トランプ本当に勝つの?副大統領候補は?

1. 連休を田舎で過ごそうとまた中央高速と国道17号を走りました。
2週間前は韮崎の桃の果樹園が花ざかりでしたが、今回はもう散っていました。花の命は短くて、静かに終わります。

それに比べてアメリカ大統領選挙が長丁場で、騒々しいこと。


2. 民主党は4月26日の予備選東部5州のうち4つをヒラリー・クリントンが抑え、ほぼ決まり。
但し、その前の4月19日にニューヨーク州の予備選当日のニューヨーク・タイムズ(NYT)は、「サンダースは、まだ戦うべき」と題する社説を載せました。

要旨は ――まだNYの予備選の投票も始まっていないが、結果が分かったら、サンダースに対して、戦線から撤退しろとの圧力が間違いなく強まるだろう。しかし撤退すべきでない。
サンダースは現実よりもヴィジョンに立つ政治家である。彼が選挙戦を続けることで、より政策論争が深まったといえるのではないか。彼が提起している問題は、本来民主党が取り組むべき課題ではないのか」

NY Tは早くも1月30日に社説でヒラリー支持を打ち出した新聞だけに、面白く読みました。


しかし、メディアは早くも、彼女が誰を副大統領候補に選ぶかが大きな話題です。
サンダースを選ぶ可能性はまず無い。
もっとも有力と言われているのが、オバマ政権の現閣僚の1人、ジュリアン・カストロです。ハーバード・ロースクール卒業。41歳の若さとテキサス出身、メキシコ系という3点が、何れもヒラリーにはない強みです。
誰と組むかは結構大事な戦略で、投票者の積み増しが可能な、自分にない、異なった人物を選ぶことが多い。


3. (1)他方で共和党は、ご承知の通り、ドナルド・トランプが5州で圧勝し、代議員198人を獲得、クルーズとケーシックはわずかに3人と9人でした。
予備選であと250人を取れば過半数に達し、党大会前に彼で決まりです。


今後の見通しとしては、大票田のカリフォルニア(6月7日、代議員総数172人)に加えてニュージャージー(51) ウェスト・バージニア(34)などもトランプ有利の予想です。
問題は、直近の5月3日のインディアナ州57人。ここでトランプが勝てば、カリフォルニア予備選でほぼ決まりと、明日3日の結果に全米の注目が集まっています。


(2)しかも、そのインディアナ州では、2位のクルーズと3位のケーシックが手を握り、後者はここでは選挙運動をしないと約束しました。事前の調査はトランプですが、連合が功を奏してケーシック票がクルーズに回って彼が勝てば、まだ分らない、負ければここでほぼ勝負ありの見通しです。


(3)6月7日の最後の予備選までにトランプが過半数を取れなければ、党大会での決着となる。
大会では誰かが過半数を取るまで代議員による投票が続く。おまけに3回目以降の投票からは、予備選の結果に縛られずに、殆どの州の代議員が自由投票が認められるという変則的な事態になります。共和党の幹部は、まずは党大会に持ち込んで自由投票でトランプを阻止したいと必死ですが、やや厳しくなってきたようです。


(4)これを受けて,共和党系のワシントン・ポスト紙はなおも「党はトランプでまとまるべきではない」と27日社説でも続けています。

要旨は ―――「26日の結果で、党の分裂や醜い争いをこれ以上避けてヒラリー・クリントンに勝つためという大義名分からの、トランプで団結しようという圧力が高まるだろう。
しかし、こういう圧力に屈するべきではない。

トランプは、共和党にとっても国家にとっても脅威である。共和党は彼の候補者指名を、あらゆる合法的手段を駆使して拒否すべきである。
その全てが、インディアナ州とカリフォルニアにかかっている。
それでも彼が大統領候補に選ばれた場合に、共和党党員の選択肢は
・ヒラリーに投票するか ・第三党からの保守的な人物の出馬に期待するか、・棄権するか・・・のどれかではないか」

トランプだけはご免だ、党の分裂も辞さないという、まことに過激な意見です。


4.最後にそのトランプですが、「タイム誌」3月18日号が特集を組んでいて、「今回の大統領選挙は、いまやトランプを中心に回っている」と言います。
今回の選挙は「彼に対する信認投票であり、“トランプ、Yes or No”が最大のイシュウなのだ」


そして、「果たしてヒラリーは、彼に勝てるだろうか?
アメリカは彼のような人物を選ぶことをやってのける国なのだろうか?
それはアメリカ人ひとりひとりに、何を語るのだろうか?」とも・・・・


女性票、ラティーノイスラム系、ユダヤ人などの票がヒラリーに流れる、上記WPの社説のように共和党員だって応援するかもしれない、従って、まずヒラリー有利だろうという予測が普通でしょうが、


「いや、トランプ恐るべし」という一部の専門家の意見も紹介されています。
「トランプは、従来の選挙の常識が通用しない、何が起こるか、誰を惹きつけるか、予測がつかない、危険な力を備えた人物である」。


タイム誌の表紙は、トランプの写真の上に「bully(弱いものいじめ)」「 showman (芸人)」
「party crasher(党の破壊者)」「demagogue(扇動者)」というすべての項目にチェックマークがあるのですが・・・・

彼が副大統領候補に誰を選ぶだろうかも、すでにメディアの格好の話題です。
最有力は当初予備選に出馬していた、クリスティーニュージャージー州知事ですが、「とにかく、何をするか分らない人物だけに予測がつかない。まだ3番手で踏ん張っているケーシックや「軽量級のちび」と嘲笑したマルコ・ルビオに声を掛ける可能性だってありうる、と報じています。
いちばん魅力的な選択は、ニッキー・ヘイリーという最近注目されているサウス・カロライナ州知事共和党の穏健派で、少数民族(インド系)で女性で若くてしかも政治経験ありというトランプにないものをすべて備えています。しかし、仮にオファーされてもまず受けないだろうというのが大方の見方です。