英エコノミストの「日本特集」,課題先進国日本の未来は?

1.(1) 京都から、祇園のつる居という老舗のお茶屋が作っているカレンダー「祇園浪漫」を送って下さった方がいて、感謝・感謝です。

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(2)つる居は、大学生だった頃に、祇園に住む叔父に連れてってもらいました。

 60歳近くなって京都住まい、叔父はもう世を去り、ひとりで昔懐かしい場所に顔を出しました。

しかしこういう洒落た場所にまったく無縁の田舎者には、度胸もマナーも資金もなく、早々に通うのを諦めました。

 

(3)その頃岡村さんを知っていれば、ご指導いただいたのにと残念です。

 

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2. ところで、また硬い話になりますが英エコノミスト誌の「日本特集」の続きです。

(1) 前回は、「日本は課題先進国である。日本が成功すれば我々の模範に、失敗すれば戒めになる」というエコノミスト誌の指摘を紹介しました。

 

(2) それなら、どうすれば成功できるだろう?

 災害対策、高齢化などの個々の対応では、そこそこ,うまくやっている。

しかし、大きな問題があり、変える必要があるのではないか?

 

  1. 10頁にわたる「特集記事」の結論は、「未来に目を向けよう(The future—looking ahead)」と題して、「若い、ダイナミックな指導者がいれば、もっと良くなるだろう」という小見出しから始まります。

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(1) 問題は、政治が硬直化し、保守化していること。

 

・女性と若者の活躍の遅れ(女性の衆議院議員は1割弱、閣僚の3人。50歳以下の閣僚は  2人、世襲政治家が依然として動かしている)。

・弱者への人権擁護、雇用形態、家族制度をふくむ法体系、移民の受け入れなどで世界の変化に追いついていない。

 

・その理由として、野党が「みじめなほど」弱く、競争がないことが大きい。

・「権力を失う心配がなければ、どこの国の与党でも無責任になる(Without a threat of losing power, any ruling party becomes unaccountable)」、

・そして、「指導者はリスクを取らなくなる」「国民の意識との乖離が生まれる」

 

(2)政治に限らず、日本には若者、女性など優秀な人材がいるのに、活用されていない。

 

➡この二つの弱点(「硬直した中央政治」と「人材が生かされていない)」が、日本が最前線にいるからといって、必ずしも「先駆者」になれるとは限らない理由である。

 

3.しかし、気付かなければいけないのは、

(1) 日本社会とくに草の根レベルでは、既得権力層より速く、変化しているという事実である。政治の世界でも、地方自治体では変化が見え始めている。

 

(2)その結果、高度成長の時代を知らない若者の価値観と昭和世代のリーダーとに大きなギャップが生まれている。

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4.ここからリスクも生まれる可能性があるとして、

 

  (1) 不満やフラストレーションが高まり、分断が広がるリスク、

(2) 誰もが変化を諦め、現状に満足し(complacency)、無目的に陥ってしまうリスク、

といった懸念を表明しています。

―ある世論調査によると、約3分の2が「将来も変わらない」と回答している。「悪くなる」が27%、「良くなる」はわずか9%。

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(3)だからこそ、若い・ヴィジョンを持った、ダイナミックなリーダーの登場に期待しています。

ただ、「令和最初の総選挙は、コロナ禍と将来への不安がある中で国民は安定を求めた。ほぼ無競争と言える選挙では、有権者が何を選んだかははっきりしない」とも指摘します。

 

  1. ということで、エコノミスト誌の見立ては、期待も大きいが,懸念もあるということでしょうか。「日本は世界に共通する課題を学ぶ実験場であり、成功しても失敗しても教訓を得られる」。

 どちらになるにせよ、「日本はもはや “ナンバー・ワン”ではない。しかし、依然として学ぶべきことの多い国である」という、同誌らしい・やや皮肉っぽい言葉で記事を終えています。

日本は果たして、成功モデルを世界に示すことが出来るでしょうか?

