ニューヨークのワクチン接種と「読書は永遠に楽しめる遊園地」

  1. ニューヨーク(NY)在住の昔の職場の友人からメールが来ました。f:id:ksen:20210305133544j:plain

(1)「コロナワクチンの第1回接種に行ってきました」とあります。

「良くオーガナイズされており、待ち時間もなく、流れ作業で30分程で全てが終了した後、アレルギー等の副反応に備えて20分様子を見た後解放されました。注射箇所に痛みがありますがそれ以外に違和感はなくほっとしました。

予約に手間取りましたが接種自体はスムーズで、看護婦さんを始め受付係、アドミニストレーションの人々が親切で、リラックスして受けることができました」

 

(2) また、「バイデン大統領は「5月には18歳以上の全国民はワクチン接種できる」と言明しています。NYでは国籍などは問われず、住民であるかNY州内で勤務していることを証明できれば無料で接種することができます」ともあります。

 

(3)他方で、BS国際ニュースでは、NY市内の低所得者層が多く住みコロナ感染の中心地であるブロンクス地区で,「ワクチンお助け隊」を行うボランティアのNPO活動を紹介していました。

 アパートを戸別訪問して、接種の説明や予約の手伝いをします。

 それだけでなく市と連携して自分たちで,特設の会場を用意し、看護師を雇い、主に貧しい高齢者の接種を行います。

「ワクチンのスーパーヒーロー」と称賛される代表者は、「貧困に悩む人、インターネット環境がなく自分で予約の出来ない人、英語が得意でないラテン系の人が多く住んでいる。彼らを助けたい」と言っていました。 

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2.ボランティアの協力が大事ですね。市民が行政と連携して動く。

この大切さは2月14日ブログで紹介した台湾のオードリー・タン氏も強調していました。

 日本では市民と一緒にやろうという文化が、そもそも行政にあるでしょうか?

 ボランティアと言えば、京都の田中(美)さんが「藤野さんが3日の京都新聞に取り上げられた」と教えてくれました。

 彼は東日本大震災の直後にボランティア活動に乗り込みました。私は彼が活動を終えた2年後の2013年に連れられて、初めて妻と被災地を訪れました。

「何も出来なくても、ただ行くだけで立派なボランティアです」という彼の言葉に励まされて、南三陸気仙沼、大島などを一緒に回りました。

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 田中〈美〉さんは宇治市出身の京都府会議員ですが、一昨日届いた「議会報告」を拝見すると、「2~3月と学生のインターンを受けいれて、宇治にある巨椋池の「水辺づくりプロジェクト」に関わっている」そうです。

 私が13年勤務した宇治市にある唯一の大学の女子学生も1人参加していて、彼女の「活動報告」も載っていました。昔は私も,ささやかながら、まちづくりや「町家塾」や「元気人の支援」に取り組んだだけに、草の根の市民・若者が社会を支えていく姿を嬉しく読みました。

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3.上に紹介したNYからの友人のメールは、私が日本語の文庫本を彼女に送ったお礼でもあります。

  毎日新聞が「この国はどこへ、コロナの時代に」という記事を連載しています。たまたま 2月19日は小説家の浅田次郎氏への取材でした。

 

(1) 同氏は、コロナ禍の前は、国の内外を問わず、1年の3分の1を取材や講演会などに飛び回っていた。

 

(2) ところが69歳のいまは「できる限り、家から出ないし、人とも会わない。「自宅には家内がいるだけで、完全に孤立状態ですね」

(3) そんな浅田さんが唯一、定期的に出かける場所が書店だ。神田神保町にふらりと出掛け一日を過ごして帰ってくる.

(4)「自粛生活でのフラストレーション全部収めて、余りあるのが読書です。極端に言えば、本さえ読んでいれば何がなくても困らない」。

 

(5)また、外界からの刺激に乏しい今だからこそ、とりわけ小説を読む行為は特別だ、とも言う。

「小説は何かを教えてもらうものではなく、読み進めながら想像を膨らませて別の世界で遊んでくるもの。ですから、私にとっては永遠に楽しめる遊園地です。小説で養った想像力は人生に必ずや有効なはずで、ひいては社会の礎になると思っています」。

 

(6)「それは、混沌たるコロナ後の世界も豊かにするだろう」とは記者の感想です。「私」ではなく「私たち」。他者への想像力を与えてくれるのが小説、ではないでしょうか。f:id:ksen:20210305123139j:plain

4.この記事を読んで共感し、巣ごもりの時期、とくに海外にいる日本人はなかなか手に入らない日本語の本を読みたいのではないかなと思い、手軽な文庫本を送ることにしたものです。

 妻も同じく首都ワシントン郊外のメリーランド州にある高齢者用のフラットに住む大学時代の友人に同時に、同じ文庫本を送りました。

 読書は人によって好みが違うので、選択には迷いますが。

 私自身は、カズオ・イシグロノーベル賞受賞後第1作『クララとお日様』(“KLARA and THE SUN”)を買ってきました。

 邦訳と原書とが3月2日に同時発売されたという触れ込みで、渋谷の丸善ジュンク堂に両方が平積みになってあちこちに並んでいます。

 原書はペーパーバックですが、邦訳は装丁も立派なハードカバーです。その代わり邦訳は500円高いので、安い方を買ってきました。