- 前回報告したPCトラブルの件では、幸いに身近の先生の助けでダイナブックが
動くようになりました。
世田谷区のワクチン接種の予約はネットか電話かで行います。お陰で私は、新しいPCを使って5月30日の予約ができました。
しかし、この成功に過信したのか、妻の予約もしてやろうと余計な親切心を出して挑戦したところ、パスワードの入力に失敗しました。いちど入力ミスをすると、その訂正が厄介で、以後ログインができない状態です。
かように、老人がデジタル時代に生きていくのはなかなかストレスがたまります。
2.もちろんデジタル社会の利点も大きいです。
前回のフェイスブックで、PCダウンのためMasuiさんのコメントに返事ができず申し訳なく思っていたら、岡村さんが適切に対応してくださいました。お二人は面識がなくとも、ITを通して繋がるという面白い時代になりました。
また、私のフェイスブック友達にはElio Ratto君というイタリア人がいますが、彼とは55年も昔、アメリカのテキサス州ダラスで一緒に学びました。その間旅行をしたり、よく遊びました。古い友人です。
帰国してから彼はローマの銀行に勤めてアリタリア航空のスチュアーデスと結婚し、新婚旅行に日本にやってきました。我が家を訪れたときの写真もあります。
以来音信普通になっていたのですが、お互いにフェイスブックに参加していることを「発見」して、また「友達」になりました。
デジタル時代では、こういうことがあるから面白いです。
3.古い友人といえば、悲しい話もあります。
4月の初めに妻と二人で長野県茅野市の田舎家に5泊しました。
帰京したところ、多くの留守電が入っていました。長い間ご無沙汰している小学校の同級生N君からで、「この度施設に入った。携帯電話の番号は~」という伝言が何回も入っています。
その中には朝早いのや夜遅く掛けてきたものもありました。
しかし指定の電話番号にかけると「今は使われていません」という応答でした。
電子メールを入れたところ「宛先不明」で戻ってきました。
最後の手段として、前の住所に手紙を出しました。
「ひょっとして転送してもらえるかもしれないと思って、一応出してみます」と書きました。
- 数日して、若い女性の声でわが家に電話があり、「Nの娘です」と名乗られました。
幸いに以前の自宅は、お嬢さんが住んでいる。それで私の手紙を見て連絡をくれたものです。
そして、「実は父は昨年末とつぜん認知症になりました」と告げられました。
・まだ初期の症状ではあるものの、徐々に進行している。
・人によって症状は異なるようだが、彼の場合は四六時中携帯電話を離さず、知る限りの友人やかっての会社の同僚に電話する。
・今ではPCもやらず、本も読まず、テレビを見るのと携帯が何より大事になっており、取り上げようとしても応じないので困っている。
・時間の見境なくかけるので迷惑を被っている人も少なくなく、そろそろ使用できない状況にせざるを得ないと考えている。その時の本人の精神状態が心配ではある。
―――というような話でした。
留守電の回数が少し尋常ではないなと思っていただけに、驚きは少なく、むしろ悲しい気持ちでした。
お嬢さんからは、「お留守で電話にお出になれなかったのは、かえってラッキーだったかもしれません」と言われました。
電話が通じても、きちんと会話が通じるとは思えないとも。
施設の住所も教えてもらったので、「いちど訪問して直接顔を見れば、昔のことを少しは思い出して会話が成り立つかもしれない」と訊いてみました。
しかしこのコロナ禍で来訪者は断っており、娘さんといえどもずっと会っていないという返事でした。
このまま会えずに終わってしまう可能性が高いのかなと寂しく、昔を懐かしく思い出しています。
5.4月16日の毎日新聞は、『バカの壁』の大ベストセラーで著名な解剖学者養老孟司さんを取材して、主として「老い」をテーマに記事にしています。
そして、83歳になる「ひょうひょうと、スマートに年を重ねる養老さん」と紹介します。
――「さっそく近況を尋ねてみた。1年以上続くコロナ禍で外出が制限され、昆虫採集や自然散策が好きな養老さんもつらい思いをしているのではないか、と。
表情は暗くない。オンラインでしょっちゅう、虫好きの仲間と顔を合わせているという・・・」。
しかし養老さんは同時に、デジタル化への批判も口にします。「技術には裏表が必ずあって、使い方次第です」、「向こう(機械)に勝手に基準があって、人間の居心地のいいようになっていない」と語ります。
ワクチン接種の予約に苦労しているだけに、ご指摘の通りと思いました。