 

英エコノミスト誌の「日本特集」

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1.東京は、青空の美しい、しかし朝夕の寒い日が続きます。年を取ったせいか寒さが応えます。

 

(1) 我が家は古い一軒家なので、廊下や階段、洗面所など寒いです。

刈谷さんから、「ドイツは建築基準法で、真冬でも室内は19度以上に保つことが義務付けられている」と教えて頂き、感心しました。

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(2) 冬の厳しいニューヨークで初めて暮らした55年も昔を思い出します。

あの頃からすでに、クイーンズのごく庶民的なアパートでも、室内は暖かく、誰もがTシャツ1枚で過ごしていました。当時からアメリカはエネルギーを使い過ぎていたのでしょう。

 

(3) 他方で、豪州のシドニー暮らしは、暖房も冷房も要りませんでした。

いまは気候変動でだいぶ変わっているかもしれませんが。

 

2.寒い東京で、昨年12月11日号の英国エコノミスト誌がとり上げる「日本特集」を読みました。

(1) この号の論説トップは、「アメリカは何のために戦うか?」で、表紙の写真もこの問題でした。

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(2)しかしメインは、「What the world can learn from Japan (世界は日本から何を学べるか?)」と題する論説と、10頁の「最前線に立つ(On the front line)日本」です。

 

(3)特集記事は、

・「令和という新しい時代(The new era)」

・「外交と安全保障」

・「気候変動」

・「大都市東京」

・「人口動態―高令化と少子化

・「経済」

・そして「日本の将来」の6つを個別に取り上げて分析し、論述します。

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2.ここでは、特集記事に先立つ「論説」を要約します。

(1)「日本は、活力を徐々に失った国、或いは、スシやサブカルが魅力で先進的だがちょっと変わった国という、2つの物語で語られることが多い。

 

(2)両方の見方からは、日本は例外的で、我々にあまり関係ない国と考えがちである。

しかし、それは間違っている。

この国は離島(outlier)ではなく、先ぶれ的存在(harbinger)である。

 

(3)「課題先進国」(advanced- in- challenges country)と呼んでもよい。

確かに、この国の課題は多い。

・第一に日本は自然災害の多い国である。気候変動がこれに追い打ちをかける。脱炭素を目指さなければならない一方で、原発にともなうリスクは大きい。

・第二に、人口動態、高齢化がもっとも進み、少子化による人口の減少も起きている。

・第三に、経済が長期停滞に見舞われている。

・そして第四に、対立・対決を深めている米中のはざまにある国である。

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3.このように指摘したうえで、実はこれらの問題はいまや日本だけではないことに注意を促します。

 

(1) 気候変動もコロナも世界大の問題である。どこの国もリスクとともに生きるすべを学ばねばならないのだと明らかにしたのがここ数年の出来事だった。

 

(2)高齢化・人口減少も同じで、これからほとんどの社会で予想される事態である。

2050年までに世界人口の6人の1人が65歳以上になり、2019年の11人に1人から大幅に増える。中国を含めた55か国で人口減少が予測されている。

 

(3)米中の対立も、日本だけの問題ではないことは言うまでもない。

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4つまり、日本は他の国もいずれ対処せねばならない課題を先取りしているのだ。

いかに生きのびるかの先見性を世界に示す役割を担っている国と言ってもよい。

もし日本がこれらの課題解決に成功すれば、貴重なモデルになり、失敗すれば、日本を真似るべきではないという教訓を与えてくれる。

 

5.いままでの日本は,これらの課題に、まずまず上手にとり組んできた。

例えば、平均寿命は最長を更新し、コロナ対策ではG7の中で、死亡率は最低、ワクチン接種は最高、マスク着用をめぐる争いもない。今では70~74歳の33%が働いていて、10年前の23%から増えた・・・。

 

6.しかし日本にとって、これからの課題への挑戦はさらに厳しいものにある。そのためには現状を変革する必要があるが、それは可能だろうか?

