本を読む

春うらら、「源氏物語」の藤壺について語りました

東大駒場キャンパスの桜は、いまは八重が満開です。 良い気候で、あちこち出掛けています。 読書会の仲間7人の「源氏物語を語る会」もありました。お菓子を頂きながら楽しいお喋りです。 今回は2回目で、「藤壺中宮」についてでした。 藤壺と光源氏との関係…

読書会と『老人と海』再び

今回もヘミングウェイの小説『老人と海』です。原作は1952年ですから、 今や古典です。 2. 年老いた漁師のサンチャゴと彼を慕う少年マノーリンとの交流の場面が素 晴らしいとは誰もが言うことです。 (1)岡村さんからコメントを頂き、青春時代の海外一人旅の…

「小料理屋namida」と『老人と海』

3月初めの土曜日、長女夫婦から誘われて、我が家から徒歩20分、井の 頭線下北沢駅近くの小料理屋で4人で夕食をともにしました。 「日本酒とワインと小料理」と銘打ち、カウンターだけの10席しかない「小体(こてい)」な店です。 2.「namida」という珍しい…

あとらす49号と湯澤毅然氏の著書

1.前回のブログで岡村さんの海外一人旅エッセイを紹介しました。掲載している京都健康管理研究会の理事長さんから、「ネバーエンディングストーリーは今後も掲載されます。乞うご期待」というコメントを頂きました。楽しみです。 2.厚かましい話ですが、私の…

『ウクライナ戦争と和平法則』(廣田尚久著)

今回は、友人の新著『ウクライナ戦争と和平法則』(廣田尚久著、東京図書出版)の紹介です。 (1) 同封された手紙には、「(6月の)クラス会で相談に乗って頂いた本は、こういう形になりました」とあり、 (2)「ロシアが軍事侵攻したとき、先の世界大戦を知る…

「まちライブラリー」は茅野市にもあります

「本を持ち寄って、みんなで育てる、まちライブラリー」をご存知でしょうか? (1) 12年前に大阪市内のビルの一室で始まった、「私設図書室」を作る活動です。いまでは全国1000か所に拡がっているそうです。 (2)提唱者・磯井純充(よしみつ)氏はこう語ります…

『モンテ―ニュ、よく生き、よく死ぬために』を読み返す

先週はまるまる一週間、茅野市の山奥で過ごしました。 電車とレンタカーを使い、よたよた歩きです。現地での車の運転や家事はもっぱら任せて、空気の良い静かなところで療養できたのは妻のお陰と感謝しています。 「温泉で温めれば徐々に良くなりますよ」と…

「七十八年経ちましたね」父の遺影に・・・

本日はこれから妻と二人、レンタカーを返して電車で東京に戻ります。今年の夏も田舎で緑に包まれて暮らしました。 その間、当地もすっかり秋めきました。蕎麦の花が盛りで、稲も色づきました。今年の夏は当地も暑く雨が少なかったので、生育も刈り入れも早そ…

「源氏物語」は「夢浮橋」で終わる

前々回のブログは、シェイクスピアの「オセローを読む」最終講義についてでした。 今回は同じく朝日カルチャーの「源氏物語」です。田坂憲二元慶應義塾大学教授による長い講義も、6月で読み終えました。 源氏は朝日カルチャーでも人気番組です。 私は友人に…

「オセローを読む」の最終講義

暇な老人は病院行きだけでなく、あちこち出歩きます。先週は朝日カルチャー新宿教室に2回行きました。うち1回はシェイクスピアです。 2. 講師の大場建治先生はもと明治学院大学の教授で、学長も務めました。退職後、朝日カルチャーで、四大悲劇(「ハムレッ…

「ありがとう大江健三郎さん」

今年の東京の桜は、わりと長持ちしているようです。海棠(かいどう)も花桃も咲き始めました。 (1)小雨が降る先週、新宿の紀伊国屋書店に出掛けました。 行きつけだった渋谷の丸善&ジュンク堂が閉店になったので、やむなく新宿まで足を伸ばしたのです。 (2)…

映画「丘の上の本屋さん」を観る

よく晴れた3月初旬の某日、妻と二人、銀座で良い映画を観ました。 (1)邦題「丘の上の本屋さん」という2021年制作のイタリア映画。 最近は悲しいかな,老人によくある症状で、2時間の映画を途中で席を立たずに最後まで観ることができなくなりました。 今回は…

『資源の戦争』と『大東亜共栄圏』を読む

1.下北沢の「ザックZAC」という喫茶店で時々朝食をとります。二人で、たまにひとりで行きます。 開店は朝9時。我が家は原則二食なので、10時前後に出掛けます。 いつもホットサンドウッィチと珈琲。賑やかな若者の街下北沢の商店街にありますが、空いていて…

植木力さんの新著『奇跡を呼び込む力』(PHP研究所)

京都で株式会社カスタネットを20年以上経営する植木力さんが、本年早々、新著 『奇跡を呼び込む力』を世に出しました。 送って頂き、面白くかつ懐かしく読みました。 彼の人柄と思いが伝わる良い本です。 念願だったPHP研究所からの刊行です。 (1) 94頁と短…

『ポスト資本主義としての共存主義』(廣田尚久著)

今回も頂いた本の紹介です。 中学・高校・大学で一緒だった廣田尚久氏の新著『ポスト資本主義としての共存主義』(信山社)です。 (1) 氏は本職は弁護士ですが、著作に励み、ここ4年間で今回が5冊目の刊行です。私もブログで紹介してきました。 (2) 昨年には…

