連休は五月晴れの蓼科高原で

1. 今年の5月大型連休は後半の3〜6日は、蓼科高原で過ごしましたが、好天が続きました。日中はまだ雪を被った山々が良く見え、夜は星空がきれいでした。
桜が東京より約1カ月遅れて満開。その他、こぶしの花、雪柳、れんぎょう、水仙、芝桜などが一斉に花開き、まさに百花繚乱のおもむきで、冬が厳しかっただけに待ちかねた春が一挙に訪れました。

2. 英国ロンドン郊外に40年以上永住するSさん夫妻が3年半振りに一時帰国をして、田舎の我が家に近い原村のペンションに3泊したので、連休はもっぱら老夫婦4人で付き合い、ペンションのオーナー夫妻も少し年下ですが、昔ロンドンに駐在したことがあり、彼らも交えて、会話も大いに盛り上がり、楽しい時間を過ごしました。
おかげで、新聞やテレビを見ることもなく、インターネットに触ることもなく、世の中何が起きているかもフォローしていません。
某友人の話では
「いま日本の最大のミステリーは、STAP細胞問題、世界の最大のミステリーはマレーシア航空機370の行方不明問題」だそうですが、これらに何か進展があったのでしょうか?
後者のマレーシア航空機については、ある時点からあれだけ熱心に報道していた海外のメディア(アメリカのニューヨーク・タイムズなど)がぱったり報道しなくなったのは、確かに奇妙です。


いま報道されている中である程度確度の高い情報は、ご存知の方も多いでしょうが、
(1) 連絡装置「トランスポンダー」が飛行機側から意図的に切られた
(2) パイロットがイスラム原理主義者である
(3) インドの南にある保養地モルジブ島の住民が、「370」が低空飛行で南に向かっているのを目撃している
の3つです。
そこから推測されているのが、モルジブの南に英領のディエゴ・ガルシアという島があり、ここには米軍の基地がある。
従って9.11のニューヨークのワールド・トレード・センターを狙ったような乗客を巻き込んだテロの可能性がまことしやかに囁かれています。
しかし、仮にそうだとしても飛行機がどうなったのか?テロは失敗して撃墜されたのか?など、まったく「謎、」のままで、「世紀のミステリー」と言われる所以です。
あらゆる情報が世界中で検索される現在、飛んでいた乗客260人も乗せた民間の飛行機が2カ月経っても行方不明なんてことが有りうるとはとても思えませんが・・

3. 英国からやってきたSさん夫妻とはそんな話は全く出ませんでした。
私は昔、ロンドンに住んでいたことがあり、日本のようなせせこましい・人が多くてせわしない社会より、よほど余裕があって住みやすいだろうなと羨ましく思うのですが、たまに訪問する彼らにしてみれば、日本人って礼儀正しく・清潔で・丁寧で、何でもきちんと時間通りで、日本は何と素晴らしい国だろう、とほとほと感心するようで、その違いが面白かったです。
誰でも、「隣の芝生は緑に見える」という心情が働くでしょうが、
それにしても、例えば、ドライブしていて、田舎の対面交通の道路で、工事のために一方を閉鎖して片方だけを行き交う車を交互に通している。作業員が両端に立って、車を止めるときや反対側を止めて我々を通してくれるときにそれぞれ赤い旗と白い旗を振って指示してくれるのだが、その度ごとに丁寧に最敬礼してくれる・・・
「なんて礼儀正しいんだろう」と彼等はその光景を見て、大いに感心してくれました。
私には、これが「礼儀正しい」ことになるのだろうか、今だに釈然としないのですが、たしかに海外から来た人は、あの丁寧なおじぎにびっくりするのでしょうね。

4. こまごましたところで、実に便利な・安価なアイディア商品が山のようにある、しかも来る度に新しい商品が登場する、イギリス人の友人のお土産に大量に買い込んだ由。
こういう指摘は分かるような気がしますが、じゃ果たして、そういう「便利さ」がどこまで本当に「大事な便利さ」なのでしょうか。一時の「お土産」には面白いかもしれませんが、常時手元に置いておきたいと、あの保守的なイギリス人が希望するとはとても思えませんが。

これは「商品」というより「装置」でしょうが、最近はお風呂に入るためにお湯を入れると、「そろそろお湯が沸きます」「お湯が沸きました」、と可愛い女性の声で「礼儀正しく」教えてくれる・・・そういうサービスを必要とする人はゼロではないかもしれないが・・・・何でも他人に教えてもらう風潮につながるのではないか、という気がしないでもありません。

「トイレがどこも(例えば、高速道路の休憩所で)きれいになったことが3年半ぶりの日本でいちばん印象に残ったこと」とはSさん夫妻の感想ですが、「押すボタンの多いことにも驚いた。いまだに使い方に慣れずに、よく分からない」という言も。「入ると、黙ってふたが自動的に開くのには仰天した」とも。
まったく、日本人のこういう智恵の出し方って、世界一ではないでしょうか。
トイレについては、そういう中で、「ウォッシュレット」だけは、確かに有難い発明品だなと私でも思います。
しかし、未だにイギリスには(高級ホテルはいざ知らず)家庭でもレストランでも宿でも見かけたことはない、今後ともまず現れないだろう、とSさんは保証してくれました。
日本人の清潔意識はこれまた世界一かもしれません。

5. 日本の素晴らしは以上のような印象の他、言うまでもなく、
・食べ物が豊富でおいしいこと(今は田舎は、たらのめ、こしあぶらなど山菜が盛りです)
・自然が美しいこと(もちろん英国の田舎も素晴らしいですが、ちょうど良い気候に滞在したこともあって、田舎の道をいろどる素朴な桜並木や、雪を被った富士山や八ヶ岳の山々に見とれていました)
・それと何と言っても、温泉
――これも、何と言うことのない、鄙びた、500円で入れる、緑の木立に囲まれた、人も少ない、小さな・静かな、露天だけの・他に何もないお湯に、大感激してくれました。

「イギリス人も、こういうお湯に、裸で入るのは大喜びするだろう」と言っていました。
Sさん夫妻はロンドン郊外、ウィンザー城に近い、ウェントワースという有名ゴルフ場の一角にある築60年の古い家に住み、年4500ポンド払って、ウェントワース・クラブの会員。週に3回はイギリス人の仲間とテニスを楽しみ、終わったあとは、クラブ備え付けの大浴場につかり、まことに快適だそうです。夫婦で「ウェントワース温泉」と呼んでいるそうですが、入るときはもちろん、水着を着用するそうです。
裸になって他人と大きなお湯につかる、というのは3年半前の一時帰国以来の経験だったようです。




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