世界が注目する必要がある。

 

 

新年早々、東京は4年ぶりの大雪でした

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  1. 先週の6日〈木〉は東京都内でも,夜まで雪が降りました。

(1)行き帰りに苦労した方もおられたのではないでしょうか。

私は、朝から病院での治療があり、昼前に終わったので、帰るころに小雪が降り始めた程度で済み、助かりました。

 

(2)夜自宅で夕食を燗酒と頂いていたら、ヤマトの宅急便が到着、英国にいる娘からの荷物で、日時指定ではないのですが、こんな雪の中を届けてくれて、たいへんな仕事だなと改めて思いました。

海外からの荷物も年末年始は時間がかかるようで、遅まきながらグリーティング・カードが入っていました。年明けてからのクリスマス・カードの写真で恐縮ですが、添付させて頂きます。

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(3)翌朝は良く晴れて、寒さの中、メジロが庭に飛んできます。いつもより巣箱に入る鳥も多いようです。「食べ物があって、アフガンの子供たちより幸せかも」と妻が言っています。

 

  1. 前回のブログでは、「年齢当てのゲーム」をご披露しました。

何人かの方がトライして頂き、有難うございました。Masuiさんが、「ロジック」を説明してくださいました。さすがです。

――「飲むをaとして、生年月日をbとして、言われる通りにすれば下2桁に「2022―b」が来て、3桁の所に飲んだ回数が来ますから、仕掛けがわかりますね」――とあります。

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3.英エコノミスト誌が選んだ「2022年カントリー・オブ・ザイヤー」も紹介しました。

選ばれたのは、イタリア。候補は他に、サモアザンビアモラビアリトアニアの4国です。

以下、頂いたコメントの一部ですが、たいへん勉強になりました。

 

(1)「イタリアはドラギのあとが全く不明なのでちょっと違和感ありました」、

そして、「決して中国嫌いではないのですが、リトアニアに昨年のcountry of the yearをあげても良かったのではないかと思います。大国に対し筋を通す、今までの歴史を思う時、その大切さを思います」。(木方さん)

 

(2) 「リトアニアは今でこそ小国ですが、中世ではポーランドと並んで中欧の大国だったと習った記憶があります。杉原千畝の「命のビザ」の舞台でもありますね。」(刈谷さん)

 

(3)「バルト三国は常にロシアの覇権に晒されていて、政治干渉や人権問題に歴史的にしっかりした覚悟が出来ていますね。カントリー・オブ・ザイアーに選ばれている国々は我々には思いつかない国がほとんどですね」(Masuiさん)。

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4. 7日(金)の「世界のトップニュース」。今年初登場のデヴィッド・マカティアさんは、「2022は、英語の読み方によっては、“2020 two“となります。「コロナの年がまたくるかも、と心配になります。そうならないことを願います・・・・」と、例によってジョークを飛ばしていました。

 今年はほんとに、どんな年になるでしょう?昨年12月の英エコノミストが長文の「日本特集A special report on Japan」を載せています。なかなか面白く読んだので、できれば次回ご紹介したいと思います。

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5.最後に今年初めての俳句をご披露します。

(1) 中高の同期生の有志がメールの句会をやっています。目についた句を3つ、勝手にご紹介します。今月の「兼題」はタイミングよく「初雪」

  • 「初雪を愛でて盃(さかづき)重ねおり」(岡田さん)
  • 「初雪や水面に映る薄化粧」(桝井さん)
  • 「年賀状書く筆止まる友訃報」(中神さん)

 

(2) 読書会の若い友人からは、自宅の窓から初雪を眺めながら、「次の一句を景に添えたいと思います」として、

  ――春雪三日祭の如く過ぎにけり 石田波郷――という句を以下の評とともに紹介して頂きました。これまた勝手に転載致します。

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――『酒中花』(昭和43年)所収。上五が字余りであるが、読んでみると、「春雪三日」は「シュン・セツ・ミッ・カ」と撥音が弾むようなリズムを刻んで、思いがけない春の雪を嬉しいものとして受け止めた作者の心持ちがまず伝わってくる。作者は病と縁の深い一生を送り、療養俳句に新しい時代を築いた。(正木ゆう子)――

 

