空飛ぶ婆やと留守番じいさんの話

1.岡村さんいつも豊富な旅物語を有り難うございます。
よい季節になり、連休も近づき、皆様も旅や外出の機会が増えるのではないでしょうか。


我が家では、家人が英国に住む娘のところに2週間の旅に出かけました。
「家事手伝いと子守」が目的で、観光にはまったく縁がありません。

2月にすでに1度1カ月滞在したのですが、今回はまたまた、2度目の「お勤め」です。この間、娘の亭主が海外出張で留守のこともあり、代わりに面倒を見てくれる人がいるのは大助かりの筈です。

「これが最後で、体力的にも経済的にも、もうこれ以上は行けない」と言うのが正直な実感です。
「無事到着」のメールが来ましたが、ヒースロー空港の税関を通るのに2時間もかかったそうです。


「バゲッジを受け取る所が既に他の航空機のものになってしまい 降ろされています。どこにあるのかを探すのにも時間がかかり、今度はカートが出払っている、そんなこんなで時間がかかりました。」とありました。

この点は日本の方が優れていると思いますが、ヒースローの入国審査は「英国を含むEU諸国」「顔写真による(これは予め登録が必要)」の2つが優先で速く、「それ以外」の対応が時間がかかります。


家人は今回が2回目と書きましたが、前回は私も途中からジョインして10日滞在しました。
私のヒースロー到着は2月27日でしたが、同じように時間がかかりました。
しかも、隣にある「EUメンバー諸国」の審査のコーナーは直ぐに終わってしまう。審査官は、やることがないので手持ち無沙汰にしている。暫くして、行列整理の担当者が、並んでいる「我々その他大勢」の一部を誘導して、「EUコーナー」の審査官のところに行くように指示する。これが、まことにいい加減な誘導の仕方で、適当なところで「ここから数人、EUのところに行け」という指示で、順番無視も甚だしい・・・・
てな具合で、まあこれが一事が万事イギリス流なのでしょう。
英国がEUから離脱したら、イギリス人の中にも待たされる人が出てくるでしょうね。そうなるとやっと事態が改善されるのかもしれません。



2. 今回は、私の方は、行ってもむしろ足手まといになるだけなので、ひとり東京に残っています。

そんな訳で、友人から、家人の方は「空飛ぶ婆や」と感心されており、
私の方は「留守番じいさん」とからかわれています。

「留守番じいさん」は昨日もひとり、銀杏並木の新緑が美しい東大駒場キャンパスを歩きました。

図書館でゆっくり時間を過ごして、学食の隣にある「イタリアン・トマト」で690円のスパゲティとコーヒーで朝食兼昼食を済ませます(原則、一日二食です)。
表に出ると、若い女子学生が学食のガラスに向かって、ダンスの練習をしていました。緑に映えて、楽しそうな光景です。
午後からは、招待券を貰って皇居内の宮内庁楽部で雅楽を聴きました。お濠に映える緑も二の丸公園のつつじ(最初の写真)もみごとでした。


3.図書館では「エコノミスト」を覗くことが多いです。
この雑誌の中身は、まず4~5本の「社説(The Leaders)」から始まり、国際報道の記事
が続きます。
「アジア」「アメリカ」「中東&アフリカ」「欧州」と続きますが、中で、「中国」と「USA」
と「英国」だけが別格です。
日本関連は「アジア」の中に置かれますが、ここ2週間の記事は、
4月7日号が「日本の性産業(More smutty than slutty、Japan’ s sex industry)」
4月14号が「頑固な性差別主義者(Stoutly sexist)」
の2本で、日本についての記事はこれだけです。

同誌のようなクオリティ・ペーパが、4月7日号は、何で今頃、こんな話題を取り上げるのか分かりません。日本のメディアは大いに抗議すべきではないのか。
4月14日号は、例の大相撲と女性の問題を取り上げたもので、時局柄分からないでもないけど、それにしても週に1本日本を取り上げるなら他に話題があるのではないでしょうか。
これで次号には、某財務次官のセクハラ問題が載るのかもしれないと思うと、いやはや・・・・


別に間違った内容ではないでしょうが、どうも最近のエコノミスト誌の日本についての記事はやや三面記事的な気がします。財務次官の言動は官僚のトップとしてあまりに品がないので、取り上げられても仕方ないとは思いますが。


4,.朝の散歩は通常は家人と二人で午前8時前から40分ほどです。
その前は、午前7時からのNHKBS放送「世界のトップニュース」を観ます。
昨日の土曜日は、一人で放送を観て、いつもより遅く一人でキャンパスを歩きました。


この放送、毎週土曜日はマイケル・マカティアさんというアメリカ人が「アット・NYC」というニューヨーク市からの話題提供があって、これが楽しみです。
どういう経歴の人か知りませんが、日本語が日本人以上に堪能で、馬鹿げたダジャレが大好き人間です。
私も大昔、ニューヨークに9年近く暮らし、思い出の多い街なので、街の映像や情報も懐かしいし、おまけに彼はニューヨークっ子らしくトランプ嫌いで、いつも皮肉まじりの発言も愉快です。

昨日は、ロシア疑惑捜査の途中でトランプに解任されたコミー前FBI長官が最近、「より高い忠誠心--真実、虚偽そしてリーダーシップ(A Higher Loyalty-- Truth , Lies and Leadership)」と題する回顧録を出したことを取り上げました。
トランプ批判が盛り込まれ、トランプがツイターで彼を罵倒して、話題になっています。

この本についてのニューヨーク市民の反応を街頭で訊いて報道するのですが、
補足説明で
「この本は、解雇された話だけではなく、回顧録です。」
「彼はFBI時代、マフィアの摘発を長く担当してこの組織をよく知っており、それとトランプのスタイルとを比較しています。
マフィアにとっては「忠誠心」がいちばん大事なんですね。ボスが「チュウ、セイ」と言ったら、従わないといけない・・・」
まあ、こんな馬鹿げた話を朝から聞きました。

因みに、この本の中身むろん読んでいません。
ただ、「より高い忠誠心(Higher loyalty)」という題名は、公務員・官僚は、大統領や首相に対してよりも「もっと高いものへの忠誠心」が求められる、と言う意味でしょう。いい題名だと思います。

ということで、今回は、下らない話ばかりで恐縮。これもひとり暮らしの憂さを晴らしているのだと、大目に見て頂ければ幸甚です。