ドイツの総選挙と、蓼科で10月を迎えました。

  1. 拙いブログを続けて、今年もあと3か月を切りました。

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(1)コメントを頂くMasuiさんはドイツ留学の経験があり、刈谷さんはドイツ在住です。今回の同国の総選挙とその後への関心は高いでしょう。

 「前回の4年前は大連立政権まで数か月かかった。今回はコロナ対策があるので早くしてほしい」とは刈谷さんの在住者らしいコメントです。

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(2)それでも、

メルケルさん引退の影響もあってか,第1党の中道右派キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が議席を大幅に減らし、

・連立を組んでいた「社会民主主義」を標ぼうする中道左派社民党SPDが16年ぶりに第1党になり(シュレーダー政権以来。ただし過半数には届かず)、「緑の党」も議席を大幅に増やして第3党になった、

―――という選挙結果は興味深いです。

あらためて、日本の政治状況――自民党の総裁が決まっただけで号外が出る――との違いには驚きます。 

 

(3)連立がまとまるにはクリスマス頃までかかるという予測もあるようです。

しかし、その間は現メルケル政権が続投するし、社民党のショルツ党首も現財務相として政権に入っていますから、さほど政治の空白を懸念する必要はないような気もします。

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(4)今回、可能性が高い連立シナリオは以下の2つだそうです。

 ・第1党の「社民」+「緑の党」+「自由民主」か?

 ・第2党の「CDU・CSU」+「緑」+「自由民主」か?

(5) 政権をどの政党が、どういう形で担うかについて各政党が真剣に話し合うプロセスは、巨大与党の総裁がそのまま国会で首相に選出されてしまうより、健全な民主主義だと思うのですが。

戦後ドイツ(西独)の歴代首相はメルケルまでで合計8人。うち5人がCDU・CSU、3人が社民と、二大政党制が見事に根付いています。

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(6) 田舎家の書棚にあった丸山真男の『講義録・政治学1960』(東京大学出版会)を眺めました。

60年安保闘争の年の秋学期、法学部の学生に行った必修授業の内容です。

彼は「第四講」で「政党および代表制」について講義をします。

 

「・政党とは、もっとも本来的な政治集団あるいは政治組織である。

・(しかし)政治的システムのなかのサブシステムである。それはPartyという英語が示す通りpart(部分)であって、政治的システムの全体ではない。

・(だから)西欧型民主主義においては、対立政党の存在がlegitimate(正当にして合法的なもの)として公認されている・・・・・・」

 

といった基本的なことを、彼はまだ世間を知らない大学生に丁寧に教えようとしたのだ、と改めて思いました。

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(7)それにしても ドイツの4年前の「保革連立」(第1党のCDU・CSUと第2党の社民との)はよく成立しましたね。

    メルケルさんが党の中ではリベラルだったからこそ可能だったのでしょうか。

 それと彼女の「モラル・リーダーシップ」への強い支持があったからでしょうか。

大量難民を受け入れるかどうかで大揺れに揺れた2015年のドイツ。12月のCDUキリスト教民主同盟の党大会で彼女は、「欧州はオープンであるべきだ。これはモラルの問題だ。それ以下でもそれ以上でもない。そして移民の受け入れはリスク以上の利益をもたらす」と強く訴え、実に9分間のスタンディング・オーベーションを受けました。

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  1. そんなようなことを考えながら、先週1週間は蓼科の田舎家で過ごし、昨日帰京しました。

(1)今年は例年より刈り入れは早かったようです。到着時はまだ田に実った稲穂が美しい眺めでしたが、その後は徐々に刈り入れが進みました。

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(2) 早速、地元の新米を購入して、炊き立てのご飯に生卵をかけ、京都の友人から頂いた「八百三」の柚子みそを木綿豆腐にかけて、おいしく頂きました。

(3) 紅葉はまだ少し早いです。中旬になれば、落葉松やもみじが美しく色づくでしょうが、いまはいつも一番手のツタウルシの葉が紅くなってきたくらいです。

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(4) 畑は、その前の週末に、友人夫婦と娘夫婦がほとんど片づけてくれました。

 私たちは、まだ残っているトマトを少しもいできました。小さいトマト、これがおいしいです。妻がソースにして帰京の前日の夕食は、手づくりのトマトソースのスパゲッティを頂きました。

(5) ほとんど人に会わない山麓はいつも静かです。