年齢当てゲームと英国エコノミスト誌が選ぶ「カントリー・オブ・ザ・イヤー」

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  1. 今年もよろしくお願いいたします。

前回のブログに頂いた刈谷さんのコメントによると、ドイツではクリスマス・ツリーを1月10日ごろまで飾っているそうです。英国の娘の家もまだあります。飾り始めるのも早いです。

 日本の松飾りの時期は短いですね。

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  1. 年の初めでもあり、まずは「貴方の年齢あての数字ゲーム」で遊びたいと思います。

 

(1) あなたは、週に何回、お酒を飲むか?あるいは、(例えば「イノダ」の)珈琲を飲むか?
・・・・1回以上10回までの「数字」を選んでください。

 

(2)選んだ「数字」を2倍してください。

(3)その「数字」に5を足してください。

(4)その「数字」に50を掛けてください。

 

(5)もしあなたが、今年の誕生日を迎えていたら1772を、まだだったら1771を「(4)の数字」に足してください。

(6)あなたが生まれた西暦年の数字(4桁)を「(5)の数字」から差し引いてください。

(7)すると、3桁の数字が得られる筈です。

最初の数字は、あなたが選んだ、お酒を,あるいは珈琲を,飲む回数です

そして、次のつの数字は、・・・・・・あなたの年齢です

ピンポーン!

 

―――以上、お粗末様でした。

(注―なお、(5)の数字1772 と1771は来年になると1つ加える必要があります。念のため)

 

  1. 晦日に、英国エコノミスト誌の「2021年のカントリー・オブ・ザ・イヤー(今年いちばんの国)」と題した論説を読みました。

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(1)この選択が特徴的なのは、「この1年間で、目立って良くなった国、世界を明るくさせた国はどこか?」に注目していることです。特に「民主主義を進めた国」に注目します。

 

(2) そのせいもあるか、小さい国が選ばれることが多いです。

昨年の「2020年の国」は、アフリカ大陸南東部にある、人口15百万人のマラウイ(Malawi)共和国です。私は初めて聞く名前で、何の知識もありませんでした。

他に候補として、ニュージーランド、台湾、アメリカ、ボリビアの4か国を選びました。(台湾を“country “of the yearの候補に入れているところがThe Economist らしい)。

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4. 2021年はイタリアです

 マリオ・ドラギという前の欧州中央銀行総裁が、コロナ禍のさ中の2020年2月首相になりました。連立政権を率い、不安定が売りものだった同国の政治を安定させ、経済も回復させ、EUの優等生になりました。

 

  1. 他に候補になったのは以下の4か国で、相変わらず私は名前を辛うじて知っている国です。

 

サモアー南太平洋にある7つの小島からなる、人口約20万人

モルドバー東欧にあり、ルーマニアウクライナに接する、人口400万。

ザンビアーアフリカの南部に位置する、もと英国領北ローデシア。17百万人。

リトアニアバルト三国の一つ、人口280万人

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特徴的なのは、

(1) なるべく小国を選ぼうとする。(170年以上昔に発刊された時からの、同誌の理念であるリベラルな姿勢を感じます)

(2) 独裁的なリーダーを追い出して、民主化を進めた国が多い。

(3) 4か国のうち3つは、女性の大統領ないし首相である。

 

(4)リトアニアについては「民主主義の価値を世界に示した」と、とくに高く評価します。

 ご存知の方も多いと思いますが、昨年、中国との関係が悪化し、ついに大使館を北京から引き上げざるを得なくなり、注目されました。

  同誌は同じ号の「中国」欄でこの問題を別途取り上げています。リトアニアが大国中国の政治的介入や人権政策を強く批判し、台湾との接触を深め、これに中国がむきになって対抗する動きを「小国をいじめる(Bullying small countries)」姿として捉えています。

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6.イタリアを別にして、他の4か国、私は行ったこともないし、殆ど何も知りません。

