『モンテ―ニュ、よく生き、よく死ぬために』を読み返す

  1. 先週はまるまる一週間、茅野市の山奥で過ごしました。

電車とレンタカーを使い、よたよた歩きです。現地での車の運転や家事はもっぱら任せて、空気の良い静かなところで療養できたのは妻のお陰と感謝しています。

「温泉で温めれば徐々に良くなりますよ」と快く遠出を許してくれたお医者様にも感謝です。

ブログのコメントやメールでもお見舞いを頂き、有難うございました。

 本日、東京に戻ります。

  1. 当地では、代わり映えしない平穏な日々でした。

(1) 里山の秋の景色が気持よいです。この時期のこの風景を見たさに足を引きずりながらはるばるやって来た、その甲斐があったと思います。

 

(2)京都の岡村さんは奥様が茅野市出身ですが、今年も「義弟が新米を送ってくれました」とコメントを頂きました。

ふるさと納税にこの米沢米が使われることを自慢し、出荷の喜びも伝わってきます」。

(3)「僕は一度は農家に憧れたことがあります」ともあり、私からの返事に、妻も昔当地に滞在中、地元の農家に畑の手伝いに通い、気に入られて「農家の嫁になればよかったのう」と言われたという思い出話を披露しました。

これも昔話ですが、仲間とのお喋り会で、「生涯、忘れられない食べ物の思い出は?」という問いに各自が答えるという時間がありました。

妻は「畑作業を終えて、一息ついて農家の人たちと食べるお握りが忘れないほどおいしかった」と答えていました。

  1. 毎日温泉に行き、負傷した箇所を暖めました。効き目があるとよいのですが。

我が家から車で15分前後で行ける市営の温泉が3か所あります。夫々、露天風呂あり、風呂場からの眺望が良いなど特徴があります。高齢者は1回270円で、地元の人たちの楽しみの一つになっています。

  1. 秋も深まり、紅葉も徐々に始まりました。朝夕は寒く、到着時の室内は13度でした。

我が家では薪ストーブが活躍しました。30年近く使っていたのが老朽化し、原村の「ストーブハウス」という専門店に頼んで新しくしました。

今回はこの新しいストーブの「火入れ式」でもあり、薪が燃えるのをただぼんやり眺めている時間が楽しかったです。

 

  1. 昔読んだ『モンテーニュ、よく生き、よく死ぬために』(保苅瑞穂、講談社学術文庫)を再度拡げました。

フランス文学者の著者は、16世紀の文人モンテーニュの著書『エセー』を長年読み込んでいくうちに彼の人間の魅力について語りたくなって本書を書いた、と述べます。

ということで最後に、著書が語る「魅力」をほんの少し紹介します。

 

―「日常の日々をできるかぎり穏やかに生きて楽しむことを自分のもっとも大きな仕事にした。(略)戦闘に勝つことも、国を統治することも、財を成すことも、付属的なことに過ぎないと言っている。老いが来て、生命の力が衰えて行くのを感じると、かれはそれまでの倍の力で生きていることを味わおうとした。

かれがあれだけ本を読み、勉強したのも、それによって知識やなにかの肩書を得るためではなく、よく生きて、よく死ぬためだった。そういう人間が四百年前のフランスにいたのである。」