蓼科で畑と食の話

  1. お盆も終わり、帰省客の多くは都会に戻り、田舎はまた静かになりました。

お盆の時期は地元JA経営のスーパーも大混雑し、レジは長い行列でした。

いまは、畑の脇に咲くコスモスやひまわりの花を眺める人も少なくなりました。

2.無事に英国に帰った次女からメールがありました。

「子供達は(祖父母の)多大なる疲弊を代償に(笑)、大変楽しい思いをさせていただきました」。

 

帰国前に彼らだけで東京の留守宅に滞在したときの報告があり、家にある小さな仏壇のことに触れていました。

「(4歳の孫娘が)毎日のお参りにすっかりハマってしまい(「リン棒」のチーンと鳴る音が好き)、北沢に滞在中は欠かさずやっていたので、お線香とローソクの在庫がだいぶ減ったのでは。お手すきで補充をお願いします。意味も説明して聞かせたので、良い習慣と心得たと思います」とあります。

確かに英国に仏壇はないですね。

3.この時期、当地のスーパーは豊富な野菜が並び、田は稲が色づき、畑は収穫です。

昨日は長女夫婦と2回目の畑で、主にじゃがいも掘りをしました。

すでに秋の気配でとんぼが舞っています。

 

4.我が家は野菜中心の食生活です。取りたてのトマトや枝豆、人参、じゃがいもなどが食卓に並びます。

一日二食、天気の良い日は庭で頂きます。

 

食事をしながら、妻と二人、孫の思い出話に花が咲きます。

(1)10歳の孫息子は、そうめんを喜んで食べ、日本のじゃがいもが気に入ったようで、「感動的だ」と言って喜んで食べました。

(2)英国では父母ともに働いているので、どうしても手早く出来る食べ物が多くなるのではないでしょうか。

自分でも、チャーハンぐらい作れると言っていました。

(3)きゅうりの丸かじりが大好きで、朝食はいつも1本食べるのが英国仕込みの習慣。

和食も大好きで、ご飯に錦松梅をふりかけて食べるのは定番。

甘味のある飲み物は嫌いで、飲むのはもっぱら水です。

素朴な食べ物・飲み物が好きです。

(4) 英国人の普段の食事も、日本に比べれば質素でしょう。

日本のテレビ番組では、「どこそこの~~がおいしい」といった特集が多く、「うーん、このコクが何とも言えない」なんて感に堪えた表情で試食している場面がよく出てきますが、英国のテレビでまず見たことがない、と娘は言います。

 

(5) 但し彼も、現代っ子らしく「好き嫌い」はあります。

我々のこの年頃は、敗戦直後ですから、好き嫌いなんか言っている余裕はなく、出されたものは何でも食べました。いつも「頂きます」で始まり「ご馳走様」で終わりましたが、御馳走は少なかった。

今は「おいしいか」「おいしくないか」が食べる基準に大きいようです。

きゅうりの丸かじりも、彼や英国人にとっては「おいしい」食べ物なのでしょう。

 

  1. そんな日英の食べ物の比較論をしながら、妻と思い出話もしました。

何年も昔になりますが、蓼科で夏を過ごす友人の家にお邪魔してのお喋りの時間

に、「いままで食べた、いちばん記憶に残った食べ物は?」という問いが出て、4組8人の男女が懐かしい食事の思い出を語ったことがありました。

 私は英国滞在中に、夫婦で招かれてカプリ島に行ったときの、ルッコラ入りの素朴なスパゲッティかな、などと気障な発言をしました。

ルッコラは地中海原産の葉野菜ですが、当時まだ日本では知られていなくて、英国の食料店でも見かけないと妻が言っていました。

 

その妻が答える番になって、「この地の農家の手伝いをして半日農作業をしたあとに、彼らと一緒に食べたお握りほど「おいしい!」と思ったことはない」という回答でした。