しかし、いまの日本には、40年前の岡村さんのように見知らぬ異国を夢見て、こういう国々を旅する若者がいることでしょう。

今年の「メサイア」と「サンタはいるの?」

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1.朝の散歩に、2年前までの定番コースが復活しました。

コロナで閉鎖中だった東大駒場キャンパスと付属研究所が先週から、またもとのように開放されました。

静かなキャンパスを久しぶりに歩きましたが、銀杏の紅葉も散りました。

残念ながら、図書館には、現役の学生と教員以外はまだ入れてくれません。

 

  1. 豪州のシドニーからクリスマス・カードを頂きました。

南半球は夏の盛り、サンタクロースも暑そうです。

自宅に飾った小さなサンタ君の写真を送ってくれた方もいます。

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3.今年は、年末恒例のヘンデルメサイア」を聴くことが出来ました。

(1) 青山学院大学の合唱団&オケによる「オール青山」の「メサイア」です。

昨年はコロナで中止、今年は2年ぶりの開催となりました

 

(2)コロナ対策は、

・聴衆は席を1つ空けて座り、

・舞台上の合唱団もオケも、人数は例年よりずっと減らし、管楽器を除いてマスク着用。

ソリスト(独唱者)は自分の歌うときだけ登場し、歌わないときは舞台裏に退場する・・・・

といった完璧さです。

たいへんだなあ、と痛々しい気持になったぐらいです。

 

(3)  聴衆にとっても、3時間強を座席に座ってマスク着用のまま聴くのはくたびれます。

舞台の上の合唱やオケの連中は、本当に疲れたでしょう。

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(4) それだけの苦労をしても、歌いたい、演奏したい、年末恒例の「メサイア」を実施したいという実行委員や皆の思いが伝わってきました。

 今年は例年にましてよい出来だったのではないかと、大きな拍手をしました。

 

(5) 他方で、私が中学生で初めて聴いた、東京芸術大学の「メサイア」慈善演奏会は、1951年(昭和26)年が第1回で、以後2019年まで1回も欠かすことなく上演されました。

その伝統ある歴史が昨年、コロナ禍のなか途切れました。本来なら70回の記念演奏会の筈でした。 

 

(6)今年も昨年に続いて、中止となりました。

学生にとって卒業前の晴れの舞台、とくに4人の独唱者も学生からの抜擢であり、将来のプロの声楽家への登竜門と言われます。

本当に残念な思いでしょう。コロナの災難はいろんなところに及びます。

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3.最後にサンタの話を再び。

12月24日の毎日新聞に,小倉論説委員の「サンタはいるの?」が載りました・

「甘っちょろい」と言われそうですが、いい文章だなと思ったので、以下に一部引用します。

 

(1)「米ジャーナリズムで最も有名な社説は、アポロ月面着陸でも、ケネディ暗殺でもない。ニューヨークの地元紙サンが1897年に載せた「サンタクロースはいるの?」と題する社説だ」と始まり、以下のように続きます。

 

(2)8歳の少女バージニアから、編集部に手紙が届く。

「友だちがサンタクロースはいないと言います。本当のことを教えてください」。

 

(3)これに論説委員が答えた。

<友だちがまちがっているよ。きっと見たことしか信じられないんだね>

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(4)人間がわかっていることは限られていると論説委員は説き、こう続ける。

<実はサンタはいるんだ。愛や思いやり、いたわりがあるように、サンタもいる。そういうものがあふれているから、人は癒される。サンタがいなかったら、さみしい世になってしまうよ。>

 読者からの要望を受け、サン紙はその後、クリスマス前に毎年、この社説を掲載する。

 

(5)そして、小倉氏はこう続けます。

――日雇い労働者の多い大阪市西成区の「あいりん地区」で炊き出しをするグループにはこの時期、普段以上の米やみそが届く。クリスマス会を計画する「子ども食堂」も多い。

せめてクリスマスや正月くらいは、ひもじい思いをしてほしくないと考える人々の善意である。

サンタは健在なのだ。・・・

 

(6) 手紙を書いたバージニアは教師となり、1971年81歳で亡くなった。今年で50年になります。

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4.今日はクリスマスの翌日、英国や豪州では「ボクシング・デイ」と呼ばれ、祝日です。昔はエッセンシャル・ワーカーに贈り物をする日でした。

