京都のカフェ「あむりた」と土井善子さん

ブログの更新が遅れています。
コメントを頂いた皆様へのお礼も遅くなり、まことに申し訳ありません。

千円札の写真(野口英世漱石)や福澤の「天は人の上に〜」など、面白いコメントまことに有難うございます。
福澤については、フォローするつもりです。


ただ今回はその前に、13〜16日京都滞在、ソーシャルビジネスのフィールドリサーチの報告です。

今回、KSENの仲間植木さんと訪問した1人に土井善子さんがいます。有限会社思風都(シーフード)http://seafood-kyoto.com/profile.html
創立者で、NPO法人中小企業家コンソーシアムの理事長です。彼女に会ったのはJR二条駅前にある仏教大学二条キャンパス内にある「就労継続支援事業所あむりた」です。

「あむりた」は事業所であると同時に大学の学生食堂であり、一般の人にも開放しているのでカフェレストランでもあります。
2011年4月キャンパスと同時にオープンし、土井さんはこのために京都中小企業同友会の会員企業10社、障害者福祉施設、仏大の教員とともにNPO を立ち上げました。

 レストランは、朝8時半から夜7時まで、日・祝を除いて営業。就労継続支援A型事業所(細かい定義は省略)の指定を受けており、現在、思風都から派遣されたシェフと職員の指導をうけつつ障害者15名が働いています。


ここだけでは15名が限界であり、ここで訓練をうけて調理技術などをみがいてもらい、思風都以外の中小企業にも雇用の場を広げていくことを意図しており、中小企業家コンソーシアムという名前をつけることで仲間に応援団になってもらうという姿勢を打ち出しています。

 学生食堂としては、土井さんの長年の想いである、野菜とシーフードを主体にしたバランスのとれた食事を提供し、同時に学生の学びの場になることも意図しています。


 この日、私たちは、土井さんから話を聞いたあと、昼食をとりましたが、おいしいし、多彩なメニューに感心しました。定番の昼食は学生・教職員500円、一般は1000円。メインのお皿(植木はオムライス、川本は冷やしうどんを注文)の他に、
写真のように野菜主体のバイキングがあります。ご飯も味噌汁もコーヒーやお茶もお代わり自由です。普段朝食を抜いたり、ファストフードに頼りがちだったりする一人暮らしの学生にとっては味も健康上もボリュームも大満足でしょう。

話を聞きながら書き留めておきたいと考えたのは以下のようなことです。
(1)「あむりた」はまだ時日が経っていないこともあって課題はいくつもあるだろう。仕組みづくりと人を育てること、他の当事者とのコンタクト等が課題と言っていた。行政の補助や大学からの場所提供などの支援はあるが、これだけの料理を500円で提供するのは採算的にしんどいと思う。一般の利用客を増やしたいが、大学内なので派手に看板をだすわけにも行かず、口コミで徐々に知ってもらうのを待つしかないようである。

(2)しかし土井さんは、障害者が調理やサービスを学んでいる姿を見て「人はこうして成長していくんだな」と感慨をおぼえたと語る。
 思うに、彼女自身がまさに、実践を通じて学び、成長し続けている。料理の好きな普通の主婦が小さなレストランを始めて45年。
アトピーになやむ子どもたちへのメニューづくりから、食材や栄養のバランスにこだわった料理づくりへと拡がり、さらには障害者の支援や学生の栄養サポートも考える・・・。


(3) 他方で、ペットショップの経営も始め(お嬢さんがやっている)、こちらはペットを自分の子ども以上に大事にし、お金を使うことを厭わない富裕層を相手にして収益性のある事業もしっかり立ち上げる。


(4) そして夢はと言うと、「レストランはあくまで手段であって理想は日本の農家を残すこと」と語る。高齢化して跡継ぎの居ない農家を助けて、何れは自分で農家と農業経営も手がけたい・・・という姿勢はいつまでも前向きである。
日本の農業を自分でも何とかしたいという想いに打たれました。
 

ちなみに、店名の「あむりた」の由来は、インド神話に登場する不老不死を与える飲料のことで、アムリタという響きを唱えるだけで、聞くだけで幸せが満ちると言われている,とのこと。