通り、「昨今のマスコミに登場する有名人の政府批判」・・・
マスコミはあまりフォローしていないので詳しくは知りませんが、政治家もメディアも有名人も「私たち」も、果たして「胸中の公平な観察者」として判断し、発言しているのでしょうか?


3. この頃、つくづく思うのですが、どうも

「日本人の国民性には、英国流の議院内閣制は向いていない・無理なのではないか?」という疑問です。


その理由を長く書いている紙数はありませんが、

(1)「プリンシプルのない日本」(白州次郎の言葉)では、「政党」が「理念」と関係なく結成されること(自民党がその悪弊をつくり民主党も引きついだ)」
(2)日本人は頭が良い人が多いので人の欠点がよくわかる。「出る釘は打つ」「他人の足は引っ張る・・・」
(3)システム構築能力の問題――政治は(政治だけでないけど)システムだと思うのですが、「コミュニケーション」「リーダーシップ」「チームワーク」「システム」・・・等々の言葉がすべて「カタカナ日本語」だということは、そもそも、そういう概念(コンセプト)そのものが日本人の思考と行動には(良くも悪くも)ないのではないか?
・・・等々は指摘したいところです。


4. 総理大臣も、地方自治体の首長のように直接公選にして、1期4年で最長2期までとする・・・・の方がよいのではないか。

ニワトリと卵ではないが、逆に、4年はやれると決まったらリーダーたるもの、この間は(たとえ支持率が低くても)頑張ろうということで、人材も育つのではないか・
因みに、異論のある人も多いでしょうが、私は「支持率調査」というのは、マスメディアのマスターベーションではないかと考えています。


「管さんを支持するか否か?」なんて訊かれても、
「今の国会議員定数をどう思うか?」
「1票の違憲問題をどう考えるか?」
参議院はどうあるべきか?」(本来、参議院衆議院は機能が違うから存在意義があるので「ねじれ」なんていう言葉がおかしい。「ねじれ」は同じものが2つあるから生じる)
「議院内閣制の効果を出すためにはどうしたらよいと思うか?」
「政党の党員数はどうしてこんなに少ないと思うか?どうしたらよいか?」
・・・・等の意見を聞かせてもらって、それを確認してからでないと、少なくとも、私は答えられません。



もちろん某都知事のように、4期目に登場するなんていうのは許しがたい暴挙、論外で、これはそもそも、法律で規制できない「私たち」の責任ですね。
(つまり、某都知事や菅さんがいいか悪いか、という次元の話ではなく、「システム」が構築されていないということが問題なのです)
(仮に、リンカーンが最高の大統領で「余人をもって代えがたい」と皆が思っても8年で終わる。これが「システム」です)


5. 因みにご存知と思いますが、アメリ憲法は、1947年制定の修正22条で「2回を超えて大統領に選出されてはならない」と決められています。


(1) これには背景があって、1947年までは成文の決まりはなかったが、初代のジョージ・ワシントンが3期目を勧められたときに、健康を理由に断った。
(2) 以来、2期というのが不文律になって、その後3期目を狙う大統領も居ないわけではなかったが、何れも失敗した。
(3) ところが、フランクリン・ルーズベルト(FDR)は戦争中ということで4選された(途中で病死したが)。
(4) 戦後、やはりこれは良くないということで2選までと憲法に加えられた。

という経緯です。最長8年、副大統領から昇格の場合は最長10年で終わりです。


因みに、アメリ憲法は前にも書いたと思いますが、
改正は、もとの条文を残して、これに「修正」を加えていくという形をとり、歴史が分かるのでなかなかよいやり方だと思います。


このやり方でいちばん面白いのは、
この国は
(1) かってピューリタンの禁酒運動の成果で「禁酒法」を実施したが、うまく行かず(アル・カポネなどギャングの温床にもなり)
(2) 廃止された。
のですが、
(1) は1919年の憲法修正18条にあり
(2) は1933年の修正21条にて第1節は「修正18条は廃止される」
とあって両方とも憲法として残っていることです。

6. ということで話が長くなりました。


当初は、冒頭ちょっと触れたように、5月21日(土)恵比寿にて3時間におよぶ、「友カフェ」と言う名の小さなセッションでスピーカーを務めたので、その報告をしようと思ったのですが、紙数がなくなりました。



ただ、このワークショップの第1部では、東日本大震災について14名のメンバーが話合ったのですが、こういう話合いによく出てくる

・政府や当事者への批判
原発放射能に関する情報や知識の開陳・・・・等々

が一切出ず、皆さんそれぞれが、「ポスト震災で、何が大事な価値か?自分は何をすべきか?」といった視点での発言で、とても気持ち良かったです。