歌集『生命萌えたつ』(関根キヌ子)を読む

今年も残り少なく、何やら慌ただしくなりました。 そんな中で、これも頂いた本ですが、歌集『生命萌えたつ』(関根キヌ子)を読みました。 出版した西田書店は雑誌「あとらす」のご縁で、編集担当の関根則子さんにはいつもお世話になっていますが、本書の著…

読書週間―「この一冊にありがとう」

読書週間が11月9日に終わりました。今年の標語は「この一冊にありがとう」。 (1) 初日10月27日の毎日新聞は「きょうから読書週間」と題する社説を載せました。 「紙の本の販売額は昨年15年ぶりに前年を上回った」 「最近は短歌の歌集を手にするひとも増えて…

頂いた『キリスト教美術史』(滝口美香、中公新書)を読む

中公新書の9月刊行、『キリスト教美術史、東方正教会とカトリックの二大潮流』 (滝口美香著)を読み終えたところです。貴重な読書体験でした。 まずは、帯にある本書の説明文を紹介します。 「ローマ帝国下、信仰表示や葬礼を目的としたキリスト教美術が成…

読書会で三島由紀夫の『金閣寺』を読む

前回は三島由紀夫が歌舞伎のために書き下ろした作品を、没後52年経って、アメリカの大学生が英語で上演したという話題を紹介しました。 いつも祇園の思い出話が楽しい岡村さんのコメントに、飯島さん経由の情報で、三島が『金閣寺』を書いたのは、祇園の花見…

ロンドンからの出張者と友人たちの話題の本

先週は、外出の機会が多かったです。 11日(土)には、英国に住む次女の2年4カ月ぶりの出張でした。 翌日曜日は、我々家族も再会を楽しみました。場所は六本木の国際文化会館です。 (1) まずは順調に帰国できたようです。入国時の検疫も時間がかからず、すん…

いまのウクライナを思い起こす、トクヴィルとヴァイニング夫人の言葉

1.ウクライナの戦争を思い、以前に読んだ本の一節を思い出しています。今回はその中から、2つご紹介します。 2.一つは、『アメリカのデモクラシー』(トクヴィル、松本礼二訳、岩波文庫)にある文章です。 (1) アレクシス・ド・トクヴィルは19世紀半ば…

澤木さん翻訳のエリコ・ヴェリッシモ『大使閣下』

1.80年も昔の、この国の悲惨な戦争の記憶と体験を持つ老人は、テレビの映像を通して見るウクライナの状況に心を痛めながら、今日もブログだけは続けます。 2.今回は,前回紹介した、澤木忠男さんが翻訳した、エリコ・ヴェリッシモ『大使閣下』(文芸社)の話…

コロナに負けずに頑張っている友人たち

1.コロナがいまだに収まらず、同世代の友人たちはどのような日々を過ごしているかなと、時々思うことがあります。 2.今回は、80歳前半になっても、コロナ禍の中で頑張っている元気な友人を紹介します。 (1)まず、神奈川県の中高一貫校で、ロボットプログラ…

AI自動翻訳Deepl(ディープエル)のこと

前回のブログで、アメリカン・ドリーム、ならびに、NYでの新しい人生を目指す新カップルを取り上げました。 岡田さんからのコメントで、アメリカン・ドリームを追いかけて前向きに生きている次女のことを伺いました。会社の支援でMBAとCPAの資格を取り、近々…

今度は,『本当に君は総理大臣になれないのか』(小川淳也)

前回は小説『総理の夫』で、政権交代による女性首相がどのようにして実現するかを紹介しました。現実はなかなか、こうは行かないでしょうね。 と思っていたら、藤野さんから、小説の主人公相馬凛子と重なる現実の政治家を取り上げたドキュメンタリー映画「な…

『総理の夫First Gentleman』(原田マハ)という小説。

人気作家原田マハさんは実に多作です。題材は専門の美術関連に限りません。しかもご自身は、そういう精力的な印象を感じさせない、普通の女性です。 2. 今回は60作以上の著作の中から、『総理の夫 First Gentleman』(実業之日本社文庫)、日本初の女性首…

原田マハの『美しき愚かものたちのタブロー』と『異邦人』

このところ原田マハさんの小説を、夫婦で競争で読んでいます。今回は、 『美しき愚かものたちのタブロー』(2019年、文藝春秋、「タブロー」は絵画のこと) 『異邦人(いりびと)』(2018年、PHP文芸文庫) の2冊を取り上げますが、前者は茅野市の図書館から…

樋口恵子さん『老いの福袋』と「老兵は~ただ消え去るのみ」

1.前々回のブログで、終末期医療の病院と女性医師を紹介しました。医師は、南杏子筆名で『いのちの停車場』などベストセラー小説も書く人です。 友人からコメントを頂きました。図書館で300人待ちと言われたので、購入して奥様と読み、感動した。「他人ごと…

「風薫るワクチン接種の帰り道」と「句集KURIKO」

1.掲題の俳句は、このブログに的確なコメントを頂く畏友Masuiさんの作です。勝手に載せてしまい、お許しください。 コロナ禍の中で、中高の同期生10人強がネット句会を始めました。毎月幹事が季題を出し、メンバーは自作を提出し、他のメンバーが評を書くそ…

『院政、もうひとつの天皇制』(美川圭)を読む

日本の中世史がご専門の美川圭・立命館大学教授から『院政、もうひとつの天皇 制』増補版(中公新書)を贈っていただき、このほど読み終えました。いま渋谷の丸善ジュンク堂に平積みになっています。 2006年に初版が出て5版を重ね、この4月25日に増補版が出…