再び「本分・義務(Duty)」とワークライフバランス

1. 皆様今年最後のコメントまことに有難うございます。
前回のブログは
(1) お酒のこと
(2) 義務と「生きる目的」について
(3) ワークライフバランス
と盛りだくさんに無整理に書いてしまいました。


2. ということで、まずお酒についてですが
(1) 我善坊さん、若山牧水吉井勇の紹介ありがとうございます。
私はとてもこういう心境も経験もなく、屋台で飲む(昔だったら二級酒の)熱燗で十分満足しております。
しかし、飲むだけでなく、こういう歌を知るのも嬉しいです。

(2)「バラ色の人生」と言っても、バラにはいろんな色があるわな、という柳居子さんのご指摘にも笑って
しまいました。たしかに、酒2合で「黒バラ色に見える」日もありそうです。


(3)お酒と言えば、最近、東京に戻ったせいで、「時々、数人で、池尻大橋のソバ屋で酒を飲む会」に

昔の職場の同僚が声をかけてくれます。
同氏は、某酒造メーカーの特訓(講義と実習)を受けて、めでたく「日本酒師範」という肩書を授与されて
います。
彼の講釈を聞きながら、さまざまな銘柄を飲み明かすという趣向ですが、大吟醸などは避けて、安くて・旨い
酒(純米・本醸造)に限っています。
彼の趣味によるのでしょうが、
「田酒」(青森)
十四代」(山形)
「飛露喜」(福島)
黒龍」(福井)
「獺祭(だっさい)」(山口)・・・などに好みが集まるようです。
私は、まったく全国版ではない岡谷(長野)の「高天超辛口」という本醸造の安い酒を好みますが、
東京では飲めません。

(4)因みに、福澤諭吉も大の酒好きだったようです。


3. お酒の話は切りがないので、少し硬い話題に入りますが、
さわやかNさんの「国民の義務」と「市民の義務」の違い、と言う指摘も興味深く拝読しました。


これまた「定義が大事」という話になってしまいますが、
そもそも英語の「obligation」と「duty」とはどう違うのか?
手元のリーダーズ英和辞典は
obligationは「義務、責務・・・」対してdutyは、「本分、義務・・・・」と訳語が続きます。
同じ研究社の新英和中辞典はどちらも、まっさきに「義務」という訳が出てきます。

誰かに言われて「やらねばならない」のが前者、他人に言われても言われなくても、本来「果たすべき」
内在的な行為が後者、というように私は理解しています。
そして、やはり後者こそ本来の「生きる意味」ではないのか・・・とどうしても考える者です。


福沢諭吉は「職分」という言葉を好んで使いましたが
「本分」も「職分」もいま、あまり使われない。
そうかといって「義務」と言うと「obligation」の意味にとられて「息苦しい」と思う人も出てくる。
だからといって「デューティ」とカタカナで言う訳にもいかない・・・・
言葉は本当に難しいです。


4. 最後に、加藤わこさん、長い・真面目なコメントを有難く拝読しました。
ご指摘の意見や情報、まことに興味深かったです。

(1) WLBという言葉がひとり歩きしているのではないか、まず雇用や社会システムを整備することが急務ではないか、の2点は、共有した感想ですね。

(2) とくに女性にとって、地域や世代によってメンタル面・労働面で違いがあり、前世代の生き方を
否定する印象を与えかねない・・・の指摘はまったく良く分かります。
前回のブログで「WLBなんてあなたの勝手でしょ」と書いたのはまさにそういう意味です。
もういちど私見を整理させて頂きますと、異論もあるかもしれませんが以下の通りです。


(1)企業や社会のシステムをもっと女性が働きやすい方向に変えねばならない。この点は間違いない
(2 ) ただし、どのような社会システムになっても「トレードオフ」は避けられない。仕事と私生活の
どちらも100%「本分を果たす」ことは無理ではないだろうか。
(3) そもそも、人間とは、「全ての何か(自分も他人も自然も時間も・・・)」
を犠牲にして、かつ「自分以外の何か」のために、生きていく存在ではないのか。
(4) 何れにせよ、そのこととワークライフバランス(WLB)とは関係ない。価値あるバランスを考えるのは
個人の問題だし、仕事が即ライフという人がいてもいいと思う(もちろん他人に押し付けてはいけないが)。
(5) 前世代の多くの女性にとっては、子育てや親の面倒や家事を「果たす」ことが「仕事」であり「ライフ」
であったので、バランスなんか考えない「ライフ」の価値を誰も否定できないと思う。


何れにせよ、加藤さん、もっと話し合いたいですね。
来年はぜひ東京にお出掛けください。


東京に居るKSENの仲間も、「友カフェ」の人たちも歓迎するでしょうし、
「自由は多事争論にあり」(福澤諭吉)を実証する機会にもなるでしょう。そして、
http://sandgasa.exblog.jp/17259686/
いよいよ、気仙沼陸前高田へのボランティア活動についてもブログに報告されるようで期待しております。


5. ということで、今回も舌足らずのうちに紙数がなくなりました。


最初の写真は、先輩(慶応義塾)が先日招いてくれた銀座交詢社内にある福澤の肖像画です。

あとは世田谷市民大学でのゼミで福澤の史跡を見に出かけたときのものです。

これらについて語る紙数がなくなりました。
良いお年をお迎えください。