- 前回、「今年ばかりは墨染めに咲け」という古歌を紹介しました。
藤野さんから「京都の墨染寺(ぼくせんじ)に、この歌に因む墨染桜がある」という情報を頂きました。岡村さんはこのお寺に行って撮った写真を載せて下さいました。
お二人のご親切に感謝です。
- その間にも、プーチンの戦争の残虐がますます明らかになってきました。
先週見たテレビ番組で、スベトラーナ・アレクシェービッチは、「朝起きてから報道や映像を見続けている。ウクライナの年老いた女性の姿に、幼いとき一番愛した祖母の姿を見てしまう」と語りました。
著書『戦争は女の顔をしていない』で知られる彼女は、ウクライナ人を母、ベラルーシ人を父として、いまはドイツに住む、2015年ノーベル賞受賞作家です。
3.テレビ番組は 4月2日(土)放映された、NHKのETV特集 「ウクライナ侵攻、私たちは何を目撃しているのか、海外の知性に聞く」です。
「海外の知性」とは、彼女の他、ジャック・アタリ(経済学者・思想家)、イアン・ブレマー(国際政治学者)の二人です。
今回は、彼らの言葉を少しご紹介します。
4.まずアレクシェービッチ
(1)「この戦争は、21世紀のもっとも恐ろしい犯罪として歴史に残るでしょう」
(2)「戦争を始めるのは、普通の人々ではなく、いつも政治家たちです」
(3)「和解を見出すことが出来るだろうか?」という問いに対して、
「難しい問題です。でも、救ってくれるのは愛だけ。憎しみでは救われません」
(4)「しかしその前に、ウクライナが勝って初めて、民主主義が旧ソ連各地でチャンスを得るのです」
5.次に、ジャック・アタリ(パリ)。
(1) 「全体主義体制の国々が民主主義に向かわない限り、これからも私たちは戦争の危機にあります」。
(2)「忘れてならないのは、民主主義の国家間で戦争は一度も起きていない、ということです」
(3) 「ですから、ロシアや中国の人たちに、民主主義へシフトすることが最善策だと理解させることが大事です」
6.イアン・ブレマー(NY)
(1) 「今回の侵攻の責任は100%ロシア大統領にあります。彼は毎日のように戦争犯罪をおかしています」
(2)「しかし西側諸国の数十年にわたる過ちの積み重ねについても理解すべきです」
(3)「そして、あまりにも長い間、市民の多くが受け身でありすぎました。
このような危機の時代、あなたに発信する場があるなら、声をあげるべきです」。
7.道傳さんの締めの言葉は、
――「3人の話から見えてきたことは、
ソビエト崩壊から30年の無関心と不作為の積み重ねでした。
時計の針を戻すことはかなわない絶望の中で、それでも希望は、私たちが語り続け、行動することにあると、アレクシェービッチさんは語りました」。
8.(1)以上3人の「知性」の言葉には、「こんな理想論では世界は変えられない」と批判があるかもしれません。
(2)しかし3人とも、何をおいても「ウクライナが勝つこと」の重要さを共有している、勝利があってこその理想論なのだと、私は受け取りました。
素人の私には、ウクライナが軍事大国ロシアに勝つとはとても思えないのですが、3人は決して希望を捨てていないのです。
(3)そして、英エコノミスト誌4月2日号は、
地下壕のゼレンスキー大統領に面談し、彼が「なぜウクライナが勝利しなければならないのか」を語ったことを伝えます。
ウクライナの「自由と民主主義」を確固とするための戦いであり、それは必ずや欧州の、(ロシアを含む)全世界の平和に貢献するからだ。
そして同誌は、彼に賛同し、勝利のためには欧米のさらなる支援が必須だと訴え、独仏はもっと支援に本腰を入れるべきだと批判します。
(4)たとえ血まみれの戦いであっても、勝利の女神は最後には彼に微笑んでくれるでしょうか。