自粛の日々を、ご近所と交流しながら過ごす。

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  1. 東京は緊急事態が延長されて、「緊急」が「常態」になりました。外出は医者通いのほかは、近くの駒場公園までゆっくり散歩をするぐらいです。

 医者通いは、ワクチン接種も含まれますが、我が家の第1回接種は私は5月30日、妻は6月5日です。自治体によって対応が違うようで、私が聞いた限りでは例えば小平市川崎市は、集団接種と並行して個別接種が充実しているようです。川崎市武蔵小杉に住む友人夫婦は、かかり付けの医院に行ってすぐに予約ができて、2回目の接種も終えたと言っていました。他方で電話やネットが繋がらずに、子供たちやご近所の世話になった方も多いです。職員の対応・現場の苦労はたいへんだろうと思いますが、我々もいささか振り回されていますね。

英国にいる娘夫婦もニューヨークに住む友人も、どちらも混乱なくとっくに接種を終えました。NPOやボランティアが協力しているという話も聞きます。

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2.散歩に訪れる駒場公園は旧前田侯爵邸跡で、重要文化財。広い庭には大きなクスノキもあります。休日には家族連れが憩い・遊ぶ姿を見かけます。「不要不急の外出は自粛」と言われても、このぐらいは許されるでしょうね。

散歩の途次には、駒場小学校に通学する子供たちも見かけます。よく喋るので「スズメ君」と妻が呼んでいる、仲良しになった男の子は2年生に進学し、もう黄色い帽子はかぶらず、相変わらず元気で歩いています。

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  1. 家に居る時間が増えて、いろいろ新しいこともあります。

隣近所の人と話す機会も出てきました。お向かいに住む男性は70歳を超えて現役を退いていますが、庭いじりや植木の手入れが好きで、長い時間を外で過ごします。時には、気さくにご近所の奥さん方の植木の相談に乗ったり、自宅の切り花を届けてくれたりして、頼られています。

 先週の天気の良い午後、妻が声をかけて小さな庭に招いて小一時間ほど、珈琲を飲みながらマスク着用で3人でお喋りをし、花の手入れを聞いたりしました。

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3. 違う人生を送ってきた人の話を聞くのはなかなか面白いです。

彼は現役時代は和食の料理人でした。いろいろ話してくれました。

・料理をつくるだけでなく、花や季節の基礎的な知識も必要。

・献立表は自分で考えて、墨で書く。従って、習字も習う必要がある。

・献立表を和紙に書いていくと、どうしても最後に余白ができる、そこをどう埋めるか工夫する。絵を描く人もいるが、彼の場合は、毎月変える献立に合わせた「俳句」を考えて載せるようにしていた・・・・

――などと聞いて、「和食の料理人には教養も必要なんだ」と感心しました。

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・「どんな俳句を作ったんですか?」と訊いたところ、ほとんど忘れてしまったが、

「菜の花の続く舞台を蝶が舞う、という句があった」と思い出してくれました。

「菜の花の和え物」が先付けで出てくる、そのあとも蝶が舞うように料理が続く、そんなきれいなイメージでしょうか。

・ときに料理の名前やレシピも自分で考えるそうで、「祇園豆腐」と名付けた料理を教えてくれました。

――だしを下に敷いて、卵豆腐を乗せる、煮たどぜうを豆腐にまぜるーー

という料理で、なぜ「祇園」と名付けたかというと、「祇園というと祭り。祭りだから“だし”が出る」。そして「料理人用語で、「どぜう」のことを舞妓と呼ぶ」からそうです。後者は、舞妓さんの踊る姿が何やらどぜうを思わせるかららしい。

 とにかくプロの料理人ですから、妻は、植木だけでなく料理のこつも教えてもらえるので、喜んでいます。お近くの、貴重な存在です。

そういえば、「浅草駒形どぜう」の支店が渋谷にあって、友人2人と昼から酒を飲みながら「どぜう料理」を楽しんだのはコロナの直前だったかな、と懐かしく思い出しました。

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4.隣近所から得る地域情報もけっこう大切です。

これは別のご近所の方からの情報ですが、世田谷区が「オレオレ詐欺」防止のための・電話につける録音装置を高齢者に配ってくれるという情報を伝えてくれた人がいます。

我々老夫婦はこういう情報にうといので、助かります。近くの交番で入手できるというので、早速妻が受け取ってきて、ご近所の助けも得て固定電話に取り付けました。装置は、高齢者であることなど本人確認をして、無料で無期限に貸与してくれるそうです。

我が家に電話をすると「この会話は録音されます」という音声が出て、それから通じるという仕組みです。電話をかけてきた友人などは、ちょっと驚くか、人によってはあまりいい気分ではないかもしれません。しかし、詐欺電話を防ぐ対策にはなりそうです。

世田谷区と警察が一体になった高齢者向けの施策なのでしょう。

こんな風に、家で過ごす時間が増えると、いろいろとお近くとの交流が増えて、これはこれで良いものです。