京都から帰ったらトランプ大統領就任

1. 先週末、京都に2泊しました。時おり雪が舞う寒さでしたが、帰る日はよく晴れて新幹線から富士山がきれいに見えました。

2. 帰京して、ブルーレイにとってあったトランプ大統領就任式の模様を見ました。

16分の演説で気づいたのは、
オバマのシカゴでの退任演説で「今日は”民主主義”について語るのが目的」として
“democracy”が50分に25回使われたと前々回のブログで紹介しました。


対してトランプのスピーチではこの言葉は1度も出ることはなかった。
記憶に残ったのは[people]と「We」の2つが多く使われた他に、

「our loyalty to our country(国家への忠誠)」
「patriotism(愛国心)」「solidarity(団結)」
「We all bleed the same red blood of patriots(我々にはみんな、愛国者という赤い血が流れている」、といった言説です。

同じ「country」でも、かってケネディ大統領の語った有名な、


「国があなたたちに何をしてくれるかを問う前に、あなたたちが国のために何が出来るかを問うてほしい(Ask not what your country can do for you, ask what you can do for your country)、とは対照的なメッセージだなという印象を受けました。


市民の「参加」という発想はこの人にはないのではないか。
「我々の国の忘れられた男女は、もう忘れられることはない」という言葉は「私に任せろ」というニュアンスが強く、タイム誌の、「尊大な演説だった」という評はこのあたりを指しているのでしょう。


3. 「トランプが語るアメリカのヴィジョン」と題するタイム誌1月30日号は、就任演説についてこんな風に紹介します。


(1) 殆どが荒々しい、対決をあおる16分だった。
(不動産王として)建設で大成功した人物が、「破壊者」として登場した。


(2) アメリカの使命について、セオドア・ルーズベルト大統領以来の前任者からまったく遠ざかった見解を示した。「自由世界のリーダー」としての役割を放棄し、むしろアメリカが「犠牲者」であるとの認識を示した。

(3) そのレトリックの軸にあるのは

「我々(We)」と「彼ら(They)」の二項対立であり、
「怒り(resentment)」である。外国政府や企業への、選挙で選ばれた指導者たちへの、エリート一般への、そしてアメリカの現状(荒廃した都市、空っぽになった工場、機会を与えない教育、犯罪や麻薬やギャング)・・・への怒りである。

(4) しかし、そのレトリックはアウトサイダーのそれであって、彼は今や大統領、インサイダー中のインサイダーである。
言葉に、責任と結果とがともなう存在である。どんな「結果」をこの国にもたらすのか?世界が固唾をのんで見守っている・・・・


4. ということで、タイム誌は世界がどういう影響を受けるか?について
「トランプをもっとも警戒する国々」という記事も載せています。
(1) まずは「トランプ誕生を歓迎する人たち」として、
トップにロシアのプーチン、以下、フィリピンのドゥテルテ、トルコのエルドガン、シリアのアサドの名前があがります。
(2) しかし多くの国は「不安と警戒をもつだろう」として
第1位にメキシコ、2番目に日本、以下、バルト三国(ラトヴィア、エストニアリトアニア)、ドイツ、フランスの名前があげられます。

(3) フランスについては、5月の大統領選挙で、超右翼ルペンに利するのではないかと懸念されるとして、
・トランプは公式に彼女への支持を表明するのではないか、
・ロシアがサイバー攻撃をかけてルペン誘導の世論操作をしたとしても、トランプは眼をつぶるのではないか・・・・
などが囁かれていると報道します。


(4) 日本については、
「トランプと安倍首相とは利益を共通する面もある。2人とも日本の軍事力増強に前向きであり、プーチンとの友好関係を狙っている。
しかし、もしトランプが中国との対決姿勢を強めれば、日本は2大貿易相手国の間に挟まれる危険が出てくる。韓国との緊張した関係をも考慮に入れれば、日本は孤立した存在になるのではないか?」、と分析しています。


(5) 2017年の世界はどうなるでしょう。

5. 雑談も少し。
(1) タイム誌の写真を見て、あらためて「就任式が議事堂前の野外でやるんだ」と認識しました。
そう言えば、アメリカの大学の入学式・卒業式も普通は野外でやります。雨が降ったらテントを張ります。
いろんな人にきてもらう「オープンに」やるという姿勢でしょうか。アメリカの大学関係者からは昔、「年に数回しか使わない大講堂を作るのは無駄なこと」とも聞いたことがあります。


(2) ホワイトハウスの大統領執務室の内装は大統領が自分の好みで変えるそうですが、
クリントン大統領は、ジョージ・ワシントンベンジャミン・フランクリン
ブッシュ・ジュニア大統領は、ウィンストン・チャーチルの胸像を
オバマは、マーティン・ルーサー・キングリンカーンの胸像を
それぞれ置いたそうです。
そしてトランプは、早速チャーチルを再び呼び戻したとか。


6.最後に、京都での話は何れということで、1つだけ報告すると、もう半年も前に、「ひかり」に乗ってジパングの会員証を不携帯で、割引料金が適用されなかったという報告をブログに書きました。
実はそれ以来初めて乗る「ひかり」なのですが、行きも帰りも検札はありませんでした。
「いままではやっていなかったが、以後あらためてこれからは検札する」
と聞かされたのですが、要は「抜き打ちでやる」ということだったので(そういうニュアンスでは全くなかった)、「たまたま抜き打ちにあったお前が運が悪かったのだ」という姿勢なのでしょう。

そういうことなら、「これから抜き打ちで検札をやるから、今回は見逃すが、以後必ず携帯を忘れないように」と注意すれば済むことではなかったか・・・・と思う者です。