タイム誌2011年今年の人「プロテストする人」

1. 今年もよろしくお願いいたします。
「今年は何に挑戦しようか?」と思う若い世代と異なり、老人の私が
年の初めに思うのは、「何を諦めるか?」になるようです。賀状や
ブログをまだ見苦しくないうちにいつやめるか?難しいです。


2. ということでまだ続けており、今年最初の雑文は、例の
タイム誌が選ぶ「パーソン・オブ・ジ・イヤー(今年の人)」は
「プロテストする人(The Protester)」だというお話しです。

3. タイム誌の選択にどれだけの意味があるか?という批判も
あるでしょう。
所詮、アメリカの1雑誌社の判断ですから、公平かつ高い価値があるか
どうか意見も分かれるでしょう。当然ながら、アメリカの大統領は
ほぼ間違いなく選ばれます。
それでも、それなりの影響力のある英語での情報発信源として話題性は
あるだろうし、1つの判断材料として参考にはなると思います。


4. このブログでは
05年の、「ビル&ミランダ・ゲイツ夫妻とボノ」
http://d.hatena.ne.jp/ksen/20060113
06年の、「あなた(YOU)」http://d.hatena.ne.jp/ksen/20070117

08年の「オバマ大統領」http://d.hatena.ne.jp/ksen/20090111

10年の「マーク・ザッカーバーグ」(フェイスブックの創業者)
http://d.hatena.ne.jp/ksen/20110203

を取上げました。
(因みに、07年はプーチン、09年はバーナンキFRB議長)


5. 今回も06年に続いて、特定の個人ではなく、「ザ・プロ
テスター(異議を申し立てる“人”)」選ばれました。

(1)言うまでもなく、この言葉から、英語圏の人たちなら「プロ
テスタント(カトリックに異議を唱えた、新教徒)」を連想する
ことでしょう。

(2)2011年の「プロテスタント」は、「アラブの春」に始まり、
欧州に飛び火し、アメリカの「ウォール街を占拠せよ」、ロシアの
反政府のデモ、さらにはメキシコ、インド、中国、ビルマ等と吹き
荒れた、抗議行動、デモの動きです。

(3)このような「アンチ(反〜)」の動きは、振り返れば、1968年
(べトナム反戦)、1989年(ベルリンの壁崩壊)以来の出来事であり、
かつ、この2つよりも、「よりグローバルで、民主化をいっそう目指す
ものであり、かつ効果的だった」とタイム誌は分析します。


(4)タイム誌は「ザ・プロテスト・ネットワーク」として、アルジェリア
を1番、チュニジアを2番と時系列に順番に27の国を挙げていますが、光栄と
いおうか、日本もネットワークの中に入っており、
こんな解説づきです・・・・「9月には反原発のデモがあったが、
野田首相原発維持の姿勢を変えていない」。

どうも日本という国では「異議を唱える」発言と行動が最も嫌われるので
はないか?とかねて思っているので、ここに紹介されるのは
ちょっと面映いのですが・・・・

私は不幸にして、「人の意見に異を唱える」ことで人間関係が発展する
と考えている変人なので・・・・「プロテスト」の意義をそれなりに
理解・共感しているつもりですが、この国はそういう人を許さない
のではないか・・・と危惧しています。


(5)タイム誌がなぜ「プロテスター」を評価したか?というのはいかにも
アメリカ人らしい思想であって、

「もともとアメリカという国は、プロテストすることから生まれたのだ
(建国の精神)」
「プロテストという行為は、民主主義の原点なのだ」
という2つの・揺ぎ無い信仰に根付いている訳です。


6. 今年の「パーソン・オブ・ザ・イヤー」の有力候補は他に
どういう名前が挙がったか?
いわゆる「他の候補者(ショート・リスト)
として名前が挙がったのは、アメリカの雑誌の判断だから止むを得ま
せんが、
私には(おそらく他の日本人にも)あまり馴染みのないアメリカ人
の名前もありますが以下の4人です。

オサマ・ビン・ラディン殺害の軍特殊作戦部隊のトップ
・ 中国人の設計家で投獄された政府批判の活動家
北京オリンピックのときの「鳥の巣」と呼ばれたスタディアムの設計者)
アメリカ下院議員で予算委員長
・ 英国の新しく生まれた皇太子妃


7. タイム誌の「パーソン・オブ・ザ・イヤー(今年の人)」に
日本人が選ばれたことはありません。ショート・リストに選ばれたこと
があるかどうかも知りません。
因みに、1927年に始まって以来、中国からは「蒋介石」と「デンシャオピン」
(2回)が選ばれています。

実は、不謹慎かもしれませんが、私は、今回、平成天皇が少なく
とも「ショート・リスト」に入って然るべきではなかったか、と
考えています。

言うまでもなく、東北大震災以降の天皇の言動であり、まさに
天皇は日本国民統合の象徴である」を身をもって体現したのではないか。
この言動によって、私たちは、よりいっそう励まされ、1つに
なれたのではないか・・・・と思うものです。


8. ただしタイム誌は、小さい記事ですが、「2011年の印象に
残ったことば」も紹介しており、オバマや、スティーブ・ジョブズ
カダフィイやメルケル等とともに、Japanese Emperor Akihito
(平成天皇)の3月16日の「おことば」の1節も選んでいます。
「これからも、皆が相携え、いたわり合って、この不幸な時期を
乗り越えることを衷心より願います
(I hope from the bottom of my heart that the people will,
hand in hand ,treat each other with compassion and
overcome these difficult times..)」


なお、「印象に残ったことば」は20人および組織の発言を選んでいますが、
日本からは天皇の言葉のほかにもう1つあって、「みんな、自分たちが
放射能を浴びて長くないうちに死ぬだろうと覚悟していたのです」という、
原発事故の収拾にあたった現場作業者のある母親の言葉です。