英エコノミストの「日本特集」,課題先進国日本の未来は?

1.(1) 京都から、祇園のつる居という老舗のお茶屋が作っているカレンダー「祇園浪漫」を送って下さった方がいて、感謝・感謝です。

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(2)つる居は、大学生だった頃に、祇園に住む叔父に連れてってもらいました。

 60歳近くなって京都住まい、叔父はもう世を去り、ひとりで昔懐かしい場所に顔を出しました。

しかしこういう洒落た場所にまったく無縁の田舎者には、度胸もマナーも資金もなく、早々に通うのを諦めました。

 

(3)その頃岡村さんを知っていれば、ご指導いただいたのにと残念です。

 

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2. ところで、また硬い話になりますが英エコノミスト誌の「日本特集」の続きです。

(1) 前回は、「日本は課題先進国である。日本が成功すれば我々の模範に、失敗すれば戒めになる」というエコノミスト誌の指摘を紹介しました。

 

(2) それなら、どうすれば成功できるだろう?

 災害対策、高齢化などの個々の対応では、そこそこ,うまくやっている。

しかし、大きな問題があり、変える必要があるのではないか?

 

  1. 10頁にわたる「特集記事」の結論は、「未来に目を向けよう(The future—looking ahead)」と題して、「若い、ダイナミックな指導者がいれば、もっと良くなるだろう」という小見出しから始まります。

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(1) 問題は、政治が硬直化し、保守化していること。

 

・女性と若者の活躍の遅れ(女性の衆議院議員は1割弱、閣僚の3人。50歳以下の閣僚は  2人、世襲政治家が依然として動かしている)。

・弱者への人権擁護、雇用形態、家族制度をふくむ法体系、移民の受け入れなどで世界の変化に追いついていない。

 

・その理由として、野党が「みじめなほど」弱く、競争がないことが大きい。

・「権力を失う心配がなければ、どこの国の与党でも無責任になる(Without a threat of losing power, any ruling party becomes unaccountable)」、

・そして、「指導者はリスクを取らなくなる」「国民の意識との乖離が生まれる」

 

(2)政治に限らず、日本には若者、女性など優秀な人材がいるのに、活用されていない。

 

➡この二つの弱点(「硬直した中央政治」と「人材が生かされていない)」が、日本が最前線にいるからといって、必ずしも「先駆者」になれるとは限らない理由である。

 

3.しかし、気付かなければいけないのは、

(1) 日本社会とくに草の根レベルでは、既得権力層より速く、変化しているという事実である。政治の世界でも、地方自治体では変化が見え始めている。

 

(2)その結果、高度成長の時代を知らない若者の価値観と昭和世代のリーダーとに大きなギャップが生まれている。

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4.ここからリスクも生まれる可能性があるとして、

 

  (1) 不満やフラストレーションが高まり、分断が広がるリスク、

(2) 誰もが変化を諦め、現状に満足し(complacency)、無目的に陥ってしまうリスク、

といった懸念を表明しています。

―ある世論調査によると、約3分の2が「将来も変わらない」と回答している。「悪くなる」が27%、「良くなる」はわずか9%。

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(3)だからこそ、若い・ヴィジョンを持った、ダイナミックなリーダーの登場に期待しています。

ただ、「令和最初の総選挙は、コロナ禍と将来への不安がある中で国民は安定を求めた。ほぼ無競争と言える選挙では、有権者が何を選んだかははっきりしない」とも指摘します。

 

  1. ということで、エコノミスト誌の見立ては、期待も大きいが,懸念もあるということでしょうか。「日本は世界に共通する課題を学ぶ実験場であり、成功しても失敗しても教訓を得られる」。

 どちらになるにせよ、「日本はもはや “ナンバー・ワン”ではない。しかし、依然として学ぶべきことの多い国である」という、同誌らしい・やや皮肉っぽい言葉で記事を終えています。

日本は果たして、成功モデルを世界に示すことが出来るでしょうか?