「第2の国歌、Va penciero」は日本にもあるか?


1. 前回は、ヴェルディの合唱曲「行け、我が想いよ〜」がイタリア第2の国歌と言われるほど愛唱されていること、2011年3月にリカルド・ムーティがこの場面で「アンコール」の大拍手に応えて、オペラを中断して観客に語りかけて、観客も一緒にもういちど歌った「感動的」な出来事を報告しました。

2. この話が旧職場の同期生のグループ・メールで結構、賑やかな話題になりました。旧職場は海外勤務者の多いところだったので、欧州勤務の長い同期生などから貴重な情報やコメントが寄せられます。

話題は、
(1) イタリアと言う国と
(2) 日本に第2の国歌と言われるような歌があるか?の2点です。
このうち(1)のイタリアについては、以下、もとミラノ支店勤務者の解説によると、
統一国家になったのはまだ19世紀末。
北と南では、国民性が違い、今でもミラノあたりの北部には「北で稼いで南が使う」「イタリアの南北統一は間違いだった。北の統一国家だけだったら、ドイツに負けていなかった」と語る人も居るそうです。第2次大戦中にパルチザンとしてファシストと戦ったのも主に北の連中だった由。

・国として国民がまとまるのは、サッカーのワールド・カップのときぐらいではないか。

・それと、もともと、イタリア人は、国家よりも、家族や地域への帰属意識が高い国民で、ギリシャと同時期に財政危機が大きな問題になったときも、「国は貧乏だが、1人1人の国民は豊かで、地下経済も大きい」と指摘された。


・逆に、だからこそ、国民意識は希薄だが、歌(=文化)ではつながっている。だから、「行け、我が想いよ〜」が出てくれば一体感が生まれるのではないか・・・・という指摘も出ました。


3. これに対して日本を代表する(「第2の国歌」と言われるような)歌はないのではないか、ちょっと寂しいと思うというコメントも出ました。

もちろん、「ふるさと」など、誰もが愛唱する歌はありますが、いわゆる「元気の出る{英語で言うUpliftingな}歌」は少ないかもしれませんね。


例えば、オーストラリアには、(歌詞は明るい内容ではありませんが)「ワルツィング・マチルダ」という、国歌以上に誰もが知っていて、皆が集まる場所で一緒に歌って大いに盛り上げるというのがあります。


アメリカがこういう歌は一番多いかもしれず、「リパブリック賛歌」や「アメリカ・」ザ・ビューティフル」「ゴッド・ブレス・アメリカ」等々、幾つも出てきます。

有名な「This land is your land ,this land is my land(この国は君の国、そして私の国)」は明るいフォークソングで、首都ワシントンにあるリンカーン記念堂の前での大合唱のYoutubeでは、集まった何千という人たちが実に楽しそうに歌っています。
http://www.youtube.com/watch?v=HE4H0k8TDgw&feature=endscreen&NR=1

4. 翻って日本は?と考えたときに、たまたま同期生某君と小生がほぼ同じ体験をしたことが分かり,私事ですがとても嬉しくかつ懐かしかったので、そのことを最後に書いておきます。

(1) 以下、某君のメールから勝手に引用します。
―――若い頃、ロンドン勤務中にこんな出来事があった。
家族でオーストリアに団体旅行したとき、
ウイーンで民族音楽とダンスを観る時間があったが、おわったところで、
観光客の国別にひとつずつ歌を歌おうと言い出した者がいた。
最初は、イギリス人グループ、次にフランス、スペイン、オーストリア・ドイツグループ と続き、イギリス人とフラン人は国歌を、スペイン人は、Viva Espanȃ,ドイツ組は
エーデルワイスを歌いました。
次に日本人といわれ見渡すと、もう一家族いたが、どうしていやということだった。
ここで歌わないのは、日本の恥と思い、小さな娘たちと4人で歌うことになった。
しかし、日本を代表する歌がない!!
仕方がないので、「幸せなら手をたたこう」をわが家族だけで歌った。

この歌を知っている外国人は皆無で、誰も唱和してくれなかった。
他の歌は観客も唱和していた。
終わって、つくづく日本を代表する歌がないのはさみしいと思いました。
君が代でもないし、荒城の月でもあるまいし、あえて言えば、上を向いて歩こう(すきやき)
でしょうが、歌詞には自信がなかった。
アジアなら、北国の春とか、昴とかでしようが。欧州では、ちょっっと――――


4.実は私にもほぼ同じ出来事があって、

もう20年も昔のシドニーに住んでいた時代、会社から休みを貰って、
末娘を連れて3人でフィジーに行った時に、船で無人島をめぐる小さなクルーズがあり、ある夜、
無人島に上陸してツアー客皆でキャンプファイアをしながら、それぞれのお国の歌を披露。日本人は我々3人だけで
いろいろ悩んだ末、やはり某君と同じく、「幸せなら〜」を3番まで歌いました。

最初にちょっと英語で(これは娘に任せて)歌詞を説明して、「手を叩く」「手をつなごう」・・・等を皆で一緒にやってもらったら結構受けました。

もっとも、この歌のメロディは日本オリジナルではないという説もあるそうで
以下のYoutubeには「アメリカ民謡」と出ています!!
http://www.youtube.com/watch?v=-rtLSc8uGd4