新年度や「青年即未来」や谷中銀座のメンチカツ

1. 我が家の・枝を切られた桜の古木も今年も健気に花を咲かせました。

4月1日はエイプリル・フールを楽しんだ方もおられたでしょうか?
この日の東京新聞朝刊は2001年から、「こちら特報部」という同紙売り物の特ダネ記事欄の2ページを使って「嘘の記事」を報道します。
他の新聞もやっているかどうか知りません。
「記事・コラムはフィクションです」と注意書きがありますが、それでも騙される人も居るのでは。
著名人が載せる「本音のコラム」もこの日は真面目に嘘を書きます。
昨年はたしか文芸評論家の斎藤美奈子さんが、「漱石が『吾輩は猫である』と並んで『吾輩は犬である』も書いていた、原稿が新たに見つかった」という他愛もないコラムでした。
今年は佐藤優氏が「外交官の英語力があまりに劣ってきたので、外務省はついに全職員にTOEFLの受験を義務付ける制度導入を検討中」という、何だか笑えないジョークでした。

記事では、ワシントン発として「トランプの趣味が、実は日本の花札であることが関係者の証言でわかった。「万、万が一当選した場合、花札が日本批判をかわす切り札(トランプ)になるかも」
という罪のない偽の情報を載せています。

2.長年を学生・サラリーマン・大学勤務と過ごしてきたので、引退して「天地間無用の人」になった今も、何となくお正月より4月1日の方が新しい年が始まるという気分になります。
手帳も、今でも「1月始まり」ではなく「4月から3月までの」を愛用しています。

手帳と言えば、先週は、大学生になる19歳の孫と半日付き合い、そんな会話も交わしました。
家人の実家と両方の家の墓参をして報告しようという趣旨です。
まず西武線に乗って小平霊園へ。
また新宿まで戻って、日暮里で降りて谷中の天王寺へ。

このお寺は、幸田露伴の小説『五重塔』に出てきて有名ですが、いまは焼けてありません。
どうってこともないお寺ですが、それでも訪れる外国人観光客の姿もちらほら見かけました。

境内には大仏(というより小仏)があり、桜や花桃が咲いていました。


3. 私事ながら19歳の孫は、私&息子と同じ6年制の中高です。
創立者のもと極貧の御家人の子供で幕臣だった江原素六については、以前もブログに書いたことがあります。日ごろ「青年即未来」と言い続けたといいます。
http://d.hatena.ne.jp/ksen/20090830/1289797190
これから大学生活を送る若者を見ていると、この言葉が実感をもって思いだされます。


「天地間無用の人」はあまり余計なことは言わない方がよいのではないかと自戒しつつも、つい5年ほど前まで京都で若者と付き合っていたので、
「大学生になったら・・・・」ということで、3つアドバイスをしました。
「1つは、先ほど触れた、手帳を持つこと」
「2つは、出来れば日記をつけること」
「3つは、いろんな人に会う可能性があるので、その場合は「名刺」を持つこと」
とくに補足することもありませんが、ついでに
「手帳はどちらでもよいが、私であれば“4月始まり”を長年使っている」
「日記は、感想は不要でもっぱら記録のためのもの。3年連用日記のような6〜7行の頁で十分。短く、行動を中心に記録しておく。誰に会ったか?どんな授業に出席したか?どんな本を読んだか?どこに行ったか?」などなど、
も付け加えました。

3. 基本的に「振り返ること、自分の言葉で手書きで書くこと、そして学外の人に会うこと」が大事だと思うからです。


そうしたら彼から「大学での授業で、板書を使ったか?」という質問が出てきて、面白い質問だなと思いつつ、
「いまは、大学の授業で先生はパワーポイントが中心ではないかと思う。
一種の流行になっていて、私も一時期はもっぱらパワーポイントを使った。
しかし、このツールは良し悪しがあって、どちらかと言えば”板書”の方が好きだ。
但し、いまの若者は、教師がずっと喋り、チョークで板書するだけでは退屈してついてこない場合も多いので、適宜映像を見せたりせざるを得ない」
と話しました。


彼の通った中学・高校はいまでも“板書”が普通で、
ホワイトボードや黒板に先生が手書きするのを眺めつつ、自分も手書きでノートをとることが大事だと教えられているようで、
これは、とても良いことだと思いました。
古いと言われるかもしれませんが、「先生の手書きをきちんと見て、自分の手で書く」ことが理解し・覚え、脳を活性化させるために大事な作業ではないかと今でも思う者です。


その代わり中高ではさほど「PC教育」は重視されなかったようで、今でも自分専用のPCは持っていないというので、これは大学生になったら必須だろうという話をしました。
簡単な情報の入手だけなら、スマホで良いでしょうが、大学生になったら、きちんとした情報をインタネットで入手し、かつ「オフィス機能」を使ってパワーポイントやイラストレーション(後者は私は出来ませんが)のソフトで文書をまとめ、上手に発表できるようにすることは、いまの時代まことに重要でしょう。

いまの大学生、学ぶことは昔より多いかもしれません。たいへんですね。

4. そんな話を交わしながら、墓参を終えて、谷中の商店街に寄り道しました。
ここも東京の下町の雰囲気をいまも残しているということで人気があります。
揚げたてのメンチカツが人気の店が幾つもあります。
「夕焼だんだん」という、夕焼がきれいにみえる階段があります。
ここにも外国人観光客の姿が目立ちました。
折角遠くから来たのだから、楽しんで、良い印象を持って帰ってほしいな、と思いました。


帰りの電車は平日の昼間なので空いていましたが、彼は座ろうとせず立ったままでした。
大昔、母から「若者は電車では立っているものよ」と言われたことを思いだし、彼の場合は江原素六の学校でしつけられたのかなと思いました。