植木力さんの新著『奇跡を呼び込む力』(PHP研究所)

  1. 京都で株式会社カスタネットを20年以上経営する植木力さんが、本年早々、新著

『奇跡を呼び込む力』を世に出しました。

   送って頂き、面白くかつ懐かしく読みました。

   彼の人柄と思いが伝わる良い本です。

  1. 念願だったPHP研究所からの刊行です。

(1) 94頁と短く、活字も大きいのですぐに読めます。自らの「半生」を語り、企業活動の「信念」を述べ、二つがあいまって「奇跡」が生まれたと振り返ります。

(2)「半生」とは、生まれ育った海辺の美しい京都丹後「由良」、人助けに熱心で起業家精神を備えた祖父母や両親、生徒会会長を務めた高校時代、自衛官を経て京都の大企業に就職、脱サラして会社を立ち上げた経緯とその後の活動です。

(3)そして、企業は営利活動と社会貢献とを両立させることに存在価値があるという「信念」です。

設立直後にはカンボジアに小学校を立ち上げる活動の支援や障害者支援に参加した。

その後は、被災地支援を続け、独自の防災グッズを開発し、コロナ禍の中ではいち

早く医療用ガウンを生産し、マスコミも取り上げて大きな話題になった。

最近は、医療用ガウン販売で得た収益をつぎ込み、実家と隣家を合わせた300坪の土地にリゾートオフィスをオープンし、由良をソーシャルベンチャーの拠点にしたいと精力的に活動しています。

  1. 面白いと同時に「懐かしく」読んだのは、昔をいろいろ思い出したからです。

植木さんとは京都で長く付き合いました。ブログでも度々取り上げました。

 

(1) 知り合ったのは、彼は会社を立ち上げたばかり、私は大学で新しい学科の準備をし

ている最中。彼は当初からビジネスと社会貢献との両立を考えているユニークな起業家。私はそういう若者を大学で育てたいと考えていて、たまたま意気投合しました。

(2) 藤野さん、浅野さん、加川さん、中尾さん等々、仲間が集まり、「京都から社会起

業家の波を!」をうたい文句にKSEN(ケーセン)という集まりを作りました。

(3)植木さんは、町家を借りてくれて「カスタ君の町家」と名付け、そこでも活動を続

けました。

一緒にカンボジアにも行きました。

『小さな企業のソーシャルビジネス』(文理閣)という本も出しました。

KSENの仲間は気持ちの良い人達が多く、私が夏を過ごす信州蓼科まで「研修」と称して来てくれました。

  1. 植木さんの魅力は、

(1) 名前の通り、行動「力」、アイディア「力」、実行「力」、そしてメディアやITを巧みに使って人を引き付けていく人間「力」です。

(2)とくに感心するのは、幅広く、何事も厭わず動く、フットワークの軽さです。

カンボジアに出掛けるのもKSENの活動に参加するのも、町家を借りて「起業塾」を開くのも、蓼科まで来てくれるのも、忙しい会社経営とは直接関係ありません。

しかし彼は、どこからそんな余裕が出てくるのかと思うほど、労苦を厭いません。「忙しい」という雰囲気を見せず、明るく、気持ちよく付き合ってくれます。

(3)例えばKSENは5年の活動を終えて、「5年間の歩み」を活動報告書として残すことを決めました。

編集作業を始めるにあたり、植木さんの会社の一室を借り、彼ももちろん編集に参加してくれました。いまでも感謝しています。

(4)「懐かしく読んだ」というのはそういう多様で豊かな彼の生き様を思い出したからです。

もちろんそういった活動は本業ではないので、本書には出てきません。

しかし私にとっては、12年前に作ったKSEN「活動報告書」をもう一度読み返す良い機会になりました。

植木さんに「おめでとう、そして有難う」と言わせて頂きます。