 

皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。

文化財修理と正しい記録を残す大切さ

  1. 前々回のブログで、下前さんが登場した「京語りの会」を紹介しました。

 今回は、同日、続いて登場した、やはり京都人による講話「文化財修理を支える装潢(そうこう)技術」の報告です。

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(1)「装潢(そうこう)修理技術」とは、「紙や絹など、脆弱(ぜいじゃく)な基底材に描き記され、世に伝わってきた絵画・典籍などを修理する技術」のこと。

 

(2) 現在、この技術を持ち、国宝を含む文化財の修理に携わる会社は、日本に10社、うち4社が京都にある。

 

ちなみに西欧では国立の美術館直属の仕事だが、日本では古くからの伝統があり、いまも民間の装潢師が担っている。

約140人の装潢師がいて、意外なことに30代後半の女性が多い。

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(3)この人たちが国宝や重文などの修理を支えている。

 日本の文化財は海外にも伝わっている。したがって、例えば大英博物館の収蔵品に対しても時に彼らを派遣して支援している。

 

(4)文化財は、代替不可能な「唯一無二」のものである。だから真正・確実な保存が必要である。

文化財が残っているからこそ、正しい歴史が残り、語ることができる。

 

(5) 他方で、覇権主義の国は、過去を大事にせず、文化を残そうとしない。だから歴史修正主義ホロコーストはなかったなど、歴史の定説に異議を唱える考え)におちいりがちである。

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(6)しかし日本でも、文化財保存の将来には心配が多い。

修理は装潢師だけでできるものではないからである。 

文化財を支える実にさまざまな伝統技術が不可欠である。

和紙、木工、漆工、金工、唐紙、藍染,表装・・・などの職人と道具と材料が、いまや徐々に消えていこうとしている。これらがなくなれば、いくら装潢師が頑張っても仕事はできない。

こうしたものをどうやって守っていくか、国はこれらを「選定保存技術」に認定し、彼ら自身も「伝統技術伝承者組合」を作って守ろうとしているが、危機感は強い。

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(7) 以上のような話が印象に残りました。

「過去を大事にせず、文化を残そうとしない国は、歴史修正主義に陥りがちである」と話されたときは、講師の口調はとくに熱をおびていたように感じました。

文化財は、歴史であり、記録なのですね。だから正しく残さなければならない。

 

2.たまたま二次会で、京都から下前さんの応援に駆け付けた数人とお喋りをしました。

 

(1) 田中さんは翌日、仲間と厚生労働省に行って「母子手帳」の内容を充実させるべく打合せをすると言っていました。

 

「仲間」の女性たちは、それぞれの地域で、育児に悩む母親を支援する活動をしているそうです。NPOを立ち上げて、「子どもの健康管理ガイドブック」を作った女性もいました。

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(2) 「母子手帳」や「お薬手帳」が、ひいては成人になっても自らの「個人健康情報(Personal Health Record)」の存在がいかに大事か、と同席の飯島さんから聞きました。

国のシステムとして取り組むべき課題であり、総務省などの解説サイトもありますが、まだ道半ばです。

PHR(パーソナルヘルスレコード)について | 健康長寿ネット (tyojyu.or.jp)

そこで彼は自分で「病歴」をきちんと記録して健康保険証と一緒に常に携帯しているとのことで感心しました。

 

(3) 帰宅して夕食時に妻にその話をしました。「私が子育てのときは、そんなことを意識していなかった。子供に母子手帳を渡していないし、もう残っていない。いまの人たちは立派ね」と感心していました。

他方で、岡村さんは祇園にあるかかりつけの個人病院が後継ぎがいないので廃院になってしまった。カルテはどうなったんだろう、と心配しておられました。

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(3) 過去の記録を残すことが大切なのは国家や社会だけではなく、個人にも言えることだなと痛感しました。

話してくれた皆さんは現役です。それだけに、社会の役に立とうと日々活動している姿が気持ちよいです。

「カワセミ」と「電線」の話が続きます。

  1. まずはカワセミです。

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(1) シドニー在住の女性からメールを頂きました。「オーストラリアのマスコット鳥

