あとらす49号と湯澤毅然氏の著書

1.前回のブログで岡村さんの海外一人旅エッセイを紹介しました。掲載している京都健康管理研究会の理事長さんから、「ネバーエンディングストーリーは今後も掲載されます。乞うご期待」というコメントを頂きました。楽しみです。

 

2.厚かましい話ですが、私の方も「あとらす」という雑誌49号に、昔、アメリカのニューハンプシャー州シュガーヒルという小さな町に旅した話を寄稿したばかりです。

3.ニューハンプシャー州アメリカの東北部、大統領選の予備選が23日実施されたところで、共和党トランプ候補がアイオワ州の党員集会に続いて、2回目の勝利を収めました。

これで「世界中で選挙の年」と言われる中でも最も注目を集めるアメリカの大統領選挙は、4年前の再対決、81歳民主党バイデンと77歳トランプの老人二人で争われる可能性が高まりました。他に人材がいないのかと嘆いている人は多いことでしょう。

 

3.ところで「あとらす」は、神田神保町にある西田書店という出版社が編集を担ってくれます。年2回の発刊で今年で25年続いています。私の友人も参加してくれて、嬉しいことです。

4.最新号の「あとらす」には、湯澤毅然(もくねん)という人の「許嫁(いいなずけ)」と題する短い物語も載っています。

 西田書店が昨年10月に刊行した「アンチテーゼ」という短編集の一篇です。この本の帯には「余命宣告から2年余。膨大な原稿を遺し著者は55歳で逝った。本書はその第1巻である」とあります。

5.本書の巻末には「湯澤家一同」からの「刊行に際して」と題する説明文があります。引用すると、

 

「(著者は)2021年3月末、突然末期がんと診断されました。

 抗がん剤治療を開始すると同時に、病気と闘いながら、念願だった執筆活動をスタートしました。

 激しい副作用で食事がとれない日々の中、憑かれたようにキーボードに向かい、小説、奇譚集、メルヘン、エッセイ、落語、昔話など、趣向を変えた全7巻を一気に書き上げましたが、創刊となる本作品「アンチテーゼ」の刊行を見ることなく、2023年8月17日55歳で永眠いたしました。

 その名の通り、毅然として余命を受け入れ、信念を曲げず、病と戦う一方、楽しみながらも凝縮した時間を全うし、「ストーリーが天から降りてきた」と満足そうに微笑んで旅立って逝きました」。

 毅然の時空を超えた摩訶不思議な玉手箱全7巻、順次刊行してまいります」。

6.一読して、こんな人生もあるのかと仰天しました。

 裏表紙の著者略歴には、卒業学校名と勤務先しか載っていません。構想は以前からあったにせよ、文章を発表したことが一度もなかった普通のサラリーマンが、死を宣告されてから執筆に没頭する。家族がそれを支え、生前間に合わなくとも、死後、全7巻を出版する。

 人は何のために生きるか、という素朴な問いを突き付けられます。

 と同時に、活字の本を出すことにはまだまだ意味があるのだとも考えました。

 第1巻の短編集『アンチテーゼ』は28篇の短編、それぞれに不思議な味わいがあります。