本を読む

読書会で三島由紀夫の『金閣寺』を読む

前回は三島由紀夫が歌舞伎のために書き下ろした作品を、没後52年経って、アメリカの大学生が英語で上演したという話題を紹介しました。 いつも祇園の思い出話が楽しい岡村さんのコメントに、飯島さん経由の情報で、三島が『金閣寺』を書いたのは、祇園の花見…

ロンドンからの出張者と友人たちの話題の本

先週は、外出の機会が多かったです。 11日(土)には、英国に住む次女の2年4カ月ぶりの出張でした。 翌日曜日は、我々家族も再会を楽しみました。場所は六本木の国際文化会館です。 (1) まずは順調に帰国できたようです。入国時の検疫も時間がかからず、すん…

いまのウクライナを思い起こす、トクヴィルとヴァイニング夫人の言葉

1.ウクライナの戦争を思い、以前に読んだ本の一節を思い出しています。今回はその中から、2つご紹介します。 2.一つは、『アメリカのデモクラシー』(トクヴィル、松本礼二訳、岩波文庫)にある文章です。 (1) アレクシス・ド・トクヴィルは19世紀半ば…

澤木さん翻訳のエリコ・ヴェリッシモ『大使閣下』

1.80年も昔の、この国の悲惨な戦争の記憶と体験を持つ老人は、テレビの映像を通して見るウクライナの状況に心を痛めながら、今日もブログだけは続けます。 2.今回は,前回紹介した、澤木忠男さんが翻訳した、エリコ・ヴェリッシモ『大使閣下』(文芸社)の話…

コロナに負けずに頑張っている友人たち

1.コロナがいまだに収まらず、同世代の友人たちはどのような日々を過ごしているかなと、時々思うことがあります。 2.今回は、80歳前半になっても、コロナ禍の中で頑張っている元気な友人を紹介します。 (1)まず、神奈川県の中高一貫校で、ロボットプログラ…

AI自動翻訳Deepl(ディープエル)のこと

前回のブログで、アメリカン・ドリーム、ならびに、NYでの新しい人生を目指す新カップルを取り上げました。 岡田さんからのコメントで、アメリカン・ドリームを追いかけて前向きに生きている次女のことを伺いました。会社の支援でMBAとCPAの資格を取り、近々…

今度は,『本当に君は総理大臣になれないのか』(小川淳也)

前回は小説『総理の夫』で、政権交代による女性首相がどのようにして実現するかを紹介しました。現実はなかなか、こうは行かないでしょうね。 と思っていたら、藤野さんから、小説の主人公相馬凛子と重なる現実の政治家を取り上げたドキュメンタリー映画「な…

『総理の夫First Gentleman』(原田マハ)という小説。

人気作家原田マハさんは実に多作です。題材は専門の美術関連に限りません。しかもご自身は、そういう精力的な印象を感じさせない、普通の女性です。 2. 今回は60作以上の著作の中から、『総理の夫 First Gentleman』(実業之日本社文庫)、日本初の女性首…

原田マハの『美しき愚かものたちのタブロー』と『異邦人』

このところ原田マハさんの小説を、夫婦で競争で読んでいます。今回は、 『美しき愚かものたちのタブロー』(2019年、文藝春秋、「タブロー」は絵画のこと) 『異邦人(いりびと)』(2018年、PHP文芸文庫) の2冊を取り上げますが、前者は茅野市の図書館から…

樋口恵子さん『老いの福袋』と「老兵は~ただ消え去るのみ」

1.前々回のブログで、終末期医療の病院と女性医師を紹介しました。医師は、南杏子筆名で『いのちの停車場』などベストセラー小説も書く人です。 友人からコメントを頂きました。図書館で300人待ちと言われたので、購入して奥様と読み、感動した。「他人ごと…

「風薫るワクチン接種の帰り道」と「句集KURIKO」

1.掲題の俳句は、このブログに的確なコメントを頂く畏友Masuiさんの作です。勝手に載せてしまい、お許しください。 コロナ禍の中で、中高の同期生10人強がネット句会を始めました。毎月幹事が季題を出し、メンバーは自作を提出し、他のメンバーが評を書くそ…

『院政、もうひとつの天皇制』(美川圭)を読む

日本の中世史がご専門の美川圭・立命館大学教授から『院政、もうひとつの天皇 制』増補版(中公新書)を贈っていただき、このほど読み終えました。いま渋谷の丸善ジュンク堂に平積みになっています。 2006年に初版が出て5版を重ね、この4月25日に増補版が出…

カズオ・イシグロの『クララとお日さま(Klara and the Sun)』

前回、ドラえもんが大好きだと言う、駒場小学校1年生スズメ君の話をしました。 それで思い出したのが、8年前、母校の中学の入学試験に出た理科の問題です。 ――「いまから99年後に誕生する予定のネコ型ロボット『ドラえもん』はすぐれた技術で作られていても…

読書会と『黒人差別とアメリカ公民権運動』という本

前回は、旅した福井の喫茶店で、1950~60年代のアメリカのジャズのレコードを見つけたと書きました。岡村さんは私より少し年下なので、70年代のレコードがまだ自宅にあるので、取り出して久しぶりに聴いたと書いて下さいました。誰にも、懐かしい・若い思い…

『ポスト・コロナ、資本主義から共存主義へという未来』(廣田尚久)を読む

連休が終わって少し人出が少なくなったかなと、また1週間長野の田舎に滞在しています.秋晴れの美しい日が続き、実りの稲田とすでに刈り取りの終わった田とが共存してよい眺めです。日本晴れの午後は、久しぶりに霧ヶ峰湿原までドライブし、ほんの少し歩き、…