“クッカバラkookaburra”は“カワセミ”の種類なのです」と始まります。

 

(2) 「日本では“笑いカワセミ”と呼ばれて、カワセミの中で最大の種類だそうで、いかにもオーストラリア的だなと“笑って” しまいました。

ぷくぷくと太っていて愛嬌があって“クッカ カーカー”と大笑いしている様子は鳥の王様のようで、私の大好きな鳥です。

その大笑いをしようと口を開けた途端のクッカバラをとらえた写真を送ります。

 また20年前に帰国した折に、福岡の有田焼の店で、素敵な手描きの「翡翠」のお猪口と「翡翠」の形のお醤油ざしを買いました」。

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(3) ということで2枚の写真を添付します。

私もシドニー住まいのときはよく見かけました。両方とも同じ仲間だそうですが、日本の翡翠カワセミ)とは違って、美形とは言えませんが、大きく、陽気で、名前の通り鳴き声が笑うようで、「大好きだ」と言われるのはよく分かります。

「笑いカワセミに話すなよ」という、サトー・ハチロー作詞、中田喜直作曲の童謡がありますから、日本でも知られているのでしょう。

「笑いカワセミの歌」の検索結果 - Yahoo!検索(動画)

(4)それにしても、前回のフィンランドの手作りのペンダント、今回のお猪口や醤油さしなど、世界のあちこちで好まれている鳥のようです。

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  1. 次に電線の話ですが、前回、「地中化」が進んでほしいと嘆いたところ、刈谷さんからドイツ、岡村さんから京都の祇園先斗町について、現状を教えて頂きました。

      沢崎さんからは国土交通省のサイトの紹介がありました。

 

(1) ドイツの田舎では、電線が見えるのは家と家の間だけで、あとは各家の軒下に電線を通しているのを見かける、

(2) 祇園の花見小路には電柱はない。代わりに、横丁にある電柱から電線を引いて、トランス(地上機器)-岡村さん撮影の下の写真ーが設置してある、

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(3) 一口に「電柱をなくす」と言ってもいろいろなやり方があるのだと初めて知りました。

 この二例は完全地中化ではないが、通りには電柱を立てない、電線を張りめぐらさない、そのための知恵を工夫しています。

 

  1. 他方で、国土交通省の「無電柱化の推進」のサイトはなかなか勉強になります。

道路:無電柱化の推進 - 国土交通省 (mlit.go.jp)

(1) 無電柱化は、「景観・観光」、「安全・快適」、「防災」の観点から必要である」として、国土交通省が長年にわたって熱心に推進を図っていることが分かります。

 

(2)そして刈谷さんと岡村さんがご紹介のように、コスト負担を減らすため、

・電線共同溝により完全に「地中化」する以外にも

・軒下配線方式や裏配線方式といった、

「無電柱化」を実現するいろいろなやり方があることが分かります。

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(3)何れもトランス(地上機器)が必要です。

しかしそれも、どのように設置するか、住民と協力して快適な道路空間と景観を維持する、さまざまな取り組みを行っています。

 

(4) これが日本では、諸般の事情でなかなか進展しない・・・・

本サイトにある「データ」を見ると、世界の先進国に比べて日本ははるかに遅れています。

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・世界の主要都市の「無電柱化率」は ――ロンドン、パリ、香港、シンガポールは100%、台北は96%、ソウルでさえ49%。

・対して日本は、「東京、大阪、兵庫等の大都市部で比較的整備が進んでいるが、最も無電柱化率が高い東京都でも、無電柱化されている道路は5%弱である」。

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(6)異論もあるかもしれませんが、これでは胸を張って先進国とは言えないのではないでしょうか。

ただでさえ狭い道路に電柱が並んでいる中を人が歩き(時に通学の小学生も)、車が電柱すれすれを運転して通り過ぎる光景は、安全の観点から気になります。

 朝の散歩では駒場の住宅街も通ります。ここに電柱がなかったらといつも思います。