いま一度のNYとイエール・クラブ

1. 見て下さる方がまだ居られるかどうか分かりませんが、柳居子さんのコメントへのお礼をフェイスブックに書き残して、PCを持たない旅に出てしまいましたので、今回は9日ぶりです。


この間、ニューヨークとワシントンの郊外にごく短い旅をして19日夜遅く帰ってきたばかりです。
この間、家人も留守しているので、昨日は持ち帰った洗濯をしたり、家事に追われたり(というのは少し大げさですが)やっと本日から落ち着き始めています。
留守の間に、梅が満開になりました。

2. ということで、暫くはニューヨークの話しを記録&報告することになるだろうと思います。

まずは何のための旅か?ということですが、
(1) 前述した、家人の留守に合わせて、こちらも家に一人居ても仕方ないので、という理由が大きいのですが、その他に、


(2) 何せ昔、8年も住んだ街なのに、2005年以来7年もご無沙汰している。


(3) 今年も(おそらく来年も)アメリカとビジネスについて学生にお喋りをする予定なので、ネタを仕入れるというか、久しぶりにアメリカ(と言ってもNYですが)の空気を実際に吸ってきたい。

といったことでしょうか。


もちろん費用の問題、老いた猫を置いていく問題等あり、長い旅は出来ないのでほんの短期間、全部でたった5泊。
もう死語で若い人はまず知らないでしょうが、いわゆる「アメション」です。

3.13日(火)の夜9時前に宿にチェック・イン。
私にとって定宿ともいえる、イエール大学の卒業生用の施設「イエール・クラブ」(YC)です。

友人に、ここの卒業生が居るので、いつも彼の紹介ということで予約してもらっています。
ここが気に入っているのは、

(1) 普通のホテルに比べれば、はるかに素朴で、内装なども質素で、今回もそうだがシャワーだけの部屋に泊まる。
(2) その代わり、値段はちょっと安い。
(3) しかも、食堂、夜12時までやっているバー、天井の高い・広いラウンジ(卒業生であるブッシュ父子、クリントン元大統領の大きな肖像画のある)、ジム、プール、図書室まであり、しかも会員とゲスト・オンリーなので空いている。

(4) グランド・セントラル(大中央)駅(略称・グラセン)に隣接して、ロケーションがまことに便利。

以上に加えて、
(5) やはり、この「クラブ」という存在が、特にアメリカのような国では、安心感がある。
その代わりというか、欠点を言えば、ちょっとスノビッシュな雰囲気がないことはなくて、こういうのは嫌いだという人も居ることでしょう。


(5)を補足すると、アメリカは言うまでもなく、多民族・多文化の国で、ここから生まれるダイナミックなエネルギーと多様性が、特徴でもあり、強みでもあり、魅力でもある。


しかし、それだけに余計、時には同質の人と付き合おうとする欲求が強く働くことになる。
「クラブ」というのはアメリカの場合、そういう欲求を満たす、貴重な「居場所」であろうと思います。


3. この日、チェック・インをして、1613の部屋の鍵―というか、カードをドアに触れると磁気の機能で開くようになる−−をもらって開けようとすると、一向に機能しない。
やっぱりこれがアメリカだよな、と思いつつ、フロントに戻ると「すみません。別の部屋を用意します」ということで、1214に無事に入り、旅装をとく。

この、1613号室で暫くカード・キーと格闘しているときに、向かいの部屋から中年の女性が出てきて、「どうしましたか?」と訊きつつ、一緒にキーを操作してくれたのですが、彼女も開けられず、「私にも分からない」と2人で苦笑い。


いかにもインテリらしい素敵な中年女性で、実は彼女はたまたま、私が部屋に入ろうとした時に自分も自室に戻ってきたところ。いったん部屋に入ったあとで、どうも私がすぐに入れないみたいだという様子を察して、再び部屋を出てきてくれたものです。


4. これもまたアメリカだなあ、とまたまた感じたものです。
もちろん皆がそうだということはないでしょうが、見知らぬ人にちょっと手を差し伸べる、というところがこの国にはあるように思う。

それももちろん、全くの見知らぬ人にも同じ行動をとるかもしれないが、やはり、そこに「クラブ」という、いわば仲間が困っているよなという感情が無意識に働いているのではないか、とも思うものです

旅装を解くと、早速にも、隣接するグラセンのバルコニーにあるバーに座って、ひとりドライ・マテイーニを飲みながら、着いたばかりのニューヨークで、そんなことを考えました。