山奥を降りて京都に5泊6日です

1. 柳居子さん、有難うございます。
いつも的確かつ鋭いコメントには敬服していますが、今回に限っては光栄ではありますが、「田舎のおじいさん」という長年付き合っている連れ合いの見る目の方が現状には的確だろうと思います。


2. その「田舎のおじいさん」が八ヶ岳山麓を降りて京都にやってきました。
5泊6日の滞在で久しぶりにゆっくりしています。
今回のブログもホテルの部屋でのんびり書いています。
茅野から東京にもしばしば出かけますが、日帰りであまり時間がないため要件を済ませるだけに終わってしまいます。


3. 今回は、26日から31日まで、うち27日の日曜は夕食の約束までとくに用事はなく自分だけの時間でした。
前にも書いたように茅野にいて、ストレスがないのはまことに助かります。


都会にいると自分に関係ないことでもストレスを感じることがありますね。
例えば、宇治市の田中美貴子さんがこんなブログを書いています。
http://mikko-t-0513.blog.eonet.jp/default/2012/10/post-07d1.html
近くの駐車場で、知らない母親が幼い子供を平手打ちにしている光景に出合ったことに触れています。
先日、私は新宿から小田急線に座っていたら途中から赤ちゃんを抱いた母親が乗ってきました。
見ていると、誰も席を譲らない。
私は離れたところに座っている。大声を出して、「ここに座りませんか」
と言うわけにもいかない・・・というのはまことにイライラします。

八ケ岳山ろくに暮らすと、こういうストレスがありません。


4. もちろん、当地にないものもたくさんあって、都会に出る楽しみの1つになります。
私であれば、やはり茅野市には、大きな本屋がないし映画館も駅前に小さな小屋が1つだけです。
京都をぶらぶら歩いて、新京極の同時に10以上も上映している映画館を見ると、それだけで感心してしまいます。

本屋を2軒はしごをして、ゆっくり見て廻りました。
来年の大河ドラマの主人公が同志社創始者新島襄の妻八重ということで、出身地のじ会津はもちろん元気を出しているでしょうが、京都も同志社が張り切っているでしょう。
本屋には、なぜかいま、「方丈記」と並んで新島八重に関する書物がたくさん並んでいました。


あれこれ眺めて、岩波新書の新刊『百年前の日本語―書きことばが揺れた時代』(今野真二)とちくま学芸文庫大村はま、優劣のかなたに−遺された60のことば』(苅谷夏子)を買いました。
後者は、最近文庫化されたもの、KSEN仲間の加藤和子さんの推薦で、私は彼女の推薦は信用することにしています。

たまたま2冊とも題名に「ことば」という言葉が入っています。

5. 新京極で映画も観ました。
「推理作家ポー、最期の5日間」という、死の直前に詩人・作家のエドガー・アラン・ポオが自らの推理小説(「モルグ街の殺人」「赤き死の仮面」)などをなぞった殺人事件の犯人を追うという、もちろんフィクションです。ちょっと残酷な場面もありますが、ポオは個人的に関心の高い作家なので、その点からは面白かったです。


原題は「大鴉(からす、The Raven)」で、フランスのボードレールなどに激賞されたポオの詩の題からとっています。

最後の恋人(これもフィクション)が、ポオに向かって、これもよく知られた詩「アナベル・リイ」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%8A%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%83%BC 
を暗誦する場面も出てきます。

ポオの妻ヴァージニアを歌ったといわれる詩で、彼はわずか13歳だったヴァージニアと結婚したが彼女は24歳で肺病のため死去。


昔々、大学生時代、友人に英文科で学ぶ女子大生がいて卒論にポオを選び、この詩を教えてくれたことを思い出しました。


6.お昼は、これも1人、パブでビールとフィッシュ&チップスです。

京都のパブは、これもKSEN仲間の藤野さんに連れていってもらったのが最初です。
そばやもすし屋もパスタもラーメン屋ももちろん茅野や蓼科高原にありますが、さすがにパブはない。
東京にもあるでしょうが、盛り場に行かないせいか、あまり気がつかない。
他方で京都は、繁華街に近いホテルに居て近くを歩いているせいか、よく目に付きます。しかもなぜか、知らないが、「アイリッシュ・パブ」と銘打ったところが多い。

私はアイルランドのパブは知りませんが英国ロンドンのパブの雰囲気は好きで、昔よく入りました。
パイントで飲むビールも、フィッシュ&チップスも大好きです。


この日、「マン・イン・ザ・ムーン」というパブは、四条と五条の間、烏丸通に面した場所にありますが、やはり夜がメインなのでしょう。まことに空いていました。
英国人は昼から大いにビールを飲みます。シティの銀行員など、私が居たころは、お昼にパブで1パインとのビールを飲んでつまみもなく、これだけで昼食を済ませるという連中が多かったです。


日本人はやはり真面目で昼からアルコール、と言う人は少ないのでしょうか。
この日は、ランチのフィッシュ&チップスが500円、4分の3パインとのビールと合わせて丁度1000円。読みかけの文庫本(『進歩がまだ希望であった頃、フランクリンと福沢諭吉平川祐弘講談社学術文庫)を拡げながらです。

大いに満足し、ロンドン時代を思い出しました。
食事の愉しみというのは、もちろん、料理やその味や雰囲気や、一緒にいる仲間が大事だと思いますが、同時に、昔のさまざまな思い出がよみがえってくる、そういう場所で食事をするのもいいものだ、とあらためて感じました。


以上、京都で過ごした雨の日曜日、ひとりの休日についての雑文です。