『女性のいない民主主義』(前田健太郎、岩波新書)を読む

1.私たち老夫婦は、東京では相変わらず「stay home」ですが、短期間、長野県蓼科の古い田舎家には行ってきました。 自宅だからそろそろ許されるかなと車で移動して、畑をいじったり本を読んだり静かに過ごしました。散歩で鹿にも会いましたが、例年以上に人…

アンドリュー・ヤンとベーシック・インカム、『ベーシック、命をつなぐ物語』(廣田尚久)

1. 新型コロナウィルス問題、早く収束してほしいですね。 私も家にいる時間が多くなりました。近くの散歩は続けており、梅やまんさくが咲く、立派なお宅の庭を眺めたりしています。 世界大で感染者が増えていて、経済も先行き懸念が広がっています。2月27日…

三好達治『詩を読む人のために』と「きれいな日本語」

新型コロナウィルスが日本でも拡散しているようです。 1.(1)こういう状況では、京都もおそらく観光客激減でしょう。 私も今月、大坂・京都に行くつもりでしたが、中止しました。風邪の症状があり、81歳の老人が咳やくしゃみが取れないままで電車に乗るのは、…

『テムズとともに、英国の二年間』(徳仁親王)の英訳を読む

1.先週前半の東京は穏やかな日和が続きました。 いつからか、年老いた野良猫が一匹、我が家の小さな庭に現れて日向ぼっこをするようになりました。最初は慎重に顔を出し、追い出されないとわかるとのんびり手足を伸ばして寝ています。 隣人に訊くとそこにも…

『2038滅びに至る日々』(廣田尚久、河出書房新社)を読む

1.昨夜はラグビーW杯決勝を蓼科でTV観戦しました。 スタンドに「サー・エディーを首相に(Sir Eddie for PM)!」と書いて応援する英国人ファンがいました。たしかに優勝したら叙勲して「サー・エディー」になったかもしれない。「首相に!」というのが面白…

星野道夫と『旅をする木』再び

1.茅野の山奥には木々だけは豊富にあります。家人がエサ台を作って、ひまわり の種子を置いておくと小鳥が止まってついばんでいきます。 2.「木」といえば今回も、『旅をする木』から知った星野道夫さんのことです。 アラスカに暮らし続けて15年も経って書い…

『皇太子の窓』(エリザベス・グレイ・ヴァイニング著)再び

1.黒幕子さん、8月4日付ブログへのコメントのお礼が遅れました。「神長官守矢資料 館」の情報有難うございました。諏訪地方の古代の歴史に興味を持っておられることに敬意を表します。 また前回は岡村さんから、自分にも良い家庭教師がいた、映画「アラモ」…

エリザベス・ヴァイニング著『皇太子の窓』を読む

1.前回はフェイスブックで、京都から2人の方のコメントを頂きました。 飯島さんが、「昨年チェコで、宝塚歌劇を紹介するプロジェクトの手伝いをした。「禎子と千羽鶴」を音楽劇として地元の子ども達と共演した。チェコは歴史に耐えた経験から平和への思いが…

忘年会の合間に『公卿会議』(美川圭、中公新書)を読む

1. 忘年会のシーズンで都心のどこに出かけても人が多いです。 私も学校時代の友人とか、豪州やニュージーランドで一緒に働いた仲間の会とか、昔の職 場の同期の集まりとかに、いそいそ出かけています。 (1) 豪州やニュージーランドで一緒に働いた仲間の会は…

『ある正金銀行員家族の記憶』(八木和子)を読む

1. 本郷の東大キャンパスを歩き、三四郎池の写真を撮って、前回載せました。 犬を二匹並べて撮影している女性もいて、のどかな風景でした。 他方で、世の中は米中関係、Brexitの行方、パリの大規模デモなど先進国も不穏のまま年を越しそうで、気になります。…

G.オーウェルの「ナショナリズムについて」とマクロンの演説

1. 秋深まり、先週日曜日11日は好天で、家人と東大内のカフェで遅い朝食のあと、駒場公園にも寄って「旧前田侯爵邸」を拝見してきました。 修復のため2年以上閉鎖されており再び開館したのはごく最近です。そのせいか来館者も多く賑わっていました。重要文化…

『ザ・ナイン、アメリカ連邦最高裁の素顔』と『憲法で読むアメリカ現代史』

1. 高原は朝夕は涼しくなり、早くも秋の気配です。稲も実りつつあり、コスモスもそばの花も盛りで、野には赤とんぼが舞っています。 2. 前回は、アメリカ最高裁が、これから保守化していくのではないかという話をしました。 8月に読んだ、 (1)『ザ・ナイン…

『議院内閣制―変貌する英国モデル』(高安健将、中公新書)を読む。

1. 本日は「西日本豪雨」の記事が新聞1面の大見出しです。 当方は早い梅雨明け宣言を聞いて早々と信州にやってきましたが、当地も強い雨が降りました。それでも、畑の草取りをしました。じゃがいもの花が咲き、ヤマボウシの白い花も咲いています。早くも災害…

小さい薔薇の花と、「待賢門院」&「堀河局」

1.文字通り猫の額ほどの庭の片隅で、二年前に調布の神代植物園で買った薔薇の小さな花がまた元気に咲きました。散っては、また何度も花を咲かせます。 薔薇を自分で育てるほどの庭の広さも元気も知識もありません。しかし見ていると、この花がその棘もあって…

本と本屋と日本人のユーモアと

1. 先週はネット上に桜の写真があふれたでしょうね。私も性懲りもなく素人写真を載せます(東大駒場キャンパスの並木と我が家の老木)。 我善坊さん、山口さんコメント有難うございます。山口さんのは「コンナコトカイテイイノカ」とありますが、このブログ…