英国から来たパワーフルな女性たち

1. だいぶ寒くなってきました。しばらくご無沙汰していますが、今年の京都の紅葉はどうかな、と思っています。桜の時期とともに、いまの京都は観光客で大賑わいでしょう。
今回はその観光客の話で、英国からやってきた女性6人と東京で「アフタヌーンティー」をともにする機会がありました。
彼らは、11月18日に帰国しましたが、私が、9月に一緒に英国旅行をした友人2人と一緒に会ったのは10日です。

うち1人(ミセスD)が英国人と結婚した女性で,彼女が案内役です。彼女の,
カントリーにある大邸宅(右の写真)に泊めてもらったことは前のブログに書きました。5人の英国人のうちの1人は、そのとき開いてくれた夕食会で一緒だったので、再会です。
おそらく40代後半から50代初めでしょう、元気あふれる女性たちでした。
相手をしたのは70台半ばの老人2人ですが、「英語でいろいろ話が出来て楽しかった」と言ってくれたそうで、下手くそではあるものの、日本に来て日本人と自国の言葉でしゃべる機会はそうはないようで、それなりに嬉しかったのでしょう。


2.日本にくる観光客が増えているのはご承知の通りですが、意外なところに興味をもって写真を撮りまくるという話をよく聞きます。
インターネットのサイトに「週刊朝日」の記事紹介が出ていましたが、
それによれば、例えば、
「渋谷スクランブル交差点――大勢の歩行者が整然と道路を横断する光景が人気。交差点を見下ろす喫茶店のテラス席は、終日カメラを構えた外国人が並ぶ」
などと出ています。

この写真は私が撮ったものですが、渋谷には近いのでよく行きます。「整然と」と言われると少し首をかしげますが(あちこちから速足で人がやってくるので、歩きの遅い・私のような老人はうろたえることがあります)、まあ海外にはない光景でしょう。
今回アテンドした女性のうち、日本人を除く5人は、日本は初めて。
日程は、東京から広島、京都、有馬温泉、そしてまた東京に戻ってから帰国するとのことでした。温泉宿が高いので、費用節約のため広島はユース・ホステルに泊まるとのことでした。
お会いしたのは、東京に到着した翌日の午後だったので、まだ旅は始まったばかりですが、それでもパワーフルな女性たちの溢れるばかりの好奇心に驚き、しかもその好奇心の対象が、私にはかなり意外だったので、そのことを書いておきます。
パワーフルと言えば、東京のあちこちをタクシーを使わず、原則、電車で移動したようです。


3. 私たちが会った日は、まず早朝から築地の魚河岸を見学してお寿司を食べたそうで、まあこれは定番でしょうが、その活気と沢山の新鮮な魚の姿がかなり印象的だったようです。
「1年後には移転して、おそらくもっとモダンに、クリーンになるでしょう」と言ったら、大いに残念がっていました。
それと秋葉原に行って、「メイド・カフェ」(というのでしょうか?)に入って、「何とも奇妙で面白かった」と写真を見せてくれました。


こういう情報がフェイスブックに流れているようですが、彼女たちの場合は、来るときの機内で英国航空パイロットが教えてくれたそうです。
「なぜ、こんなところに行くのか?」と質問されましたが、行ったことのない我々老人には答えようがありません。
あとは、東京でのこれからの希望として、
「カラオケに行きたい」
「新宿の歌舞伎町を歩きたい。六本木の街を探訪したい」・・・・等々・
歌舞伎町は夜遅く、夕食を終えてから歩く予定だそうで「危なくないのか?」と訊いたところ「女性6人一緒だから、大丈夫・大丈夫」と請け負ってくれました。こういう情報もどこかで得たのでしょう。
その後の情報と感想を聞いていないのが残念です。
もちろん京都は神社仏閣中心でしょうし、東京でもは「伝統工芸館」に行ったようですが、どうも好奇心はもっぱら、こういうところのようでした・・・。
ただ、中国人の爆買いとは違って、買い物には全く興味がないようでした。


4.いちばん会話が盛り上がったのは、
「到着した夜、遅い食事のあと、銀座の街を歩いた。すると、バーやクラブの退け時のようで、きちんとしたスーツ姿の男性が何人も外に出てくる、見送りに来た・着飾った(きれいな和服や洋装の)女性たちが連れそって、男性(つまりお客さん)に向かって何度もお辞儀をしている。あれは何だ?どういう光景か?」
という質問を浴びせられたそうで、ミセスDがクラブなるものの説明をしたところ、
「なぜ、どういう理由で、何を求めて、行くのだ?」という質問が相次いだ。
その点の男性心理は私にもよく分らないので、補足説明をしてほしい、と彼女に頼まれて、「我々2人もほとんど行ったことがないので、あまり詳しくないが・・・」
と前置きしながら、苦労して、以下のような説明を試みました。

(1) いまの若い人たちは違うが、日本の我々の世代は、夫婦が一緒に付き合ったり、自宅に招いたりする機会が少ない。

(2) また若い女性は違うが、我々の世代の女性は、専業主婦が多いせいもあって、興味や関心の対象が男性と違うことが多いので、共通の話題が少ない。
例えば「プーチン大統領は?メルケル首相は?」なんていう会話は続かないことが多い。

(3) 他方で、銀座のクラブの女性などは男性に接するのが仕事だということもあって、新聞もよく読み、耳学問もしている。
従って、男性はこういう場所に行って、普段、妻や友人の妻たちと話さないような会話を交わして楽しむ。
それが1つの目的だと思う」

この説明が、ミセスDの説明のフォローになったかどうか分かりませんし、少し疑わしそうな顔つきで聞いている女性もいました。
しかし、さほど間違いではないのではないか、当たらずと言えども遠からず、ではないかと思っています。


5.最後に、そんな会話から、自分はちょっとラッキーだなと思ったのは、昔の職場や海外勤務で親しくなった友人たちとは夫婦単位の付き合いがまことに多いという事実です。
お陰で、年を取っても(相手も同じようにもう若くはないが)多くの知的で美しい・素敵な日本女性に会って、会話を楽しむことが出来ます。


ちなみに、日本にやってきた5人の英国人女性との会話も、性別はもちろん、年齢も生まれた国も環境も全く異なるにも関わらず、同じような話題が出て、大いに楽しみました。

ミセスDのお宅で初めて会ったステファニーという女性は、なかなかの文学好きで、谷崎の『細雪』や三島を英訳で読んでいるそうで(『細雪』の英訳の題名は「マキオカ・シスターズ」だと教えてくれました)、英国でもそんな話題で盛り上がりました。
日本での再会でも、そのフォローがあり、あの時の会話をよく覚えてくれているなとうれしく思いました。

そんな風に、異国の女性たちととても楽しいアフタヌーンティーだったので、以上書いておきました。
了承も得たので、その時の写真も載せておきます。