人と繋がる大切さ

1,先週の日曜日は小春日和。暫し庭で過ごしました。その後は一転して寒くなりました。東大キャンパスまで散歩し、カフェで休みました。今週末の大学は学園際です。

2.このところ病いの話を載せて恥ずかしい限りです。それでも皆様と繋がっている実感が有難いです。

(1) 高橋さんからは「秋深し病のとこの君思う」との一首を頂きました。

シドニー勤務をご一緒した昔を懐かしく思い出しました。

(2)田中さんは、ご自分も入院して、同じように高校の同期会に出られなかったと慰めてくれました。

旧友に会えなかった残念な気持をお互いに共有しました。

(3)Masui さんからは

「病院の窓からの写真を見ますと、昨年の夏に大腸癌で私が約半月の入院した頃をおもいだします。眺めている外の世界に早く出たいと強く思いました。不満を覚えたらあのとき願った世界にいるのだから満足しなければと我慢が出来るようになりました」。

 辛い経験を前向きに捉えようとする姿勢が、心に沁みました。

3.電話やメールを下さる方もいます。

(1)読書会を毎月企画してくれるEさんは、私が出られなかった「会」の様子を知らせてくれました。

(2)読書会のテキストは宮本輝の『錦繍』でした。

実は以前彼から、「好きな恋愛小説は?」と訊かれて答えた作品の一つです。

 それだけに、「出たい」と思い、何十年ぶりかで再読しただけに残念でした。

4.『錦繍』について小川洋子さんの解説です。

(1)「紅葉に染まる山形蔵王の風景からはじまり、最後は古都・山科の紅葉を背景にして終わる」この小説は「晩秋の季節に読み返したくなる作品です。かつて夫婦だった男女の間でやりとりされる往復書簡という形式をとっています」

(2)「夫は不倫相手から無理心中をしかけられ、その夫を妻は許すことができず、二人は別れてしまいます」

(3)「しかし、十年後、偶然に、紅葉の美しい蔵王で再会し」、手紙のやりとりが始まります・・・・

5.小説では、モーツアルトが重要な役割を果たします。

(1)女主人公の亜紀は、モーツアルトの音楽を聴きながら、「生きていることと、死んで

いることとは、もしかしたら同じことかもしれへん」と感じたと述べます。

(2)宮本輝は本書の中で、この感想を6回も登場人物に語らせます。

(3)人によって解釈は違うでしょう。読書会の仲間が、この言葉をそれぞれどう理解したか是非訊きたいと思っていましたが、叶いませんでした。人に会えないということは、そういう残念の積み重ねかもしれません。