新型コロナウィルスと闘うロンドンから

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1. COVID―19は世界で、日本で、いつどのように収束できるのでしょうか?

前回はニューヨークの情報を報告しました。コメントをいろいろ頂きました。

・田中さん:リーダーは心を込めて、命をかけて、国家・国民を守る。自ずと、言葉と態度に出ると思うのですが。

・藤野さん:3.11の時、少なくとも菅首相は先頭に立って走っていました(批判はありましたが)。枝野官房長官は精力的に発信を繰り返し、#枝野寝ろというハッシュタグが作られました。全力投球していたように思います。

・Masuiさん:まずは私の様な年金生活者は家でじっとすることが義務です。このままですと、ニューヨークと同じになってしまいます。

・岡村さん:野戦病院とはこの様なものではないかとニューヨークの出来事を想像しました。毎日の感染者が増えていく発表は枝野さんの原発の状況の報告を思い起こし、吉田所長のように現場に留まり指揮をされ仕事にあたった人達の事が思い出されます。ニューヨークの医療現場も同じように使命を持ってあたっておられる人達だと想像しています。命をかける人が居る。それを知っただけでも心が癒されます。

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2. こういう良識ある方々の思いにはほっとします。

 しかし、世の中いろいろな人がいます。家庭内暴力、困窮のあまりの自殺、感染者・医療従事者に対する差別や誹謗中傷、集団感染の大学への数百件におよぶ脅迫電話、などなどこんなときに人の性が出てくるのでしょう。

 いま世界でも一二を争うたいへんな状況にあるイタリアからイタリア人の友人がフェイスブックに、ゴミの散らかる写真とともに、以下の言葉を紹介してくれました。

―― “ Il virus e la malattia più grande di questo pianeta sono e continueranno ad essere gli umani.”――

イタリア語はまったく分からないので翻訳機能に頼ると、以下の意味のようです。

「この惑星で最大のウイルスと病気は, 人間であり続ける。」

言い得て妙な言葉だと思いつつも、悲しい気持ちになります。

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 3. もちろん、ウィルスみたいな人間はごく一部の少数と思いたいです。

そこで英国からの情報をお届けします。海外から日本を見ると、少し危機意識が足りないように感じるのか、厳しいことを言ってきます。

 

・英国では、「コロナに患っても、重症・重篤でなければ家で治せ・病院来るな・検査はしない」というのが原則です。英国の感染者数は、日本の10倍以上とはいえ、全てではなく、医療従事者や重傷者などを中心の数字です。

 日本も、命に関わる病気でなければ、自分のため、他人のため、医療従事者のために家にステイされるのが賢明です。

・初めジョンソン首相は楽観的でしたが、その後ウイルス封じ込め作戦の失敗をあっさり認め「降伏宣言」して、その後の「外出禁止令」などの対応は評価できます(もちろん感染者も死者も一向に減ってはいませんが)。

 

・いまは、以下の3つの分かりやすい標語を徹底して訴えています。

  1. STAY HOME! (家に居よう!)
  2. PROTECT THE NHS! (病院と医療従事者を守ろう! NHSは「国民保険サービス」)
  3. SAVE LIVES! (命と生存を救おう!)

 

・出かけなければ良いのです!あなたが家に居続けることで、病院や医療従事者、一般の方々の多くの命を救うことができます!

 ITを活用しての勉強・仕事・交流、家族との会話、テレビや読書、軽い運動やストレッチなどで過ごすしかありません。

 食材や食事はなるべくデリバリーにして、配達人とは接触せずに家の外に置いてもらう。緊急時の薬や食材など最低限の買い出しの際は、手洗い・マスク・除菌、顔を触らない、最低2メートル人と距離を取ることなど一般に感染を防ぐ効果があるとされていることを徹底する。

・ 英国では高齢の親や伴侶が感染して重症で病院に運ばれる際、当然、伴侶や家族は病院へお見舞いにも行かせてもらえませんし、「自宅を出る時が、貴方が愛するひととの最後のお別れの時と覚悟しなさい!」と政府の人も言っており、もはや常識です。

 フランスで48歳男性患者が最期に「これが私の死なのか。妻にも4人の子供にもひと目も会えずに死ぬのか」と激しく泣いた(そして数時間後に亡くなった)という話をインスタで見て、このウイルスの一番残酷な点はこれだと思いました。

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4. 上のようなアドバイス、まことに尤もと思います。

 しかし日本の場合、居住空間の狭さ、働き方、食材のデリバリー・サービス、IT環境、寄付文化などなど、英国との違いは大きく、なかなかこの通り実施することは難し いなとも感じます。

 例えば、家に居て、娘が長屋の隣人と歓談している写真を送ってきました。隣人とたしかに2メートルほど離れています。しかし広い裏庭で、東京の我が家で同じことはとてもできません。

 それでも、Masuiさんのような高い意識を持つことは大事だと再認識しました。

 

5. 英国のボランティアについても書いてくれましたので、この点も報告します。

(1) イギリスでは、医療スタッフが足りずNHSへのボランティアの募集を政府がかけたところ、予定の3倍の75万人がすぐに集まりました。一般人は、食料や物資を老人宅へ運んだり、電話で話し相手になってあげたりします。

(2) このうち、NHSのリタイア組の医者とナースは1万1千人います。ご家族は最前線でボランティアなどして欲しく無いだろうとは思いますが。

 既に、10人以上のボランティアスタッフが亡くなっています。志の高い志願兵です。

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6. 英国政府が、「Save lives」の視点に立って、迅速かつ手厚い生活保障の施策を実施していることは日本でも報道されています。

 山中伸也教授のホームページにも「各国の対応」についてイギリスの説明もあります。https://www.covid19-yamanaka.com/

 そして上にあげたボランティアだけではなく、様々な団体や有名人(スポーツ選手など)や実業家・大富豪からの大規模な寄付も報道されています。

  翻って日本はどうでしょうか?米国のビル・ゲイツが早速寄付したという110億円の巨額まではいかなくとも、かっての渋沢栄一のような活動を見せてほしいものです。

 むしろ、草の根の人たち、中堅企業やNPOが頑張っているようで、こういう明るい話題もメディアはどんどん報道してもらいたいです。

 以下は、家人がテレビで知ったほんの一例ですが、クリストサラダという小さな会社の取り組みの一例です。応援したい気持ちになります。

https://www.crisp.co.jp/